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#36 早くも再入院、退院を2セット!それでもワタシは世界一の幸せ者だと信じられるワケ、その一

免疫チェックポイント阻害薬のリブタヨ(ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、一般名セミプリマブ)の初回投与は、5月2日。

後述するけれど、この類のお薬は即効性があるわけではないけれど、紛れもないゲームチェンジャーなのだ。

腸炎が落ち着いて、食事が採れるようになってからは、全身状態も良くなっていた。アイ先生からは、腫瘍からくる高熱や痛みのコントロールは服薬で行い、後は、外来治療で良いでしょう、との診断を頂き、晴れて、5月11日に退院出来た…!
大型連休明けの気怠さ漂う?世の中の空気の中で、ワタシは、胸の底から深呼吸して、清々しい空気を思う存分味わったのだった。

しかし。
今日は、5月24日。自宅療養も束の間、訳あって、またもや入院中。

退院の翌週に、膀胱の痛みが酷くなり緊急入院。
4日ほど入院して、一旦、退院。
リブタヨには、膀胱炎の副作用があるという。
単なる細菌による膀胱炎の可能性もあるが、その後の治療継続の判断のためにも、膀胱の組織をとって、しっかりと診ておきたい、とのアイ先生と腫瘍内科チームの判断による、検査のための入院だった。
鑑別診断を徹底する、物凄いプロフェッショナルなドクターばかりなのだ。
腸炎に苦しんだ2ヶ月間、もう直ぐ良くなりますよ〜と言われ続けて一向に回復せず、ようやく診断をつけてもらい助かった我が身には、謹んで身を預ける以外の選択肢はない。
ただ、この膀胱な細胞の生検。大腸内視鏡みたいに気軽なモノだと思っていたら、なんのなんの、全身麻酔が必要とのことで、入院も3泊4日コースとのこと。

そんなわけで、今も、4ヶ月を過ごしたお部屋のお隣の病室のベッドの上にいるだった。今日の午後には退院出来るということで、コレはコレで、その喜びを心底味わっているところだ。

検査オペとはいえ、色んな管も入り、尿道粘膜も傷だらけになるので、術後は七転八倒の痛みを味わった。
それでも夜は、泌尿器科の女神様(人生イチ痛い尿道カテーテルを入れてくださった先生。この度のオペも担当頂いた)のおかげでぐっすり休むことができ、今朝のお日様に思わず手を合わせた。

こうして、ワタシは、排泄まわりの痛みと対処法については、それなりに語れるというスキルを身につけたわけだ。いずれ、誰かのお役に立てようというもの。有難い。

一つ、身に染みて気付いたのは、痛みは次々に上書きされるということ。
膀胱の激痛に、鼠蹊部の腫れの痛みをしばし忘れる。お薬で膀胱の痛みが和らげば、ベッドに寝ている背中が痛い。どれほど痛くても、軽減すれば、辛さを忘れてしまって、次の痛みに敏感になる。
でも、その時には、あの痛みよりマシか…、あれを耐えたのだから大丈夫かな…と思える。

そうそう、中村天風先生いはく、病のときほどココロを積極的に!である。否定的、消極的な思いが口をついて出れば、その倍、積極的な言葉を言おう、とおっしゃっている。

ご親切に、一例を挙げてくださっている。

本当に暑くて暑くてかなわないなー、ますますガッツが湧くなあ〜

こんな具合だ。ココまだ来ると聖人の域だが、ワタシも俗世で修行の身。千里の道も一歩から。今、楽に呼吸出来ていることに感謝しながら、前に進もうと思う。

病院では、素敵な出会いが沢山あった。
場所が場所なので、再会を願うのはいけないのだけど、今回の再々入院でも、嬉しい再会があった。

たとえば、毎日、病室を綺麗に掃除してくださった方。
「年金だけじゃ暮らせないから、働いているのよ〜、私のような60代なんてまだまだ若手。最高齢は85歳よ。お腰が曲がって、大きな掃除機は引かないのだけど、まだまだ現役なの!」とのこと。

病室の患者さん全てのお名前を覚えて、誰にでも、朗らかに、にこやかに、話しかけてくださった。患者の顔色を見分けて、言葉をかけるか、控えるか、細やかに配慮されていた。ワタシにはいつも、大丈夫、大丈夫と励ましてくださった。
長期の入院からようやく退院となった朝、涙を流して喜んでくださった。

そして、こんな風におっしゃるのだ。
「本当に良かったわね。つらい時でも笑顔を忘れないあなたの姿を見てね、私もまだまだ頑張ろうと思ったの。あなたはきっと大丈夫だから。お互いに、頑張ろうね。」

人生の大先輩からの思いがけない言葉に胸が詰まった。
二人で嬉し涙を流していたら、突然、洗面台で丁寧に手を洗い始めて、
「手を洗わなきゃ、握手できないもんね〜」と言って、両手でワタシの手を包んでくださった。
ずっと働いてきた人の優しいその手は、とても、柔らかかった。

此度の入院の日と、手術の日、残念なことに、その方のお姿を見かけることができなかった。
とうとう、今日退院となり、諦めかけていたところ、聞き慣れたノックが聞こえた。

「もうー、同姓同名の方がいらしたのかと思ってたのよー!」と声がした。
最後の最後に、お会いできた!

『あら、元気そうね!この病棟、入退院繰り返す方が多いけど、みんな来るたびに、何故か、どんどん元気になっていくのよ、そしてそのうち卒業する。だからあなたも大丈夫よ!」と励ましてくださった。
またまた元気をもらってしまった。

後述するはずだった免疫チェックポイント阻害薬のお話は、愛おしいおウチについてからにしよう。

今日も、世界は、素敵なことで満ちていた。

写真は、富士山の、、、
ご覧になられるだろうか、山頂から右斜め下に、鳥がいるのを!
こらは、農鳥という雪形だそうだ。山肌に残った雪が鳥の姿に見えることから、名付けられたという。ふもとでは、これを田植えを始める時期の目安としているとのこと。

コレも世界の素敵、の一つだ。

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