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キャリア・アンカー再び

数年前に購入したキャリア・アンカー。人事界では言わずと知れた、エドガー H. シャイン提唱のキャリア形成の概念である。

当時住んでいた不動前の駅前のドトールで、ワクワクしながら自己診断に取り組んだときのことをよく覚えている。

不動前。思い出深い町だ。もう住むことは多分ないだろうが、旦那と同棲して初めて一緒に暮らした町。

あの頃はまだ社会人4年目とか5年目とかだった気がするが、それなりにキャリアに迷いを感じていた。まぁだからこそ、こんな本を買ったのだけど。

私のキャリア・アンカー

あれから9年くらい経つ。当時私のキャリア・アンカー1位は、「専門・職能別」だった。

今回改めて診断を受け直してみた。この約9年で私や私を取り巻く環境は大きく変わった。結婚し、母となり、転職をした。それはもう、当時からは到底想像もつかない世界に今私はいる。

しかし意外なことに、診断結果はほとんど同じであった。1位はやはり「専門・職能別」。2は「ライフスタイル」、これも以前と変わらない。
経験値が増え、色々なことを吸収し考えてきたつもりだけれど、価値観というものは基本的にあまり変わらないのかもしれない、と思った。

キャリア・アンカーから、私の職業観を端的に言うと以下だ。

  • 専門性を追求し、自分の才能を活かす仕事に喜びを感じる。管理職としてマネジメントを行うことなど(ゼネラリスト)には興味がない。

  • 家族との時間や自分のプライベートな時間は大事にしたい。

当たっている。ガッツリ当たっている。自分だからこそ出来ること、自分の感性や持ち味、強みを存分に発揮したいと考えているし、自分の専門分野が見つかったらその道の第一人者として登り詰めたい。

元々芸術の道を歩んできたので、そういう思いは人一倍強いのかもしれない。

矛盾

ここである一つの矛盾が生じる。私は専門性を極めたい人間のはずなのに、一つの世界に閉じこもるのは嫌で、多様な人と関わりたい、多様な価値観を知りたい、世界を広げたいという思いも持っている。というか、それがこれまでの人生の様々な選択において主軸となってきた。

更に、人と関わるのが好きで、皆で和気藹々働く、というのを好む。こういう側面は、一般的にイメージされる何かの専門家、エキスパートというものからは少々乖離があるように感じる。

キャリア・アンカーが全てでないことは百も承知だが、人間とは多面的なもの、複雑なものだと改めて実感させられる。

「専門分野の第一人者となるために、多様な人、価値観と出会い、世界を広げることで更にその専門分野への造詣を深めたい」ーそういうことなのかもしれない。

経験から振り返る

本書では自己診断の他に、他者と行うインタビューワークがある。これははっきりいって小っ恥ずかしい。恥ずかしくて本音が言えない可能性があるため、1人二役で自分だけでやってみたが意外と効果があった。

なぜその大学に進学したか、なぜその専攻を選んだか、という学生時代の選択に始まり、会社に入ってからの色々な節目の出来事を振り返る。

最初の仕事は何か、何が好きで、何が嫌だったか、何を感じたか、次の節目に何が起こったか、その時どんな思いがあってどんなことを行ったか、その結果どうなったか、それは自分の目的と照らし合わせてどうか、なぜそうなったと思うか、など。

結構深掘るのだが、これにより自分の価値観が改めて浮き彫りになった。

私の価値観はずばりこうだ。

  • 企画的なこと、創造的な仕事がしたい

  • 自分の考えやセンス、感性を活かせる仕事がしたい

  • 自分だからこそ貢献できるという専門性を発揮したい

  • 多様な人たちと働き、多様な価値観に触れ、世界を広げたい

やはり、そうだよな、と妙に納得した。復帰後にどんな仕事に就くかわからないが、自分の大切にしたい価値観はしっかり認識しておこうと思う。

課題


矛盾だけでなく、課題もある。人間一筋縄にはいかないものだ。
難しいのは、いくら「専門・職能別」指向が強いとはいえ、組織で働く以上、色々なことをしなければならないし、できることが求められるという点だ。仕事ができて評価されれば、いずれ管理職となりゼネラリストとしてチームマネジメントなどをすることとなる。

その出世コースを自ら断ち切ってまで、専門性を追求する覚悟はあるか。その先のキャリアのゴールはどこか。

課題は色々あるが、自分なりの最適解を模索していきたい。

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