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先が見えなくなったあの頃⑤
それからというもの、ほぼ毎日のようにNさんがLINEや電話をしてきて気にかけてくれていた。
クリニックを紹介されてから何日間か忘れたが、相変わらず予約の電話を入れられずにいた。
Nさんも「早く電話しなって!笑 大丈夫だから!笑」と明るく背中を押してくれていたが、出来なかった。
そんな事している内に部屋はどんどん散らかっていく。
仕事もダメダメ。
テレビもつけなくなって、音楽も聴かなくなった。
毎朝嘔吐。
常に何が何だか分からない状態。
休日は風邪じゃないのになんかしんどくて一日中寝込む。
常に原因不明の不安と恐怖に苛まれる。
そして、キッカケは忘れたが「ダメだ。もう電話しよう。」と思って半ばその勢いでクリニックに予約の電話をした。
普通の病院と変わらない対応。
やはり、当時から精神疾患の人がめちゃくちゃ増えていたからか、2週間待たなきゃいけなくなった。
頼む!それまでもってくれ!
初診までの日数を指折り数えた。
その間もNさんがマメに連絡して来て気にかけてくれていた。
そして、初診の日…。
クリニックの外観はもう覚えていない。
中に入ってスリッパに履き替え、受け付けをし、
呼ばれるまで待合室で待つ。
雰囲気も至って普通の病院と変わらない。
ただ、一つだけ違ったのは順番を待っている人達。
付き添いがいる人が結構いたり、何もせずにただ一点を見つめて動かない人、ぬいぐるみを抱いて安心している人など…。
凄く失礼な話だが、当時は「今日から俺もここで待っている人達と同じレッテルを貼られるのか…。」と思っていた。
そして自分の番が来た。
診察室?カウンセリングルーム?に入って俺は一瞬固まった。
室内は謎の民族音楽のようなものが流れ、何処かの部族の装飾品やら工芸品が多く飾られていて異様だった。
「コンニチハっ。オスワリ下サイ。」と文字で表現するには難しい独特な喋り方をする女性の先生…。
ここ、大丈夫か…?
しかし、もうここまで来たんだ!
後戻りは出来ない…!
独特な喋り方で色々な質問をして来てそれに応え、一応カウンセリングの体を成していた。
何かのタイミングで自分の言った事に対して急に先生が「フッ、ククっ、ハッハッハ」って笑い出し、ワケが分からなかったし、「コイツ、バカにしてんのか?」って思う一幕もあった。
その後のやりとりは覚えてないが、先生から最後に言われたのは「今のところ抑うつか適応障害の傾向が見られる。こういうのは一回じゃ難しいから、何回か来て貰って様子を見させて貰う」との事だった。
初診で処方されたのか、2回目から処方されたのか覚えていないが、当時はよく効くと言われていたサインバルタという抗うつ剤とソラナックスという精神安定剤が処方された。
とうとう通院生活するような状況になってしまった…。
まだ職場に黙っておこう。
あっNさんに連絡しなきゃ!
いや、違う…。
まず親に言わなければ…。
ここから状況は目まぐるしく変わっていき、どのぐらいのスパンで状況が変わって行ったのかもう分からないが、とにかく怒涛の日々に変わっていった。
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