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「自分を変える」ための恋愛はアリなのか【非モテの苦悩シリーズ】

 このところ、自称チー牛・資産2,500万円・大手メーカー勤務の某氏の成功体験が界隈を賑わせている。Xで出会ってオフ●コした女友達に告白されてそのまま付き合うことになっちゃいましたという話である。わずか2日かそこらで「童貞」&「彼女いない歴=年齢」という2つの巨大な汚点をきれいさっぱり、そして呆気なく払拭した彼は、あっという間に僕の手が届かないほどの高みに昇っていってしまった。

 一般的に僕を含めチー牛と言われる人種は性的魅力に乏しいので、オフ●コというカタカナ4文字からは最も縁遠い存在であることは間違いない。失礼ながら一体彼の何が良かったのか気になるところだが、彼の表現を借りると、自分の魅力が「刺さった」人とのことである。ただ、「刺さった」のが彼の容姿なのか性格なのか資産なのかそれとも別の何かかは定かではない。

 当の本人はやはり彼女ができて舞い上がっているのか、最近は我々非モテに対するアドバイスめいたポストがちょいちょい見られるようになり、自分だけ人生を進めたからといってあまり調子に乗るなよと小突いてやりたい気もするが、とにかくおめでたいものはおめでたい。僕にもまだ一応、人の幸せを喜べる心があって一安心した。

 で、(比べるのもおこがましいが)一方僕の方はというと、ここ最近の記事でたびたび登場しているMさんとやりとりを再開したところだ。

 前回の記事でもお話したが、Mさんはマッチングアプリで出会って現在はLINEでやりとりしている人で、これまで2回ご飯に行ったが、あまり共通点はなく、人付き合いに消極的な僕の性格も相まって、次第にやりとりに疲れてきて僕の方からしばらく既読無視してしまっていた。ちなみにかなりのジャニヲタである。写真を持ってないのでお相手の顔も忘れたし、前回会ってから日が経ったので声も忘れてしまっている。

 上記の記事に対し、何人かのフォロワーさんからいただいた反応も踏まえて、冷静に検討した結果、いくら疲労困憊しているとはいえ、やはりこのままMさんとのやりとりを断ってしまうのは勿体ないどころか、どう考えてもありえないという結論に達した。

 3か月のアプリ利用を経て運良く手にした唯一のチャンスなのだし、多分、ここで諦めたら絶対に後悔する。死ぬ間際、走馬灯のようにこの短く虚しい人生を振り返る瞬間があるのだとしたら、「あの時もっと頑張っておけば、いない歴=享年にはならなかったかもしれないのに…」と薄れゆく意識の中で今さら取り返しのつかないことを嘆いている、年老いた哀れな僕の姿が容易に想像できるからである。

 もう無理やりにでも前に進めるしかない。当たって砕けたらその時はその時である。結果はどうであれ、「頑張った」という証跡を残すことが重要なのだ。同じ「いない歴=享年」でも、「頑張らなかったから彼女はできなかった」と「頑張ったけど彼女はできなかった」との間には雲泥の差がある。

 さて、ちょっと忙しかったごめんねというようなことを言ってやりとりを再開したけれど、相変わらず話すことはそんなにない。チャットのやりとりはしんどくても、案外会ってしまえば何とかなる気もするのだが、相手の体調がイマイチで、会えるまでもう少し時間がかかるとのこと。来月にもう1度会えるチャンスがあるかないか・・・というところだろう。

 とりあえず行けるところまで行くという方向性は決まったが、それだけでは、Mさんとの関係を発展させる「推進力」に乏しいと言わざるを得ない。いわば舵取りのいない船で航海しているようなもので、これではすぐに進路を見失い、やがて沈んでしまうだろう。

 恋愛の推進力なんて大抵は「好き」という感情か、あるいは性欲なのだろうが、今のところ恋愛感情は抱いていないし、失礼ながらMさんは2回のデートで2回ともかなり肌の露出を避け、体型が目立たない控えめな服を着てきていたので、そういう欲望を催すまでの段階に至っていない。そういう意味では、結構ガードが堅い人との印象を受ける。いやもちろん、ヘソ出しショートパンツで来られても困ってしまうのだが。

 さて、今のところ恋愛感情も性的欲望も心もとない異性にどのように接していくか。困った僕は苦し紛れに、恋愛することで、相手どうこうよりもとりあえず「自分を変える」方向に持って行くことはできないかと考え始めた。

「自分を変える」ための恋愛とは?

