不動産界の“イタンジ”に聞く 急成長の理由

不動産ベンチャー、イタンジ。“一律3万円”という業界の常識を覆す安価な仲介手数料と、ユーザーからの問い合わせの6割をAIで即時対応するサービスが人気となり急成長している。業界に新しい風を吹き込むの同社の創業者、伊藤嘉盛社長にサービス誕生の背景を聞いた。


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 近年、ある不動産ベンチャーが注目を集めている。実店舗を持たず、AI(チャットボット)を活用したネット完結型の不動産仲介サービス「ノマド」を運営するイタンジだ。

 同社が運営するノマドは“一律3万円”という業界の常識を覆す安価な仲介手数料と、ユーザーからの問い合わせの6割をAIで即時対応するサービス力が人気で、現在、月間5000人以上、累計15万人以上が利用している。また、ノマドはプラットフォームサービスとして他の不動産仲介店舗にも展開しており、既に200店舗以上が導入するなど急拡大しているのだ。

 この人気サービスはどのようにして誕生したのか。不動産業界に新しい風を吹き込むイタンジ創業者、伊藤嘉盛社長に話を聞いた。


IT化が遅れていた不動産業界 

伊藤社長が不動産仲介業で独立したのは2008年。創業当時は六本木に実店舗を構えていたが、大手企業の店舗に客を取られてしまい、開業してから数年で倒産の危機に陥ったという。

 何とかしなければと模索する日々の中で伊藤社長は「不動産業界の生産性の低さに気付いた」と話す。

 「たった1人で全ての業務をこなしていくうちに分かったのですが、当時は対面による接客対応のほか、オーナーから物件情報が紙(FAX)で送られてくるなど、全てがアナログでした。他の業界に比べて不動産業界はIT化が遅れていたのです。テクノロジーをフルに活用して効率化を進めれば大手にも負けないビジネスができるかもしれないと考えました」

そこで伊藤社長は、まずは実店舗を持たないネット完結型の店舗で効率的に集客するビジネスを始めようと2012年に新会社のイタンジを立ち上げた。空室確認など、ユーザーからの問い合わせは全てチャット上で対応。結果、1日に対応できるユーザー数は倍増し、生産性は大きく向上した。

 そして2015年には、チャットサービスにAI(チャットボット)を導入し、さらなる効率化を図った。

 「ネット完結型店舗では、1人のスタッフが複数のユーザーの問い合わせに対応します。確かに実店舗型よりも多くのユーザーを相手にできますが、忙しいときは返信が遅れてしまうことも少なくありませんでした」

 複数のユーザーからくる大量の問い合わせを同時に処理しなければならないため、どうしても待ち時間を作ってしまう。「駐車場はあるか」「トイレと風呂はセパレードか」――など、本来であればすぐに回答できるはずの簡単な質問でも、返事を返すまでに10~15分程度かかってしまうことも多かったという。

 この課題を解決するため、AIを活用し、データベースを参照すればすぐに分かるような問い合わせは自動で対応できるようにしようと考えたのだ。

 「ユーザーからの質問は似たようなものが多く、また、HP上でも公開しているようなシンプルな内容の問い合わせが大半です。返答パターンを学習させたことで、問い合わせの6割をAIだけで対応することが可能になりました。データベースに載っていない質問が来たときにだけスタッフが対応をしています」

 伊藤社長によると、実店舗のスタッフが月間で対応できるユーザー数は40人程度だが、AIによる即時対応を実現したことによって、その25倍に当たる1000人以上の対応ができるようになったという。

 また、生産性を向上させたことによって仲介手数料を一律3万円に設定することが可能になった。AIによる効率化でイタンジのサービス力は進化し、ユーザーから高い人気を集められるようになったのだ。



ITで不動産業界を変える

AI(チャットボット)の活用によって人気サービスを作り上げたイタンジ。冒頭でも述べたが、このサービスはプラットフォームサービス「ノマドクラウド」として他の不動産仲介会社にも展開しており、既に200店舗以上が導入している。導入店舗は、単に業務効率化を実現しただけでなく、売り上げ面でも効果を発揮しているそうだ。

 「ノマドクラウドを導入したある店舗では、導入前と比べて月間の売り上げが60%増になったという報告も出ています。簡単な対応を自動化したことで、スタッフが付加価値の高い営業トークに注力できるようになったことが売り上げ増につながった要因です」

 パターン化できる事務的作業をAIにやってもらうことで、人間は効果的なレコメンドやセールストークに集中できる。双方が得意な分野の役割を担うことでサービス質は格段に高まっていくのだという。

 また、同社は管理会社向けに、不動産仲介会社からの(ダイヤル入力による)物件確認に自動応答するシステム「物確君」というサービスも提供している。

 「一般的に、1つの物件確認にかかる時間は2~3分程度ですが、管理会社によっては1日に1000件以上もの問い合わせが仲介会社からきます。この問い合わせを自動化できればかなりの負担軽減につながると考えました」

同サービスは既に大手管理会社を中心に100店舗が導入しており、従業員の受電数を平均で50%削減できているそうだ。今後は、顧客情報を管理している「ノマドクラウド」と連携させていくことで、契約見込みのあるユーザーに絞った物件広告を「ノマドクラウド」上に出稿できるサービスも展開する予定だ。

 今後の目標について伊藤社長は「年度内に『ノマドクラウド』の導入を500店舗以上、『物確君』の導入を300店舗以上に拡大させていき、2020年までに株式上場を目指す」と意気込む。

 「AIが大量にデータを蓄積し、学習していくことで、サービス力は今後も高まっていく。テクノロジーによって不動産業界を大きく変えていけると確信している」


引用:http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1702/27/news017.html



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