SURVIVE(後編)

妻との出会いは15年以上前。
初対面の頃の記憶が俺には無い。

俺の中では良く飲む地元メンバーにいつの間にか新メンバーが何人か増えてて、その中の1人が妻だったっていうイメージ。

妻サイドからの話だと、元々地元メンバーの1人と祭りの神輿会の関係で繋がっていて、ある日俺らの飲みの席に誘われて何人か連れて参加した時に俺が遅れ来たのが初対面だったらしい。それから、地元メンバーに馴染んでいったとの事。
その時期の妻の印象は明るく、ハツラツとしてて、ノリが良いという感じだった。それから何年かしてフルメンバーで飲む機会が減り、
妻と地元メンバーの1人の3人で飲んだり、妻と2人で飲む事が増えた。
特に印象は相変わらずであったが、俺の話を「うんうん」と聞いてくれていたり、俺の言う事や考え方に対しても「そうなんだ」とか「面白いね」って言ってくれたり、共感してくれる事が多かった。
出会って10年ちょっと経ってひょんなキッカケで付き合う事になった。
何気に謙虚で控えめで少し自信無さげな所があるんだなって思った。
この頃のパワーバランスは俺がちょい上だったと思う。俺はイーブンでありたいと思ってたので、「全然良いんだよ」っていう具合で妻の事を持ち上げていた。

そして付き合って3年経った頃、ここが多分モラ気質が出始めたキッカケになった時期だと思う。
当時転職活動が中々上手く行かず完全に自信喪失してしまい、立ち振る舞いも弱気になっていた。
この頃はよく言い合いに発展していたが、当時の俺は強く言い返すメンタルすら無いぐらい落ちていたので、コテンパンに言われ倒される事が増えて言った。

「まともに転職先も決めらんないヤツが偉そうに言い返して良いはずが無いし、何も言える状況じゃなければ、今は言って良い立ち場でもない…」

こんなマインドだったので、ただただ「うんうん」と妻の口撃を受け止めるしか出来なかった。
その口撃もケンカとかの限定的なものではなく、日常的になりつつあったが反論する気は起きなかった。

それからしばらく経って妻が妊娠した。
このタイミングで運良く現在勤めている会社に決まり、結婚生活がスタートした。
ここから一気に妻のモラ気質が加速し、現在に至る。


妻がそうなったキッカケは俺が転職先が中々見つからず、自信喪失して弱気になって腐ってた時。
俺が服屋で働いていた頃って、好きな事を仕事に出来ていたし、ある種誇りを持って働いていたし、凄く楽しかったから、自分らしい振る舞いを堂々としていた。そういう人間に対して当時の妻はある種リスペクトがあったかも知れないし、どっちが上か下かっていうしょうもない尺度を持っているので、自分が下だと思っていたんだろうと思う。
ならば、妻が口撃してくる間にそれをかわしつつ、服屋で働いていた頃のような自分を取り戻す為に、また努力をすればいい。
あと最近妻に「私とのスタンスがあまりにも違い過ぎて、なんであなたはこうなんだろうと改めてガッカリした」と言われた。意訳すると「なんでこいつは私の価値観と常識にのみしたがって動いてくれないんだろう?」だ。
俺はこれはチャンスだと思った。思わせ続ければ良いんだと。思わせ続ける事で最初はムカついて終わりだと思うが、次第に嫌でも「なんでこいつはこうなんだろう?」について考えるようになるんじゃないかと。

最終的には子供達を守る為だが、傲慢かつ天狗になってしまった妻をなんとかしたい。性格を変える事は難しいが、変えざるを得ないキッカケを作っていけるようにこれからは頑張っていきたい。

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