 どういうことか。つまり、恋愛(しようと努力)することで、この退屈極まりない単調な生活に刺激を与えるとともに、他人に興味がなく、すぐに自分の殻に閉じこもってしまうこの性格とか、ズボラでだらしないライフスタイルをある程度は変えることができるのではないかと思うのだ。

 例えば着る服を含めた身だしなみについて。僕の休日のコーデといえば、とりあえず全身に適当なユニクロをまとうのが基本である。そもそも、どうせ私服は休みの日しか着ないからとバリエーションがないし、髪のセットも適当、どうかすると髭も剃らずに街に出る。お洒落する必要がないからだ。

 この季節になると肌を露出したり、スタイルをくっきりと見せた服を着て街を闊歩する若い女が目立つが、これは涼を得られるという目的の裏に、自らの性的価値を高めることで、「自分を可愛く見せられる」とか、「男に注目してもらえる、気を惹ける」とか、それに見合った高いリターンが得られるという理由があるからである。

 一方、僕のようなチー牛ホビットが頑張ってお洒落したところで、元々の素材が悪いから街を歩いていても何のアピールにもならないし、誰から声をかけられるでもないし女性に声をかける資格もない。お洒落することのコスパなりタイパが悪いのである。

 だが彼女ができたとなると、彼女を連れて歩いている自分は果たして彼女に見合っているのか、すれ違う人から見てどうなのかを意識するようになり、自らの性的価値と真剣に向き合うようになるから、身なりには気を遣うようになるだろう。

 もしくは筋トレについて。年初に書いたnoteで「筋トレを頑張る!」と書いたがもちろん1週間と続かなかった。自己啓発としての筋トレにはなかなかに限界があり、ジムに通えるような時間の余裕もない・・・というのは表面的な言い訳で、彼女に自分の鍛え上げた身体を見せて褒めてくれているところを想像すれば、目の色を変えてジムに契約に行くかもしれない。

 僕固有の手汗とかワキガとかの問題もそうである。僕はガキの頃から手掌多汗症に悩んできており、両方の手のひらがオールウェイズ湿っているので、女性と手をつなぐことが非常に難しい。まぁ仕事はそれでも何とかなるので、今まではたまに薬を塗るぐらいであまり真剣に治療をしてこなかったが、彼女ができれば、それではさすがにまずいので重い腰を上げて治療を始めるだろう。

 ワキガの治療も、手術が怖いしお金がかかるからと今まで見て見ぬふりをしていたが(もちろん会社に行くときは汗を吸うパッドを貼ったり、香水をつけたり、できる限りの対策はしている)、さすがに自ら好んでワキガ持ちと付き合う女はこの世に存在しない。

 考えるとまだまだ出てきそうだ。家事スキルを磨くためにちゃんと自炊もするようになるかもしれない。家の掃除も毎日念入りにやるようになるかもしれない。健康に気を遣い、彼女と過ごす時間を増やすために、酒の量も減るだろう。彼女にだらしない自分を見せたくなくて、休日に昼前まで寝るようなこともなくなるかもしれない。彼女に褒めてほしくて、嫌々ながら毎日やっている仕事にも身が入るかもしれないし、資格の勉強も進みよくなるかもしれない・・・。

 以上見てきたように、彼女ができたと仮定したら僕の生活は大きく、ポジティブな方向に変わることは容易に想像できる。言ってみれば、僕のライフスタイルを向上させる目的で、彼女という存在を「踏み台」にさせてもらうということだ。方向性としてはなかなか悪くないとは思うのだが、これに欠点があるとすれば、それはお相手がMさんである必要性が全くないということだろうか・・・。

自分で自分を追い詰めるチー牛

 とはいえ、以上でお話してきたことは、所詮たらればの話である。本当にダメな人間なので、実際彼女ができてもほとんど何もしないかもしれない。だがこのままの生活が続けば、何の救いようもない孤独なおっさんになってしまう。

 こんな考え方ではお相手に失礼だろうと思う人もいるだろう。非モテのくせに偉そうに何を言っているんだ、恋愛を舐めているのではないかと軽蔑・嘲笑する人もいるだろう。

 ただ、たった2回しか会っておらず、特に共通点もなく、顔も声もほぼ忘れてしまった人と文字だけのやりとりをしていても、あまり気持ちが盛り上がってこないのはどうしようもないことはご理解いただきたい。せめて職場かどこかで顔を合わせて声を聞く機会があればいいのだが・・・。

 僕が最も苦手とするところの電話かビデオ通話にでも誘ってみるかとも思いつつ、その前提として話題を色々整理する作業に手をつけられていない。コミュニケーションが上手な人はネタ帳なんて作らずに次から次へと話題が出てくるのだろうが、僕は場数を踏んでいないので、ちゃんと準備しないと難しい。ここで失敗したら次の持ち駒もないから終わりだし。

 まぁとにかく、「なんとなく」でも、Mさんとはここまで来てしまったのだ。もう後戻りをするつもりはない。僕は正真正銘のチー牛だが、資産もないしXのフォロワーの女性と友達になってオフ●コするとかいう芸当もできないので、この出会いに賭けるしかない。

 ただ、結局彼女ができたとしても、この調子では恋愛をしている自分に酔うとか、恋に恋するようなことになりかねないという危険性もある。もういい歳なのだから、真剣にお相手と向き合っていかないといけない。果たしてそれが今の僕にできるのか。何もわからない。(おわり)

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