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原田マハ『異邦人』(私の京都偏愛歴を添えて)


1冊目に何を投稿しようか迷う中
原田マハさんの本にすることは決めていました

簡単な言葉になりますが
死ぬときは持っている全ての
原田マハさんの本を棺に入れて欲しいくらい
そのくらい愛読しています

原田マハさんの本については
時間をかけて載せていきたいと思います
(想いが強すぎて言語化に苦戦中)


ちなみに
以下、私の感想がつらつらと続きますが
特にあらすじの紹介はございません

ここでは個人的な感想を記すことが
中心となります

京セラ美術館のカフェで読了したので
トップもステンドグラスの写真にしました

なぜ1冊目に「異邦人」なのか

1冊目に本作を選んだ理由は2つ
京都が舞台であること
物語の貴かさに心を奪われたこと

京都という街

京都は多くの方がお好きだと思いますが
私も長らく住んでいたため
どこか京都贔屓なところがあります

内にいては気付かなかくても
外から見るととても輝いて見えることが
数多くありました

きっと今後紹介する本も
京都に所縁のある作家さんや
そこを舞台にしている物語が多く
出てくるかと思います

ただ、原田マハさんの作品で”最も”好きなのは
#9(上海)、太陽の棘(沖縄)など
京都が舞台の作品ではありませんが
自己紹介を兼ね、京都が舞台の作品は
1冊目の投稿にぴったりだと思いました

感覚が研ぎ澄まされるということ

京都贔屓の私には
京都という土地を舞台にした途端
ほかの場所と比較できないぐらい
四季の移ろいや、登場人物の心情を
鮮明に感じる気がします(少し大袈裟です)

また、私が京都でお世話になった方々は
二十四節気や雑節などを愉しみ
とても心が豊かであるとともに
その伝統を守り抜くという強い責任感や
確固たる決意みたいなものが
あったように感じていました

ありがたいことに
そのような方々と過ごすときには
自分の生活の中にある
「粗雑」な振る舞いや感覚から一瞬離れ
穏やかな凪いだような心持ちで
過ごすことができました

なので、日々忙殺されてしまう私にとって
京都という場所は
私に何重にも巻きついた見栄や邪念を剥がし
等身大の自分で考えを整理できる
感覚が研ぎ澄まされるような場所です

簡単に言うと、地に足ついた生活を送ろうと
そんな感じです

ご縁を大切にする

京都にいる間は「これもご縁やから」と言って
気にかけて頂くことが多かったと思います

本作の中でも、初めは異邦人であった菜穂が
みの山画廊の美濃山さんや
鷹野先生や、朝子さんに瀬島さんなど
京都の登場人物たちに(時には徐々に)
迎え入れられるシーンがありました

私の感想としては
菜穂の家族を含め東京の登場人物は
皆、それぞれの欲望に支配されていて
生々しさを感じましたが
一方で、京都の登場人物については
縁を重んじるシーンが多いと感じました

浮世離れしたストーリーの中でも
そこには、それぞれの正義と愛情を感じられ
京都という土地も相まって
それが際立っているように感じました

2023年はルーヴル美術館展が
1番のお気に入りでした


原田マハさんが描く愛情の豊かさ

原田マハさんの作品が好きな点として
愛情の描き方が素敵だなと思い
またそれを表す言葉や表現、描写に
心を奪われることが多くあります

この愛情は男女などの性別を問わず
家族愛でも友情でも
簡単に名前をつけられない間柄でも
美術品や、時には生活用品の一つに至るまで
尊く描かれている気がします

また艶(あで)やかな描写も惹かれますが
単に艶かしいといった表現ではなく
貴(あて)やかだと感じるのです

あて-やか【貴やか】

優雅で美しいさま。気品のあるさま。

デジタル大辞泉


本作にも様々な登場人物がいて
中には菜穂の母親のような歪んでると思えたり
一輝のような過ちを犯す人物も出てきますが

全体的な感想として、京都において
菜穂が周囲から受ける愛情がとても豊かで
読んでいて気持ちが満たされました

それに母親や一輝にも
彼らなりの正義があったようにも思います


白根樹の絵についても
(もちろんフィクションではありますが)
一度、屏風祭で、この目で見てみたい

美術や絵画の知識は全くありませんが
原田マハさんの言葉選びが秀逸で
拙いながらに想像して楽しむことが出来ました

私にとって、特別な1冊です

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