見出し画像

「FOCUS ON -NIJISANJI SINGLE COLLECTION- 勇気ちひろ」を一度だけ聴いてみた

全記事リンクはこちら
最初の記事
二つ目


二つ目の記事でも述べたが、音楽とは何度も聴いてこそ味が滲み出してくるというもの。時には数か月、数年寝かしてみたり。

楽曲そのものはただのデータ。何年経過しようと響き方に違いはない。にも関わらず、聴き手である私たちの感情や、取り巻く環境、社会、政治的情勢によっても響き方が変わるのだから、音楽はいつも面白い。

なればこそ初めて聴いたその瞬間の感想も記録してみたい。他ならぬ、推しが初めて音源として公式にリリースした音であるのなら。

いくらでも改竄できるが一応

なお、一度のみの拝聴故、感想もまたインプロ爆発。勢いのままに文字を叩きつけたい。



1.Ultramarine Sky -瑠璃色の空-


構成、BPMとも予想通り。やはりこちらの方面はアニソンと≒。ここではないどこかへと目指し駆け出して行く疾走感に同じ、アッパーな音像に仕上がっている。

生音によるギター演奏ウォール・オブ・サウンドを担いつつ、ピアノ、シンセによる王道の味付け。またサビに導入されるマークツリーはマジで「アニソンだ!」と思わせてくれる。広い世界どこを見てもこの界隈にしか聴かないようなアレンジだ。

界隈の王道、定石を踏み外さないサウンド。さすがプロのお仕事。推しはよく自らの個性を尊重するが、歌を声に乗せ届けるのであれば、これぐらい真っ直ぐど真ん中も悪くはないのではないか、と邪推する。

ドラムは打ち込みながら生音に沿った音選びに。フレーズだけ聴くと「そんなふうには叩かんやろー」とか思いたくもなるが、打ち込み独自と加味すれば。しかし、やはり生音と比べればやや大人しい仕上がりになっているのは否めない。

思った以上にキーが低いと感じたのは、書き手が勇気ちひろの音域を「一般女性のキー」と仮定していたからでは、と思ったり。さすがにわざわざ歌い手の音域をプロファイリングするまでの労力は割けなかったか。

ギター、ベースとも低めで、中、高音域であるシンセもサビは味付け程度。音域を被らせないため、予め「女性が歌う」ことを想定して書かれた楽曲であることに間違いない。やはりプロのお仕事。抜かりなき仕上がり。

何より、たった一度の拝聴でもわかる「最初から最後まで歌いっぱなし」な曲構成とは間違いなく、勇気ちひろの声を最前線に飛ばすためのものだろう。ギターソロですら歌を被せる構成になっているのには驚いた。バックはいいからあくまでも「声を聴け!」と言わんばかり。

最近はギターソロが流れると曲をスキップするリスナーが多いと聞く。それでも演者を立たせるためか、半ば強引にギターソロを捻じ込むアレンジを選択した伊藤和馬(Arte Refact)さんには頭が上がらない。と同時に、「あんたも苦労してるんやな・・・」とか考えちゃう。

歌詞も含め、良くも悪くもストレートに仕上がったナンバーだと言えよう。「面白みがない」と捉えるか、「これぞ王道」と捉えるかは人それぞれ。

して、全編「ちーちゃん」でこのようなシリアスな楽曲を歌うのは歌枠でもあまり類はない。王道でありながら、勇気ちひろの中にある「三名の歌い手」の誰が担うかによってレパートリーの変化にも繋がるのだから、往年のファンからすれば「何が王道か!」といった見方もできるのが面白い。

彼女をよく知らない人からすれば「シンプルだな」と思われてしまうかもしれないが、ファンからすればこの王道アレンジですらも新鮮味があるのだから、やはり歌を歌うことにおいて勇気ちひろには他にはない特異な武器があると改めて思い知らされる。

シンプルだからこそ勇気ちひろは三人いるという事実がより際立つ。ただの声音の使い分けと収まらない三者三葉の声を扱う歌い手とは、界隈を見渡しても勇気ちひろ以外にそういないだろう。

彼女は今も一人ではなく、ちひろさん、ちーくんと共に、三人で舞台に立つ。それはきっとこの先も、勇気ちひろでしか成しえないステージングなのだろう。




2.Raspberry


メインシングルとカップリングはテイストが大きく変わるパターンが多い。タイトルや歌詞からもそれは顕著で、きっと女性らしさを前面に表現したキュートなものになるだろうと視聴前は推測。

イントロ数秒から聴いて驚き。もうシンプルに笑った。あの歌詞にて、まさかメインよりもゴリゴリなハードアレンジで攻めてくるとは。一曲目より明確なギターソロもあるぞ。

二つ目記事にて四つ打ち、ミディアムテンポであると予想し、また的中したが、「散歩に合う」はまったくもって正反対。あんな低音の効いた散歩はゴジラか、あるいは楓さんにしかできんて。

王道のシンセアレンジはメインに同じだが、ピアノの調べはこちらでは聴こえてこない。パーカッション的電子音もまたメインにはないアレンジ。心地よく鼓膜を揺さぶってくれる。全体的に重心は低い。ガチに低音攻め

ヴォーカルを務めるは「ちひろさん」。やはりこの歌詞ならば、ちーちゃんにはちょっぴり早い。歌枠でもあまり聞かれなかった、少し刺激的なキー低めのちひろさんを堪能できる。

また聞き逃せないのがタイトルに同じ「Raspberry~」から始まるプチラップパートだろう。まさかの「ちーくん」も参加とは予想外。やはり勇気ちひろとは三人で一人であることがよくわかる。

