京都で生まれた
先日、戸籍謄本を取得した。
パスポートをとるためで、苗字が変わりちょうど有効期限も切れるタイミングだった私のものと、人生初の海外旅行を控えたぼうやのものと。
戸籍謄本には家族3人の出生地がそれぞれ記載されている。
ぼうやの出生地欄の「京都市左京区」という記載を見て唐突に、「ああ、この子はこの場所で生まれることを選んだんだ」という感慨が湧いてきた。
東京で育ち、もともと京都には縁もゆかりもなかった私と彼。
そんな私たちの子は「京都市左京区」の産院で誕生した。
前日まで夏日だったのが、ぼうやが生まれて夜が明けたら、窓の外がすっかり秋の薄青い空気になっていたことを忘れない。
2011年の震災があったあたりから「いつかは東京を離れよう」と思い続けていた私は、2020年のコロナの流行が後押しとなって京都へひとり越してきた。
2年後にみごもったことがわかり、それを機に遠距離恋愛中だった彼も東京から引っ越してきてくれた。
ひとりで越してきたころはまさかここで将来出産と育児をすることになるだなんて夢にも思わなかったけれど、とにかく京都という土地とそんなご縁で結ばれたことをとても嬉しく思う。
京都だからこそ出会えたすばらしい助産師さん、そして彼女に導かれての、この上なく幸せなお産。
私が京都へやってきたことは自分の意思だと思っていたけれど、そのうちの何割かはじつはぼうやの采配なのではないかとも思えてくる。
ものごとが運命とか天や宇宙の采配とか、とにかく自分の表面的な意思を超えたところでうごくとき、その流れはじつにスムーズなのだと、妊娠から出産にかけて、そして産後のいまも感じ続けている。
赤ちゃんは生まれてくる場所もタイミングも自分で選んでやってくるというし、同時にきっと、誰のもとに生まれてくるかも決めてきている。
私たちのことを選んでくれて、ありがとうね。
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