【随想】半沢直樹 第1話「功利主義」

半沢直樹が始まりました
社会派、山崎豊子の系譜でしょうか
ミステリーに人間ドラマを取り込んだ、東野圭吾
人間ドラマにファンタジーを取り込んだ、伊坂幸太郎
の躍進の後に颯爽と現れたリアリズムの旗手、池井戸潤
重厚な人間ドラマはミステリーやファンタジーなどの
飛び道具を使わなくても戦えますといわんばかりに
拳一つで驚異の視聴率を叩き出す
忖度社会に住む日本人の共感の渦を巻き起こしてやまない 
世の会社員諸氏は半沢直樹の倍返しのカタルシスを通して束の間溜飲を下げる
前作が放映された後は、スカッとジャパンのような番組も作られ
因果応報、勧善懲悪な物語、デフォルメされた現実の悪に対し天罰が下る話がもてはやされた
人々は日々の生活の中で抑圧されすぎているのではないか
結果、わかりやすい復讐劇が求められる
ところが、前作の半沢直樹のラスト
それでも、世界は変わらない
筋を通し、世に正義を貫いても、忖度、功利主義の呪縛からは抜け出せない
まるで、カフカの審判を見ているようなどうしようもない絶望の無限回廊
世の会社員がみな現実で忖度しすぎた結果
フィクションで解消しているとしたらそれはとても悲しいことだ
今回の半沢直樹が前作と同じような結末を迎えないことを切に願う

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