3500万あった借金を0にしたけど気づいたら、知らない天井だった話
2021年2月25日、この日、4年にも及ぶ長きにわたる借金地獄から脱出した。
借金が0になる過程の話をする前に、この日に起きたもうひとつの出来事の話をしよう。
複数カードローン会社からお金を借りてたが、1つずつ返していき、ようやく最後の借金を返し終えた。
完済した時、開放感やワクワクする感覚はなく、いたって普通だった。
記念に風俗に行くことを考えたり、欲しかったカメラを買う計画を立てたりはした。
ただ、その時は突然訪れた。
返済し終えて、会社に向かおうとして歩いてる時、なんか左胸痛むのだ。
そして息苦しい。
それはだんだん強くなり、最終的には立って歩くのも辛く、港区の道に座り込む。
会社に行くか、さすがに病院に行くか、悩んだがとりあえず病院行って、その後会社行こう。
まだこの時は冷静に考えることができた。
しかしその後、今まで経験したことの無い激痛と呼吸ができない状態になっていく。
危機感を覚え、これは病気に行くしかないと思い、自分で検索する気力はないので近くにたまたまあった交番に駆け込んだ。
シータクを拾い、交番で聞いた病院まで向かった。
病院に着いたはいいものの、とてもじゃないけと受付まで自分で歩いていけない、それどころか立ってられないのだ。
近くにいた病院の駐車場案内の人が持ってきてくれた車椅子に乗せてもらい、そのまま救急の窓口に連れてってくれた。
痛みと苦しさで油汗が滲む。
ぐったりして気がついた時には野戦病院みたいなテントの下で、ベッドに横たわっていろんなケーブルが体に繋がれていた。
「点滴と痛み止め打ちますね」
そう言われて「あ、はい」と返事をしたが、そんなにやばいのか?って思うと同時に、針刺すの嫌だなーって考える余裕はまだあった。
というかその一言で少し正気を取り戻したのかもしれない。
右に打たれた針、どうやら失敗したようで、左腕に変えて打たれたが、今度は成功したようだ。
この点滴と痛み止めがまあよく効くのだ。
だんだん落ち着いてきて意識もはっきりしてきたし、次第に呼吸も会話もまともにできるようには回復した。
野戦病院みたいなテントから移動して、視界に入るのは普通のよくある病院のカーテン、落ちる点滴の雫、そしてシミのない新しい病院の見知らぬ天井だ。
CTとレントゲンを撮り、お医者さんから告げられた。
「肺気胸ですね、肺に穴が開いてます。」
それを聞いて、驚きすぎて病院だということも忘れて「え?!」ってクソデカい声が漏れてしまった。
即手術、即入院の事態は回避したけど、来週また診てもらって、悪化してるようなら、メスを体に入れるのは避けられない。
人間の自己治癒能力と、若さに身を委ねる。
まあ死ななくてよかった、シータクに乗ってる時は痛すぎて息できなすぎて死ぬかと持ったけど。
何はともあれ、借金を完済したら肺に穴が開くらしい。
俺の体はどうやら、借金がある状態に慣れすぎていて、借金がなくなると体が異常になる特異体質なのかもしれない、困るけど。
そんなこんなで、借金完済の喜びに浸る間もなく、痛みと苦しみに耐えるしかない。
落ち着いた頃には、もうその歓喜の瞬間を味わう気持ちも落ち着いていた。
こんなことがあった夜も、ウイスキーを飲まずにはいられないくらいにはアル中だ。
借金がなくなって、支出が減る代わりに、また別の支出が増える。
そうしていくうちに、また生活はギリギリになっていく。
人間は空いたスペースがあると埋めたくなる特性があるらしい。
お金が余っていれば使って、カツカツになる。
当時は給料の全てが返済に消えていき、時には給料では足りない時もあった。
足りないお金を何とかするために、本職が終わったあと、居酒屋で深夜や朝までバイトすることもあった。
結局、借金がなくなっても気をつけないと同じような生活に逆戻りだ。
極貧生活で体が慣れた低い生活水準を上げないように、無駄遣いを増やさないようにすることが必要。
そして次は、収入を増やすフェーズに移行したい。
給料だけではなく、その他のことで。
もう「借金があるから…」という言い訳はできない。
お金がないもの、彼女がいないのも、全て借金を言い訳にしていたわけだから、それを邪魔する障害はない。
シンプルに自分本来の本性が出てくるから、逆にこれからが1番厄介な人生が待ってるかもしれない。
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