これはただの推測だが、おそらくは推し自身がレコーディングの際に自ら「三人の声を入れたい」と申し出たのだと予想する。自分の強みである三つの声をここで披露せずしてどうする、といった思惑があったのだと推測。

キー高めな勇気ちひろの声とのギャップを狙ったと鑑みれば成功だが、しかしメインとも近しいテイストならば、メジャー調のストレートなポップソングが聴きたかったなぁ、と欲してしまうのは私だけのわがままなのだろうか・・・。

とはいえ今までの推しイメージとあまりそぐわない攻撃的な音もまた良し。あるいはこれは、度々「かっこいい曲が好き」と言う推しが自ら申し出たテーマソングなのかもしれない。

これ一枚で三人の声がある。名刺代わりとしても問題ない。それらを加味してレコーディングに臨んだのであれば、推しかえにからか、いずれにしてもお仕事上手だと思う。ナイス。



3・4.各楽曲のオケ


基本的には「カラオケ練習用」トラックではあるが、バックの演奏だけを聴くと、それはそれで歌に対する理解も深められたりする。

まず二曲とも構成、タイムがほぼ同じであることがよくわかる。「えにから」側から指示された作曲依頼内容とは二曲とも似たようなものだったのだろうか。

社内のうち、誰がオーダーしたのかが気になるところだ。勇気ちひろ理解度の深い、浅い如何によっては、曲のクオリティもまた大きく変わる。少しでも推し、また音楽に対し、知識のある者が依頼していると信じたい。

また、二曲とも全体的にローを効かした構成になっている。これはわかりやすく、ハイである女性ヴォーカル音域を邪魔しないための音像だろう。

多くのリスナーは「勇気ちひろの声」を聴くために流すのだから、バックトラックなぞ控えめでなんぼ。それでも演奏者を最低限立たせるためのギターソロも捻じ込んでいたりして、歪ながら面白いポイントだと感じたり。

ただのオケと侮るなかれ。いかに「勇気ちひろを立たせるか」に腐心するプロのお仕事による血と汗がそこには流れている。

好みは人それぞれだが、それでも感謝したい。このオケがあってこそ彼女は歌うことができた。推しのために楽曲を制作してくれてどうもありがとう



5.ボーナストラック

今まで何度も言葉にしてきたが、私はなにも勇気ちひろが可愛いからだとか、声が好みだからとかで推してきたわけではない。声なんて初期にこんな記事すら綴っている。

それでも断言できる。これは本当に、

死ぬほど可愛い


誰でも好きになる。なんならもう、誰にも聴いてほしくない。自分のものだけにしたい。

というわけで、ファンならこの一曲のためだけにCD購入して一向に構わない。13分もある。マジで推せる。これ聴いて「損した」って思うなら、そのCDで私を切り刻んでくれて結構。そのまま血まみれになったCD持って帰る。その場で舐めて人間蓄音機になる(?)



6.終わりに


諸事情で聴いたその場で記事にできず、これを書いている今は12/04、大体1:35の夜中。もうすでに聴いた記憶が朧気になりつつある。

楽曲とは不思議なもので、何度も聴くうちに記憶によって構成を覚え、理解が深まるのは当然、なぜか二、三か月、下手すれば何年後、何十年後と聴き直した時でさえも新たな発見に気付けたりするのだから面白い。

勿論、新しい音楽に触れるのもいつだって楽しい。聴き倒した音楽をまた聴いたって楽しいのだから、本当に死ぬまで永遠に終わらない趣味だ。

いつか勇気ちひろもマイクを置いてステージから去る瞬間があるのだろう。それでも残された音源は色褪せず、また変化もせず、そのままの形で世に残り続ける。聴く者がいなくならない限り。

この下らない記事たちもまた、インターネットの海にいつまでも残り続けるのなら。十年後でも、百年後でも。「こんなライバーがいた」という記録になれば幸いだ。誰も掘り起こさないまま風化していくのもまた、それはそれで悪くない。

これからは他の音楽とともに、彼女の楽曲も気まぐれに聴き続けてみたい。新たな発見があった際には、また記事にしようと思う。

音楽とはいつか終わるまでの人生のサウンドトラック。勇気ちひろの声もまた、そんな人生を彩る一つのBGM。ともに旅をしてゆきたい。ボーナストラックばっかり聴いてそうだけど。マジで可愛いんだから。




2023 5/10追記

やっとこさ各種ストリーミングサービス開始。勇気ちひろだけで言うなら、リリースから約半年後のこと。正直に言えば、遅すぎる・・・。

フィジカルとの明確な違いとして、予想していた通り「ボーナストラック」はCD限定。これはグッド。内容含む、お仕事上手。マジでボートラだけで買う価値がある。

このストリーミングにおいてちょっと怖いのが「再生回数が目に見えてしまう」こと。楽曲クオリティにも左右されるだろうが、それでもはっきりと人気のあるなしが数値として表れるのはいかんとも。

とはいえそれは普段からの配信、歌みた動画に同じ。見えて良いことも往々にある。再生すれば、わずかながらでも作詞、作曲者の支援ともある。これからはストリーミング再生を主軸に拝聴すれば、推しへの間接的な応援ともなるだろう。

最後に、一応この呟きも。

所謂コンピレーション形態購入によって特典楽曲もゲットできるというもの。阿漕な商売、と言えなくもないが、これには「貴方の推し以外のライバーにもいい歌、いい声ありますよ」という、運営なりの支援、CMの意味合いもあるのだろう。

お目当てのライバーのためだけに耳を傾けるもよし、これを機に新たな推し発見へと耳から手繰るもよし。所属人数の多さから、これもまた「
えにから」特有の武器、なのかも?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?