Surround me Music, Feel Good #23:BaseBallBear|渋谷ノンフィクション ライヴレポート
BaseBallBearの「渋谷ノンフィクション」(LINE CUBE SHIBUYA)を聴いたのでライヴレポート。
【Set List】〔収録アルバム/EP他〕
夕日、刺さる部屋〔最新EP「天使だったじゃないか」〕
いまは僕の目を見て〔8th AL「C3」〕
short hair〔4th AL「新呼吸」〕
SCHOOL GIRL FANTASY〔8h Single「LOVE MATHEMATICS 」〕
つよがり少女〔1st Mini AL「夕方ジェネレーション」〕
DIARY KEY〔9th AL「DIARY KEY」〕
セプテンバー・ステップス〔8th AL「C3」〕
FICTION ONCE MORE〔7h Single「changes」〕
東京〔3.5th AL「DETECTIVE BOYS」〕
17才〔2nd AL「十七歳」〕
changes〔3rd AL「(WHAT IS THE)LOVE & POP?」〕
Endless Etude〔2023配信限定Single「Endless Etude」〕
十字架You and I〔3.5th AL「CYPRESS GIRLS」〕
祭りのあと〔1st AL「C」〕
Stairway Generation〔3rd AL「(WHAT IS THE)LOVE & POP?」〕
【Encore】
Tabibito In The Dark〔4th AL「新呼吸」〕
Power (Pop) Of Love〔最新EP「天使だったじゃないか」〕
セットリストと共に、収録作品のタイトルも書き出してみた。新旧のリリース作品からかなり広く、様々にピックアップされている。
ライヴ事後に眺めると、ある意味でバンド側で選んだ「プレイリスト」や、さらには「ランダム再生」の趣すらあるセトリに見える。
とはいえ、これらの選曲はライヴ仕様の一貫した音づくりでまとめられていて、各曲の始まりと終わりのキー、それが次の曲のキーへと移る時に自然な、あるいは意外性のある聞こえ方へと誘導されるよう整理しデザインされていた。そして曲間の「間」の緊張感やMCのリラックスした緩急、楽器(ギターとベース)をほぼ変えなかったかったこと、必ずしもスタンディング形式でないこと、ライヴハウスよりもさらに距離感がある広いホール空間で照明演出も違うことなどと併せて、まさに「ミドルエイジとして」の貫禄ある構築だった。
最初とアンコール最後に最新EP「天使だったじゃないか」のインディーポップ的な、シンプルで回帰的、初期衝動的でありながら、ベボベにとって最も現在形のニュアンスで全体を挟んであることも確信的であるように思う。
数曲ごとにまとめられたセクションは巧妙に仕掛けられていて、short hair→SGFは、印象的なドラムスのイントロリズムがシームレスに曲間を繋いでいたし、そこからつよがり少女というのは、それぞれ面影の違う少女のモチーフ(として写した音楽)を遡るように見せる(回想する)ような演出。これらを経てのDIARY KEYというのは、とても詩的かつ映像的な、ベボベらしい「ライヴ」アクトだ。
さらには、セプテンバー・ステップス→FICTION ONCE MOREは秋めいた気配、大人の成熟を醸した曲想から、完全にリアレンジされた攻めのDUBバージョン初披露で、これは渋みの効いた部分でもあったと思う。個人的にはベボベのこうした野心的な、遊び心ある姿勢が好きでライヴに通い続けたいと思ってる。最もテンション上がったシーン。ここに続いたのはレアな選曲で東京。音の重なりや密度の変化/振れ幅が大きいDUBアレンジのFICTIONとは対照的。3ピース然とした立体感だった。最後にはキーの明るさ、メロディやリズムが最もオーディエンスに共有・共感されている人気曲17才へと着地。空間や景色が開けるような、こんな面白い流れで17才を聴くというのは、その曲単体だけならライヴアクトだけでも聞き飽きるくらい聞いている筆者にとってさえ、また新しい印象の音楽として現れた感覚だった。
さらに終盤では、ギターリフをダビングしてバッキングとして流し続けるEndless Etude→十字架You and Iの繋がりが素晴らしい!
今年はじめに福岡で聴いた「天使だったじゃないか」リリースツアー、そして愛知での音楽フェス「森、道、市場」出演時にもこのEEはセトリ入りしていて、現在形アレンジは聴いていた。今後しばらくの「ポスト十字架」だろうなと思っていたら、EEの終わりに関根嬢のベースがノイジーにフェードアウトしていき、小出さんのリフへと繋げるインタルードからそのまま十字架へと展開。中間部のセッション的な高揚と緊張感があり、エンディングではホーリーロンリーマウンテン<C2>が始まるかと思うほど厚みのある音響。HR/HMの様式感を感じる少し長めのフィナーレ。音楽的な語彙力がふんだんに使われた2曲で1曲は圧倒的だ。
全体像としても1曲ごとのディテールとしても、(This IsThe!!)BaseBallBearを感じて止まない、見事なライヴだったと思う。今後「渋谷ノンフィクション」はシリーズ化していきたいことや、「日比谷ノンフィクション」とはまた違うキャラ/趣きとしていきたいこと。最新EP「天使だったじゃないか」はEPという位置付けだが、アルバム並みの熱量籠った渾身の出来映えとなったこと。まだ時期など未定だが、次に制作するアルバムはとうとう10枚目になること。など、MCで語られていたことも踏まえて今後も楽しみである。
ベボベとしての今後のライヴ情報、対バン、ソロワークなども同様に期待してる。
※とりま「マテリアルクラブ」のライヴは抽選申し込んだ!
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