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友だちにお手紙を書くようなフリーペーパー『えんを描く』8通目

発行年月:2013年2月
娘:5歳、保育園児の時
私:30歳

『えんを描く』とは?

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<当時を振り返って>
この号から娘の絵が毎回登場します。内容的にも、当時5歳だった娘と生きる日々のことを書き綴っています。娘を中心に広がっていく世界、そばにいるからこそ見えるもの・・・みたいな。

こうしてフリーペーパーを読み返していたら。まるで、過去の自分からお手紙を受け取った気持ちになります。

あぁ、今から12年前の、30歳の私には世界がこんなふうに見えていたんだなぁって、こんなふうに捉えていたんだなぁって。根っこはそんなに変わらないけれど。このしゅわしゅわっと弾ける、瓶ラムネみたいな感じがたまらなく、まぶしくて。なんだか、元気と勇気をもらえました。

日記でも、ブログでもない、フリーペーパーという、個人による自由なメディア。“誰か”に向けて発信するために、編集しているからこそ、こうして読み返しても、また届くものがあるのかなぁと思いながら。まぁ、「自分だからか(笑)」なんて思いながら。

そういえば、フリーペーパーを読んだ知人から「なんのためにつくってるん?」「自己満足な内容でしょ?」「誰が、おもしろいの?」と言われたことも思い出します。まぁ、そうなんですけどね。今でも思い出すくらい、言われた当時は落ち込みました。今も、言われれば、確かにそうなんですけど。

でも、“誰か”に届けばいいなぁという願いは、いつも込めています。

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こんにちは。
お元気ですか?
どんな毎日をお過ごしですか?

私は元気にしています。

5歳の娘から、いろイロなギフトをもらう、毎日です。

娘の毎日はとってもカラフルです。

プランターを持ち上げて、だんごむしや何やら虫を探したり。
地面にでーんと座って、泥だんごを作ったり。
育てているなすびの成長を楽しみにしたり。
先生お手製のドレスをひらひらさせたり。
ままごとごっこのエプロンを身につけて、
小さい子の面倒をみたり。
「お片付けしてください」という先生の声を聞こえないふりしたり。
誰かがほめられていたことを自分も真似したり。
友だちと思いきりケンカして、次の瞬間には仲直りしていたり。

子どもとともに生きる毎日は、
未来に思いを馳せるまいにちで。

自分の娘だけ、未来だけではなくって。
子どもたち、大人たち、今・・・
いろんなことについても、思いを馳せます。

娘のしあわせを願うと同時に、みんなのしあわせも願っています。

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 娘、5歳のお誕生日。未婚のシングルマザーとして娘を生み、育てようと決意した日の青空を思い出しました。“生まれてきても、それほど世界は素晴らしくないかもしれない。片親の子として生まれてくるという運命も背負っている。けれど、私は「生まれてこれてよかった」と思うから、この子にもそう思ってもらえるようにしたいと思った。”どんな人生であっても、「生まれてきてよかったなあ」と思えるように。そう願うばかりです。

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 幾“千”の “絵”を描くように、いろんな人たち、いろんなものの、気持ちがわかる、想像力豊かな人になりますように・・・という願いをこめて、「千絵」と名付けました。さらには、“絵”は、私の母の願いがこもっており、“千”には私の母の母の願いがこもっています。受け継がれていく、願い。名前を通じて、過去から現在、未来へと、つながるのです。

☆★☆

 娘が母子手帳の中に挟んでいた胎内写真を見つけて「これ、なに~?」。「おかあさんのおなかにおってな、指しゃぶりしてたんやで」と話しながら、なつかしく、不思議な気分に。私も、私の父親も、あのおっちゃんも、あのおばちゃんも・・・みんな、おなかの中におったんやもんな。

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 娘が着ている服の中には、あの子やこの子の“おさがり”があります。“おさがり”をいただく時、みんな、「私も、そうしてもらってきたから」と。そうやって、脈々とつながっている、つながっていくもの。娘が着ているこの服は●●ちゃんが着ていたもので。●●ちゃんの前にも着ていた子がいて・・・。いろんな思い出がつまって、今ここにあるんだと思うと、いとおしい。

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 保育所の子どもたちを見ていると、“ともに”という感覚を持っているのだと感じます。たとえば、足の速い子がいて、「すごいなー。自分も速く走れるようになりたいなあ」と。水に潜れる子がいて、「すごいなー。自分も潜れるようになりたいなあ」と。純粋に、尊敬できる、憧れられる。妬みはありません。その子の素晴らしさを評価し、自分もそうなれたらいいなあと思う。できなくても、何度も何度もチャレンジ。自分もいつかは「できる」という自信に溢れている。“ともに生きている。ともに頑張っている”そういう感覚があるのだと感じます。

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 子どもと一緒に歩いていると、おばちゃんによく声をかけられます。知っているおばちゃんはもちろん、知らないおばちゃんにも。最近、よくわかる、そのおばちゃんの気持ち!! わたしも、特に0歳児を見かけると、話しかけずにはいられない衝動に駆られます。その子がかわいいのはもちろん、その子を通して、娘の赤ちゃんの頃を思い出すのです。そうそう、そうそう、足で勢いよく蹴って、喜びを表現してくれたよなあ~とか。頬をぱちぱち、ぱちぱち、叩いてくれたよなあ~とか。娘とのそんな日々を、目の前にいる赤ちゃんと重ね合わせて。この子も、こんな感じかな~、おかあさん、がんばれ!! と応援したくなるのです。

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 娘3歳の頃。スーパーで「がちゃがちゃやりたい!」というので、拒絶したら、大激怒ゆえの大泣き。そんな娘と格闘していたら。おじちゃんが、やさしい笑みを浮かべながら、小さな電車のおもちゃをくれました。先日、2歳くらいのお子さんが大激怒ゆえの大泣きにより、ベビーカーに座わらず、移動できずにいたお母さんを見かけたので、お子さんに、娘と一緒に話しかけながら、サイコロ入りのキャラメルを。そこにはお母さんへの「気持ち、わかりますよ。私も、娘がそのころには苦労しました」的なうなずきもプラスして。おじちゃんからはじまった“やさしさのバトン”をつないで。またつながっていったらいいなあと思いながら。これまで、本当に、いろんな方から、やさしさをいただいてきたなあと。今度はわたしがつないでいく番だなあと思ったのです。

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「おかあさん、いっしょのゆめ、みよっか」と
5歳の娘。手をつないで眠りました。

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「おかあさん、かみのけ、おにみたい」。
風で乱れた私の髪を、娘が整えてくれました。

「これでいいのかな」「大丈夫かな?」と不安いっぱいで、ドキドキしながら、書き綴っています。だから、リアクションやサポートをしていただけると、とても嬉しく! 舞い上がります。励みになります。