あの一点へ



捜すという行為は 見えなくなった
ものを、ある というように
解釈する行為である
遠く踏みしめた海のうへの
不確かな感触で追憶のなかにあるその
一点を
私は捜しながら

みずからのかたくなさが
投げさせたもの
棄てさせたものの
ひとすじ澄んだ重さ
過去からせまって来る
あきらめに似た悔悟

吐き出したいものを
飲みこんで
仕方なく積みあがる日々の谺
抱きしめたいものを
突きはなして
やるかたなく滲む咎
あの一点へ 私は片づける
あの一点が 私を撃つまで