通信制高校に入学した話

私は高校受験をしなかった。

拒食症だった私。

中2の終わりから入院し、学校にも行っていない。

体力、集中力、判断力の低下。
不安定な精神状態。

とても高校進学を考えられる状態ではなかった。

そんな中、N/S高の存在を知る。
きっかけはテレビのCMだった。

角川とドワンゴが創るネットの高校。

親の勧めから、書類審査を経てネットコース生として入学することになった。

私が籍を置いたのはS高である。

なんの期待もしていなかった。

生きて高校卒業できたらいいな、と軽い気持ちだけを持ち合わせていた。

しかし、これがいい意味で裏切られることになる。

時間の余裕ができたことによるメンタルの安定。

毎月のレポートによるタイピング能力とライティングスキルの上昇。

自分からつかんで可能性を見出して行くことの楽しさ。

余裕ができると摂食障害に振り回されることは少なくなっていった。

体力も戻り、初めてひとりでスクーリングへ参加したときは、そりゃ楽しかった。

会場は大阪と茨城。
大阪探索をしたときは浮かれすぎて思ったよりも散財したが、お金の使い方をより身近に感じられた経験だった。

ともだちという踏み入った関係ではないが、その場限りの仲間はできた。

人といるのは嫌いではないが疲れてしまう。

そんな私にとって、グループワークの授業が多く、適切な距離で人と接することができたのがちょうど良かった。

そんなこんなで、高校生活3年目。

「中退するんじゃないか」

親からそう思われていたらしいが、きっとそんなことにはもうならない。

“生きて高校卒業できそうなんて、2年前の自分が知ったらきっと嫌な顔するんだろうな”と思いながら一年後の自分に思いを馳せる。