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acogale
不正のエピソード(その1)
今は昔、とある金融機関で不正があったとさ。
今も昔も、ではあるが、それは置いておく。
ATMの現金を横領していたという話で、金額は伏せるが、一回の持ち出しで横領できるような金額では全くなく、長期にわたって横領を繰り返した結果だった。
現金を大量に取り扱う金融機関の歴史は、銀行強盗との闘いの歴史であるとともに、不正とのいたちごっこの歴史でもある。ゆえに一般の事業会社から見ると「どんだけヒマやねん!」と関西弁で突っ込みたくなるくらい、堅牢な内部統制が整備運用されている。にもかかわらず、なぜそんな不正が起きたのか?
答えは簡単。
ATMの現金詰め替えは必ず二人一組で行うこととされていたにもかかわらず、業務多忙を理由に特定の一人だけにやらせていたのだ。
どんなに立派な仕組みを作っても、ちゃんと運用されていなければ何の意味もない、という典型的な事例だ。
不正をやった本人はある意味腹を括って犯行に及んだのであろうから、その後の運命も自業自得だが、一人で現金詰め替えをやるように命じたり、それを止めなかった店長や次長らは悔やんでも悔やみきれないだろう。間違いなく銀行員としての人生はそこで終わっているから。
また、彼らがルール通りの運用を指示していれば、犯罪者を一人減らすことができたのも事実だ。不正を許す環境を作り出した責任は重い。
経営者による経営判断の重みは今更言うまでもないが、管理職によるちょっとした業務上の判断も、時として何人もの人生を左右することがあるのだ。恐ろしや恐ろしや。
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