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ハートのキングの近くで


非日常的に見えている世界も
そこに飛び込んでしまえば現実的な日常になる



彼がいる環境で働くことになり
近くに存在を感じるようになって、ソワソワと落ち着かない毎日を過ごしていた。

未経験の仕事をすることもあり、最初は右も左もわからないことばかりだったけど、上司である彼は私が何か新しいことをできるようになった時、必ず自分のことのように喜び、褒めてくれた。

恥ずかしくて、嬉しくて余計に気になってしまう。


目で、耳で、空気で
彼の存在に意識が向いていることを自分ではっきりと認識していた。


会社に向かう足は軽く、それまで以上にケアやメイク、お洋服選びが丁寧になるわかりやすさに自分でも笑ってしまうくらい。
そんな女子みたいな一面を不思議と心地よく感じ、楽しんでいた。




だけど、やっぱり近づいてはいけない。
距離をとらなければいけない。

そんな風に頭で考えるようになっていた。


だって、入社して少し経ってから知ってしまったから。



彼には恋人がいる。


グッサっと胸にナイフを突き立てられたような痛みが走った

引き返せないし、進めもしない。
確実に育った気持ちはどこに向ければいいのかな。

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