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生成AI世紀のエンジニアとは?

生成AI世紀(Generative AI Era)はどんな世紀?

これはRetailAI Adventurers Advent Calendar 2023の記事です。

生成AI世紀の紀元前(BC)、紀元後(AD)を、半ば消化不良気味に体験しながら、一体この先、どんなことが巻き起こっていくのだろうと、期待と恐怖の入りじまった感情で日々眺めている、そんな状態です。

Geminiの発表で、マルチモーダルモデルの凄さには圧倒されましたし、とはいえ、Medpromptでできることも多そうだと、何にしても下流タスクとしての使い所は確実に増えてきていて、人の役割そのものがシフトしていく予感は現実味を帯びてきていると言えそうです。

ところで、今後生まれながらにして、生成AIが世の中に存在している子どもたちにとって、我々おじさんが過ごしてきた生活とは一変していくことでしょう。

例えば、入学式当日、SNSではすでにバーチャルな関係を築いていた新入生たちは、さらに、生成AIエージェントを作って、入学前に事前のシミュレーションを行うことだって可能です。

どの子と仲良くなれば、今後の学生生活を最も楽しく過ごせるか、事前のシミュレーションによって、友人候補がスコアの高い順にソートされてリストアップされています。

それは、社会人になってからだって同じで、どの会社に入れば、人生が豊かに過ごせるか、豊かさの尺度は人それぞれ違いますので、自分にとって最も豊かな基準に合わせて、職場や人間関係、会社や組織の選定に至るまで、事前にシミュレーションができる世界、それが「生成AI世紀」ではないでしょうか。

昔からよくいいますよね、「石橋を叩いて渡れ。」ほら、これって極めて確実な行動です。

SNSで多くの支持を得ている記事や人は、信じるに値する。それと同じように、生成AIエージェントによって、評価された条件は信じるに値する。

むしろ、自分の目で確認するよりも、SNSで他の誰か(フォロワー数の多い誰か)が言ったことの方を信じたい。ましてや、そうした多くのデータや、自分のことをよく知る生成AIエージェントが勧めてくる内容に、間違いなどあろうはずがない、そのように考えることになんら違和感を感じません。

身の回りに目を向けても、すでに、エンジニアは、有益な情報をテクノロジーのソースや実行プログラムの反応以前に、SNSの中に見出そうとする傾向があるように思います。もちろん、自分も含めて。

このようなお膳立ての最中、さらに、もっともらしい生成AIエージェントが「きっと、こうですよ!」なんて、自信満々にアドバイスされちゃうと、もうそれを信じないという方が難しいです。

科学の役割は、眼に見える複雑さを眼に見えない単純さに置き換えることだ。なんて、どこかの偉い科学者が言ったとか言わなかったとか。

だからって、目に見える複雑さから目をそらして、どうやって目に見えない単純さに置き換えるんだ、とか説教じみたことを言うつもりはありません。

抗えない歴史の流れに、どう順応していくか、生き残るために、それを考える必要がある、そのように感じるのです。

コンピュータ・エンジニアリングは不要?

エンジニアリングとは、観察と分析、そして、それらに伴う適切な判断に従って進んでいきます。

時には微分的というか、今に対して刹那的なアプローチを繰り返し、yak shaving に陥ることもよくあります。しかし、ソフトウェア、ハードウェア関係なく、エンジニアリングとして前に進むためには、ある意味それしか方法がないとさえ思えます。

そして、そうして学んだ経験や知識が、エンジニアの糧となり、状況を俯瞰して見えるようになったり、過去を振り返り、積分的な理解に広がることもあるように感じます。

しかし、生成AI世紀において、コンピュータ・エンジニアリングは必要ないのかもしれません。

観察と分析を行うまでもなく、生成AIは、代わりにすべてのデータに基づいて、シミュレーションを行い、つまづきそうな小石を払い除けてくれます。

まるで、手動運転のパイロットの運転よりも、オートパイロットの方が安全だというように、経験不足のエンジニアたちは、失敗する場面を尽く失います。

飛行機のパイロットなら、乗客はその方が絶対安全でしょう。しかし、多くの copilot たちも、パイロットになるために、最初から上手に運転できたわけではなく、飛行シュミレーションなどを使って練習した上で、「よし、これなら大丈夫だ!」と教官のお墨付きを得て、実践訓練に入れるわけです。

これはなにも、パイロットのような特殊な技能を必要とするタスクに限らず、自動車の運転免許にしたって、最初は教習所の敷地内で練習した上で、「よし、これなら公道に出ても大丈夫だ!」と、認めてもらった上で、次のステージに進むというのは同じことですよね。

それであれば、生成AI世紀のコンピュータ・エンジニアリングは不要になるというよりも、むしろ様々なシミュレーション体験によって、プロになる前に、学ぶことができる幅が広がったということができるのかもしれません。

基本情報処理とか、いろんなベンダー資格がありますけど、それらを学んですぐに実務で使えることはほとんどありません。それよりも、生成AI世紀のエンジニアたちは、もっと実践的な条件を設定して、シミュレーションを通じて多くのことを学ぶ機会を得られるのではないかと感じます。

あたかも、copilot は自分の方で、シミュレーションを用意してくれる生成AIはパイロットの教官であると認識して、リアルな実務を学ぶ機会を増やしていく。

過渡期である今こそ、生成AIのせいで、実務で失敗し、経験する機会を喪失したと考えるのではなく、これまでは実務でしか経験できなかった経験を、生成AIを使って、事前学習時にシミュレーションすることができるようになったと、プラスに捉えていくことが大事であるような気がします。

まとめ

いかがでしょうか?生成AIは便利ですし、copilotやDuetAIを使えば、これまでの人のオペレーションは、大きく様変わりしていくことでしょう。

そんな大きな時代の変化の最中、エンジニアやプログラマは、職を失うと悲観的に考えるのではなく、これまで、キャリアを積まないと得られなかった経験値や知識を、生成AIを用いたシミュレーションによって、大きく学習時間を短縮できるようになった、それが健全な理解なんじゃないかと、そんなふうに感じています。



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