病室と黄色いアイツ
気付けば、祖母の三回忌でした。
こんなにも他人事っぽいのは亡くなったのがコロナが上陸したての頃で実家からうんと離れた他県に住んでいる私はお葬式に参列できず、その後も2年ほど帰れなかったため、『祖母がいない』という状況をイマイチ実感できなかったからなのかもしれない。
亡くなるまでの6年程は入院していて、実家の父母が2~3日に1回様子を見に行ってました。
もちろん、私も、帰省の時は父母と一緒に祖母に会いに行ってました。
出産してからは子どもも連れて。
それは長男が3歳のころ、いつもの帰省と同じく祖母に会いに行き、長男の顔を見せ、2人目を妊娠したことを伝え、和やかに談笑していたのです。
祖母は曾孫である長男の手を握ったりなんかして。
すると父が『○○(長男)は歌が上手いんや。○○、おばあちゃんに歌ったって』と、長男にふったのです。
真剣な表情でしっかりとうなずく長男。
そして
そう、病院に来る前にテレビで見た、黄色いアイツの歌を歌い始めたのです…!
選曲ぅぅぅ!!!!!
真剣に歌う長男。
涙ぐみながら嬉しそうに聞く祖母。
満足そうにうなずく父。
待って待って!この曲そんなんじゃないよ!なにこれ?!ドッキリ?
これで私が笑いだしたら『アウトーーー』とか言われてケツバットされるパターン?!
最後の溜めるところもバッチリきめて歌い終わった長男は祖母や父に褒められて満足げに病室を後にし、衝撃を受けてる私を尻目にご褒美のアイスを買ってもらってましたとさ。
親子四代にわたる壮大なコント。
思い出し笑いする三回忌の夜でした。
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