コロナ禍の東京で「不動産バブル」が始まる?
<史上空前の財政出動、金融緩和によって市場にあふれる世界の投資マネー。次の標的になるのは東京の不動産市場だ>
(本誌「コロナバブル いつ弾けるのか」特集より)
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界の主要都市の不動産市場が軒並み大打撃を受けるなか、割安感がある東京の不動産に海外の投資マネーが流れ込んでいる。
国際不動産サービス会社ジョーンズ・ラング・ラサールの調べによると、2020年第2四半期の世界の商業用の不動産投資額は、渡航制限、経済への打撃、先行き不透明感などが影響して、前年同期比で55%減の1070億ドルに激減した。
ところが、東京だけは投資の勢いが衰えていない。都市別投資額を見ると、2020 年第1四半期に続いて上半期も、東京が前年並みの150億ドルで世界トップに躍り出た。2位のニューヨークは109億ドルで4割減、3位のパリは83億ドルで3割減といずれも減少。落ち込みの大きい都市では、ロサンゼルスの54%減、上海の48%減などが目立っている。
2020年1~9月期の都市別投資額のまとめを見ても、東京は194億ドルで引き続きトップを維持。そしてやはり東アジアの韓国・ソウルが142億ドルで2位につけている。
コロナ禍で、日米欧とも史上空前の財政出動と金融緩和、とりわけ日米は国債の購入に制限を設けない無制限の量的緩和をアナウンスすることで、リーマン・ショックのような金融システム破綻は回避されている。当面の資金繰り不安がなくなると、市場には膨大なマネーが残る。
同時に日米欧はもちろん、新興国も一斉に利下げに動いた結果、世界中から金利が消えようとしている。
2020年11月の岡三証券のリポートによると、主要20カ国のうち、1年物金利がマイナスになったのは日欧の14カ国。アメリカやカナダ、オーストラリアでも6年物まで年0.5%以下に下がり、明確なプラス水準を維持しているのは中国とインドだ。
国債・社債が運用益を生まなくなった今、あふれるマネーをどこに振り向けるのか。各国の不動産は有望な選択肢ではあるが、大きなリスクは取れない。そこで相対的にコロナの被害が少なく、経済への影響も小さかった日本、特に東京の不動産に投資が向かうのは必然とも言える。
トップ15%の局地的バブル
東京の不動産市場に関心を持っているのは、かつては主に香港、シンガポールなどアジア系資本だった。しかしコロナ以降で目立つのが欧米系資本の増加だ。都心の中古のオフィス物件などの購入に積極的に動いている。いま分かっているだけでも、今後兆円単位の投資マネーが東京の不動産市場に流入する見込みだ。
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