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土曜の夜はのんびりと。法のユーザーインターフェースを考える

こんばんは。lotterです。

土曜日の夜はふと思ったことをのんびり書いてみようと思います。なんの解説も答えもありませんが、もしよろしければのぞいてみてください。

今回は法のUIについて。

ただ、わたしはシステムも当然の如く専門ではないので、UIという言葉は「使ってもらうための機能や仕組みやデザイン」というぐらいで使っています。
あしからず。

1.法におけるユーザーとは?

法律は、その法律(あるいは条文)の対象を想定しています。この対象のことを「名宛人」と呼んだりします。
たとえば、憲法は国の義務を書いたものですから、国が名宛人です。民法は普通の市民を対象にしたものだから、名宛人は市民。みたいな感じです。

なので、法におけるユーザーは法律あるいは条文ごとに違うということです。ということは、UIも少なくとも法律ごとに考えなければなりません。

2.民法のUI

民法という法律は、対等な私人間の関係について規律した法律で、私法の一般法と位置付けられています。
難しく書いてしまいましたが、行政的な関係ではなく、しかも、対象としている人に上下関係(立場の強い・弱い)がないというイメージです。
要は、

対等な関係

をイメージして作られているということです。
なので、例えば売買契約では売り手と買い手という立場の違う二人が登場しますが、民法のルールはこのどちらかに(過度に)肩入れしません。売り手の方がなんか有利みたいなことはないわけです。

さらに、そういう関係を想定しているので、基本的には当事者の意思でなんでも決まります。民法の規定よりも当事者の意思の方が優先されるわけです。だから、民法が表に出てくるのは、当事者でルールを明確に決めなかった場面がどうしてもメインになります。

これはとりもなおさず、トラブっているときなので、民法にはそのトラブルを適切に解決するための機能が比較的強く要請されます。
そうなると、「一般市民には解釈できなくても、裁判所や弁護士が使って間違いのないように」みたいな発想が割と妥当すると言えます。実際、改正前の民法は普通に読んでも使えなくなってしまっていました。改正後も、いくらかわかりやすくはなりましたが、正直、法学を習っていなければ読んだってわからないし、そもそも関係しそうな条文が見付けられないように思います。

これはこれで間違いとは言えないと考えています。むしろ、態度としてはひとつの正解だとも思います。
日本という国の法体系や裁判に対する考え方、訴訟の実際などなど色んなことを考慮したときに、法的なトラブルを適正に解決するという視点に立てば、(裁判所や弁護士が)裁判でちゃんと使えるというUIを優先してもいいんだろうなーと。

3.労基法のUI

では、労働法関係ではどうでしょう。代表的なものとして労働基準法(労基法)を考えてみます。

まず、民法と決定的に違うのは、

労基法は当事者の意思に介入してくる

ということです。労基法の規定に反する意思は、どんなにそれが先進的で優れていたとしても、法律上は無効にされます。労使双方が納得していてもです。
そうなると、雇用関係においては常に労基法のルールが最低基準として働いていることになります。もめようがもめまいが、当事者でルールを決めていようがいまいが、労基法に書かれていることは常に労使の間の最低基準なわけです。

そうすると、労基法においては、法的トラブル解決の場面がメインの出番とはいえないでしょう。普段から意識しないといけないわけなので。しかも、労基法には刑事罰もあるわけで、意識して違反を回避すべき(してもらわなければ困る)ものとして位置付けられているからなおさらです。

こう考えてくると、労基法においては、人を雇う側が誰かを雇う場合に最低限間違いのないようにUIが作られなければならないと思います。裁判でわかればいいというのとは違う、もっと別の考慮が必要なのではないでしょうか。

4.ではどうするか?

このような考え方があるかどうかは知りませんが、「労基法を守ってもらう」という点で言えば民法とは全然違う実態があります。

民法にはそれを守らせる機関はありませんが、労基法には労働基準監督署そして労働基準監督官という行政機関がその任に当たっています。また、労基法を所管する厚生労働省はいろいろな広報活動などを広くやっていますし、各都道府県の労働局も様々な支援などを行っています。

このような行政機関の活動はわたしたちの法の感じ方や使い方に大きな影響を及ぼしていると思いますが、法そのものの使い勝手というところとは少し違っていると思います。もっと、「生身の使用者と労働者」が使いやすい法にしていくためにはどうすればいいか、そういった視点で解釈論を展開することが研究者や法律実務かにも求められているような気がしています。

有り体に言ってしまえば、今の労働法は部分的にめちゃくちゃ使いにくいし、誰が幸せなん?これで?と思うことがたくさんあるということです。

いつにも増してとりとめなかったですね・・・
最後までお付き合いいただいてありがとうございました。

では、また。

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