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『ノンセクが26年間を振り返ってみた話』⑯気付かないズレ

    「無理」とは口にしていないものの、私の拒否反応をAくんは察し、それ以降、いわゆるイチャイチャ~性行為といったのはほぼなくなった。

    私にとってはありがたかった。美味しいご飯を食べて、テーブルを挟んで何気ない話をし、時にはどこか出掛けて、午後9~10時くらいにバイバイする。こういう関係でも恋愛だと思っていたし、望む形でもあった。
    Aくんも特に文句を言わなかった。私に対する熱量?は前に比べてかなり減っていたけど、「冷め期かな?」なんて思って、私の方から色々提案することが多くなったくらいで、関係はあまり変わっていないと思っていた。

    だけど、またAくんが性行為を望んだらどうしようか、そのときには嫌という気持ちが変わってるかもしれないけど、回避できるなら回避したい…
   
    そういう思いも相まって、一度、彼に対して失礼なことを言ってしまった。
    Aくんは標準よりややぽっちゃりしていた。運動してるとはいうものの、彼の服を脱いだ姿をみたとき、思っていたよりお腹が出ていてガッカリした。「このまま太っていったらやだな、隣歩きたくないな」と思う私に対し、「肥満遺伝子持ってるから仕方ない」とぼやく彼にイライラして、「ねえ、もうちょっと痩せようよ。正直、今の身体で抱かれたくない!」と言ってしまった。

    イチャイチャをしたくない理由を彼のせいにしたのだ。本当は痩せたとしてもしたくないと思ってたのに。


    悲しい顔をするAくんを見て「しまった」と反省した。酷いことを言ってしまった。その後何回も謝って、彼も許してくれたが、そのあたりから二人の間の溝が浮き彫りになっていった。


    ちなみにこの頃、私は、もしかしたら身体の関係がなくても恋愛や結婚っていけるんじゃないかと密かに期待していた。子どもは欲しいと思っていたのでゼロは無理だが、それ以外はしない関係。
    今思うと自分本位すぎてツッコミたくなるが、本気でそう思っていた。

    そんな状態が2ヶ月くらい続いたころ、Aくんがためらいながら私に問いかけた。