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先が見えなくなったあの頃④

NさんからLINEが来た。
見てみると、メンタルクリニックのホームページのリンクと「昔ここで俺お世話になった事あるから。良い病院だよ。早く予約しなね。頑張れ👍」というメッセージが添えられていた。

そっかぁ、もう俺、そこまで来ちゃったのかぁ…。
かつてクラスのムードメーカーって言われてた俺がそうなっちゃったのかぁ…。
これでもう一旦歩みを止めていいんだ。
でも、これで鬱とかそういうのを認めたらどうなっちゃうんだろう?
実家に戻って細々と人知れずバイトとか適当にして暮らしていくのかなぁ…。終わってんじゃん。
明日からどうすれば良いんだ?
スランプの正体がこれで分かるぞ。
認めたくないけど、やっぱ限界なんだ。
今の仕事どうなっちゃうんだろう。
もう休んで良いんだ。
なんでホッとしてんだろう?
地元に戻るのか?
この土地でやっていけんのか?
今の俺、ハタから見たら壊れて見えるのか。
クソっ…、クソ…。

気付けば胡座の体勢で両手の拳を何度も床に叩きつけていた。
そのまま「うわぁー」と叫んで泣きたいのに、ちっとも涙は出なかった。

あぁ、ホントにヤバい時って涙出ないんだな…。


少し落ち着いて来たところで、NさんのLINEに何も返してなかったので電話をした。

クリニックを紹介してくれた時に「俺もお世話になった事がある」って部分が気になったのと、なんで自分が診て貰った方が良いと分かったのかが気になったからだ。
そして電話にすぐ出てくれたので、聞いてみた。

凄く明るくてポジティブな人だったのでビックリしたが、実はNさんは離婚歴があり、元々奥さんと子供が2人いた。
しかし、今で言う元奥さんとその家族からモラハラを受けており、一方的に離婚を突きつけられ、親権も元奥さん側となった。
そのショックでそれからの記憶が飛んでしまい、ふと我に帰ると何故か沖縄の国際通りをほっつき歩いていたらしい…。
何で自分がこんな所にいるのか分からず、取り敢えず焦って地元に帰り、「自分がおかしくなった」とそのメンタルクリニックでお世話になったらしい。

だから優しいんだ。
だから何でも肯定してくれるんだ。

そして、なんで自分が受診した方が良いと思ったのか聞いてみると、メンタルやられた経験のある人からするとなんとなく気配というかニオイで分かるらしい。

一通り話し終わって電話を切って、その日は終わった。

それからというもの、親切に紹介して貰ったとは言え中々予約を入れられずにいた。
凄く怖かったからだ。

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