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ぼくから生まれたキャラが洋服になった

正直なところ、ぼくは職業デザイナーである自覚がどこか欠損している。それでお金をもらっているというのに、である。話を聞いて、内容が合致すればそのまま仕事を請け負うことは多々あるものの、どこまでクライアントに寄り添ってあげられるのか、よくわかっていないのだ。
もっとも、納品後に一定の評価や、相手が喜んでいるのをみれば、自分の仕事はほぼ達成できたということにはなるのだろうし、突拍子もなく自分を押し通して、反感や顰蹙をかった覚えは、まだ一度もない。

だからといって、自分はどうにも商業デザインや職業デザインというものに、常に懐疑的で有り、自分が面白いものを追求したいという欲望が絶えず内にあるのは否定できない。とはいえ、ひととおりの技術や現場を見知っているので、ある程度スムーズに対応出来る、ということでしかない。逆に何も考えないお客にとっては、実にありがたい存在に違いない。

そこで、グッズの話に進もう。我がキャラクターや、それをいかしたデザインはあくまでも、個人的な趣向において制作しているので、そこにはなんのかけひきもない。ただ、自分が面白いと思うものをパソコンなり、システムで量産しているだけの話である。

とはいえ、まずは自分が気乗りしないモノを人様に押しつけようという気はさらさらないし、単に金儲けの手段として考えているわけでもない。まずはやってみたい、こんなものがあれば、きっと素敵だろうな、という思いからそれらを商品化している。だから、こそ飽きないし楽しいのだ。
自分がデザインしたキャラクターを、洋服やインテリアグッズなどに再構築する作業は、上記で懐疑した職業デザイナーの域を超えている。まさに、その成果を選ぶのはユーザーたちだが、客観的に、自分でもこんなものがあれば買いたくなる、あるいは着てみたくなるデザイン、という意味で、後出しにせよウインウインの関係は成立するはずだ。

「LOPYUDSIGN」はお届けするグッズは、自信をもって発表しているのですが、これは実に素敵なことだと、手前味噌ながら、思っている。というのも、洋服や小物、いろんなアイテムを僕のような素人がここまで簡単に制作できるのだから、まったくいい時代になったものである。とはいえ、ここに量産している商品は、既存にあるアイテムに、デザインを機械的的落とし込んでゆく作業でしかない。残念ながら、手仕事感は希薄だ(デザインにおいては、PCで作っていてもその感性は大事にしている)。ぼくはやはり、一着一着愛着をもって洋服というものを作っている人が好きだし、そうしたものに魅力を感じてしまう。贅沢をいうなら、生地の材質から型にいたるまで、そのひとのファッション感がにじむようなものをつくりたいのだが、今の僕にはここまでが限界だ。

将来的には、僕がデザインした生地を用いて、自由に服を作ってくれるようなそんなファッションデザイナーがいれば、その人に託して、自分はなかばテキスタイルデザイナーとして、完全に距離をもちたいのである。餅は餅屋、というか、できることなら、洋服づくりが死ぬほど好きで、若いこれからの無名の職人さんがいれば、素材の提供は惜しまなないし、その人にこの思いを託したいと思ってさえいるのである。

「LOPYUDSIGN」https://lopyudesign.com/


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