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【雑記】ヨーロッパSを死に誘う「ヨーロッパSオーナー」

  タイトル通りです。
  私がこの車を購入し、意気揚揚とチューニングパーツを探した時の、あの絶望感が筆舌にし難いです。
生産されてから凡そ10年。この車に手を掛けた人間の少なさをありありと記していました。

「死」とは何か。この車においては「それは違う」と言われるかもしれませんが、あえて言いますと「更新、アップグレードを続けられなくなった時」だと私個人は思っています。ヨーロッパSを「時代に合わせアップグレードしていく」とは何を指すのか。それは結局、「ロータス」として生産された以上は「ライトウェイトスポーツカーとして全う出来る性能を発揮すること」だと私は思います。

話は変わりますが、人間の身体は、ほっといても新陳代謝によって細胞が更新されていきます。栄養を取り適切な運動を行っていれば、内臓が内側から腐っていくことは病気に掛かりでもしなければ起こりません。
ですが、車は違います。人間が手を入れて消耗品を交換していかなければ、内側から腐り落ちていきます。代表的なのはエンジンオイルですね。
無論、ヨーロッパS自体はなんら変わったオイルやエレメント、油脂類を使っている訳では無いのでそういった点では大丈夫です。オイルは5w-40位のを入れておけば大丈夫ですし、

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オイルエレメントもカー用品店に置いてあるカタログで、Z20LERエンジンを積むオペルの物を取り寄せて貰えば問題ありません。

ヨーロッパS純正品番フィルター
http://www.earlscourt.co.jp/product_info.php?manufacturers_id=164&products_id=5172


 しかし、刻々と変化していく自動車の時代の中で、当時は「GTカー」としてデザインされた「ヨーロッパS」も、もはや「ライトウェイトスポーツカー」にカテゴライズされてしまっていると言っても過言では無いでしょう。
弟分としてリリースされたエヴォーラは勿論、S3エキシージもV6エンジンを積んだことにより車幅は1800mmを越えています。
1700mm台のヨーロッパSは全体の中でも、そしてロータスの中でも「小柄」なのです。
また、他メーカーでは「アルファロメオ4C」、「アルピーヌA110」と言ったMRライトウェイトスポーツと比較しても1回り小さく、また100kgほど軽い(4C日本仕様が1050kg、A110が1130kg)ヨーロッパSが「GTカー」を名乗るにはいささか環境が変わったと言わざるを得ません。
既にヨーロッパSは「ライトウェイトスポーツカー」になってしまっているのです。

快適性の追求は、同時にエリーゼ由来のハンドリングを鈍らせることになり、コーナリング初期の鈍い回頭性、顕著なアンダーステアはロータスでは無くプロトンの客層に合わせた結果であるとまで思わせてしまいます。
(勝手に翻訳シリーズ:AutoCar『クラシックでは無い方のロータスヨーロッパ』より引用)

そんな中で「GTカーだから〜」と、上記の2006年代からの性能のままで満足していることは、到底あってはならないことです。
何故ならば、生産から15年。その間の周りは進化し続け、止めどなく変化が起こり、もはや15年前の性能では街の中でもワインディングロードでも高速道路でも、この車はただの邪魔な障害物でしか無いのです。

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抜本的な改革が必要です。
過去の記事にて「ヨーロッパSの問題点〜」なる物をいくつか描きましたが、最たる問題点はやはり「タイヤ」「ホイール」、と改めて思う次第です。
フロントタイヤのサイズは175/55r17。オペル・スピードスター、ヨーロッパS専用サイズです。
条件に合うのは純正タイヤの「Potenza RE040」と「ATR Economist」(たまにATR SPORTSって言ってる人が居ますが、全く別物です。)の2つだけ。
どちらも性能としては酷い物だと自信を持って言えます。まず、RE040については圧倒的にグリップが足りないこと、ハンドリングを重視するあまりサイドウォールが硬すぎる、その2つの要素に175という細さも相まって「直進安定性」が絶望的であることが挙げられます。
そもそも1999年製の車が新車で履いていた20年近く昔の設計のタイヤを、どうして今更2万円以上も払って購入しなければならないのか。

※2018、19年製を最後に生産が終了したとの事です。(2021年8月12日追記)

