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第二章 深夜急行〜荒野へ〜

深夜出発の急行列車は彼の住む町から地下鉄で十五分の中央北駅が始発駅だった。誰一人見送ってくれるものもいなかった。錆び付いた小さな黒い金属の粉末が塵埃と見分けの付かない焦げ茶色の砂鉄の流れの中に紛れ込んでいくような、孤独な旅立ちだった。
 
夜行列車は彼が暮らした首都の中心部にある、白い幻のような霧の立ちこめる中央北駅を定時に出発した。象徴的にいえばこの世界に住む全ての人々の運命を乗せた、それは本当に幻想に向かって旅立つかのような出発だった。

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