見出し画像

介護職とホランド理論RIASEC

介護の現場の人間関係が良くない理由をRIASECで解明する。

介護の現場での仕事の人間関係が良くないということを良く聞くし、それが原因でわずかな期間で辞めていく人達も沢山いる。
対人支援の仕事にとって、人間関係が悪いと、利用者にとっても良くない環境であることは言うまでもない。なぜ、人間関係が悪くなるのか、アメリカの心理学者ホランドのRIASECを使って解明したい。
RIASECを簡単に説明すると、まず、多くの人々のパーソナリティ(個人の性格、個性、人格。心理学では、個人の行動や判断のもとになる考え方や傾向)は、6類型に分けられる。

R現実的タイプ 機械や道具を使う仕事。身体を動かす仕事。
I研究的タイプ 研究する仕事。分析、調査する仕事。
A芸術的タイプ 創造的な仕事。表現する仕事。
S社会的タイプ 人と接する仕事。人に奉仕する仕事。人を助ける仕事。
E企業的タイプ 企画する仕事。組織を運営する仕事。
C慣習的タイプ 事務的な仕事。規則的な仕事。


ホランドの6角形

ホランド理論だと介護職は、Sの社会的タイプにあたる。しかしながら、仕事の内容としては、身体を使う仕事でありRの現実的タイプの人も集まってくる。
RとSは、最も距離が離れているため、相互関係が弱い。つまり、価値観や求める環境の違いが大きいということになる。この価値観の違いが、介護職の人間関係を悪くしているのである。

六角形の対角線上にある、S社会的タイプとR現実的タイプ

Sの社会的タイプの人は、他者を援助したり、他者に合わせ教えたりすることに、喜びを感じる。まさに、介護職に適した人達である。
一方で、Rの現実的タイプの人は、社会的職業や社会的場面に必要な活動を好まず、現実的な職業、例えば、製造業や整備士等の仕事を好み、また適しているのである。
介護職は、一見、作業的で、肉体労働のように感じるが、実は、人を援助する、社会貢献の仕事なのである。
流れ作業のように、早く仕事をするのではなく、コミュニケーションをとり、利用者に合わせた、どちらかというとスローテンポな仕事である。
対人支援の仕事に、流れ作業をあてはめてはならない、効率良くしようとすると必ずトラブルが起きる。例えば、ある介護職員が、「コミュニケーションが大切だ」と、利用者に合わせて介助をしたとしよう。一方では、「早くしてくれ、時間がかかり過ぎて仕事が進まない」と利用者に寄りそったサービスをしなくなり、互いに対立してしまう。よって、人間関係が悪くなり、環境も乱れ、辞めていく人達も増えてしまうのである。
人手が少ないからといって、誰でもいいわけではない。
手先が器用だから、仕事が早いからとかで、できる仕事ではないと思うし、やはり、人を助ける仕事なので、第一に気持ちが大切であり、技術は後から付いてくるものだと思う。


介護職の才能

今まで、学校や職場等で、勉強や仕事や行動が遅く、その場所に馴染めなかった人に、是非、介護の仕事に挑戦してもらいたい。
なぜならば、行動の遅い人は、待てる人であるから、決して利用者を急がせず、ゆとりのあるサービスを提供できるのではないのかと思う。
焦らず、ゆっくり待つことができること、それ自体が良き才能である。その才能を生かせる仕事こそが介護職ではないだろうか。
やがて、皆、歳をとり老いていく。最後は、自分のペースに合わせてくれる心優しき人たちから、心のこもったサービスをうけたいものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?