ATREconomistについては使用しておりませんし、する気も起こりません。もしかしたら世代が新しい分、RE040よりも素晴らしいタイヤかもしれません。1本2万以上もするタイヤを購入するよりは、4分の1の価格で購入出来るタイヤの方が経済的には優れているでしょう。

ちなみに他のユーザーの方が仰るにはRE040よりも更に「グリップが無い」そうです。

一刻も早くタイヤを変えなくてはいけません。175/55r17のサイズのタイヤは他に無いので、タイヤを変えるためにホイールを変えなくてはいけません。
ホイールを探しましょう。
ありません。
何故か。
「今までのオーナーが10年もの間、何の不満を持つことも無く純正ホイールでいたから」です。
それでも10年前にロータス世田谷にて、この車用のホイールをRAYSにて発注されてました。
オペル・スピードスターとの共有設定ではありましたが、当時から問題であった履けるタイヤのレパートリーを増やす目的のもと実施され、それっきりです。
その後、この車のホイールについては、国内では一切の情報がありません。

つまり、今となってはこの車を10数年も前の評判のまま走らせることも、もはや困難になっています。

以下は私が行った行動です。
私がこの車を買った時にブレーキの効きの悪さに直面した訳ですが、理由としては「前オーナーが装備していた低ダストパッド」が原因と判断し、即座にフェロードDS2500に交換しました。
結果ブレーキの効きは3割ほど改善されました。
3割です。
あまりにもフロントタイヤ(RE040)がグリップせず、ブレーキを効かせた瞬間スリップ、そのままABSが発動し止まらないという殺人コンボ。自分よりも400-500kgも重い車に対し、制動距離で負けるライトウェイトスポーツなんて存在する意味がありません。
そこでフロントタイヤを若干オーバーサイズですが、195幅のDIREZZA ZⅢに変更しました。ハイグリップタイヤの威力たるや凄まじく、不満だった制動能力、高速での安定性、コーナリング能力全てが解決しました。
タイヤを変えるだけ。それだけで安全性の全てが改善されるというのに、今までのオーナーは何故かそれを実行しようとは思っていなかったことが不思議です。

5.5Jのホイールに195幅は若干サイズオーバーです。なので、私はRSワタナベにて、「ヨーロッパS専用サイズ」として設計していただき、前7J後8Jのホイールを作成し、「10数年間放置されていたタイヤの問題」をクリアした訳です。
私の中では解決まで2年しか掛かりませんでした。
因みにこの時私は安価な「VentusV12Evo2」というタイヤを履きましたが、正直RE040よりも遥かに良く、また経済的なタイヤでした。
RE040を我慢して2万キロ履くよりは、遥かに人生が豊かになると思われます。

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世界で456台、内日本に108台ほど販売されたこの「ロータス・ヨーロッパS」は同ブランドのエリーゼ、エキシージ、及び兄弟車であるオペル・スピードスターと比較して知名度が圧倒的に低いことは確かです。
  そしてそれに付随して、アフターパーツも少ないことは過去の記事を読んでいただけると分かって頂けると思います。十分多いと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、このブログの記事内にある部品やパーツの情報は、「私がヨーロッパSを購入してから2年以上かけて」集めたものですので、集大成と言えます。

希少車が好き!ロータス・ヨーロッパSと楽しむエンスージアストな日々
https://gazoo.com/ilovecars/introduce/2000s/imported-car/18/06/02/

オーナーによっては
「ただ乗るだけ」
「ただ持ってるだけ」
「希少車だから乗りたくない」
そういう心情も事情も感想も姿勢もスタイルも結構です。
  ただ言わせて頂きたいのは、今なおスポーツカーとして、スピードスターとして輝き続ける「ロータス・エリーゼ」「ロータス・エキシージ」に比べて「ロータス・ヨーロッパS」が過小評価されているのは紛れもなく「10年間腐らせてきた過去のオーナー全員」の責任であり、私の2年間は「過去のオーナー達」に対する侮蔑の期間でありました。

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  ちなみに、ヨーロッパSは日本で最も販売されたそうです。最も情報が遅れていますので、やはり過去のオーナー達はこの車を死に追いやる癌でしか無かった、ということですね。

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