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詩オリジナル「スーサイド」

詩   本文

消えたい 消えたい それだけが
この世に生みだされた意味だった
呼吸の理由さえ知らず 
ただ靄の中で手を伸ばした
身近なようで遠い明日を 
漠然と生きられたらどんなに幸せなのか
僕は今 正しさを問いかけ
答えのない空気を彷徨ってる
夢の中で君の声がした 
それは深く不覚にも届いた
戻れない川を泳いで 
僕は君の幸せを願ってる
明けない夜はないと
ある日に君は言っていたけど
もう僕に明ける日はないよ 
何処かで君の幸せを願ってる

生きたい 生きたい 
確かにそう願ってる過去もあった
絞めて止めては繰り返す 
ただ靄の中で手を伸ばした
加速してゆく明日に 
ただおいてかれないように走った
息が切れ呼吸も切れる頃 
僕はもう此処には居ない
夢の中で君の声がした 
否それはきっと本当だった
戻れない藻掻いても 
僕は君の幸せを祈ってる
治らない傷はないと
ある日に君は言っていたけど
もう僕は瘡蓋だらけさ 
何処かで君の幸せを祈ってる

夢の中で君の声がした 
それは深く不覚にも届いた
戻れない川を泳いで 
僕は君の幸せを願ってる
明けない夜はないと
治らない傷はないと君は言うけど
もう僕には何もないよ
何処かで君の幸せを願ってる
どうか君が最期まで笑顔で 
いられますように…。

詩   解説

この世に僕が存在した証 その全てを消し去りたい
そう思うこと ただそれだけが 僕がこの世界に生み出された意味だった
何故意識することもないのに呼吸を続けられているのか その理由さえ知らない 分からない 
でも まだ その呼吸を続けることを諦められず 何も見えない中でも ただ ただ 空へ 上へ 手を 伸ばした
近いような それでいて 遠いような 明日という日を
特に深く追求することもなく 悩み悔いることもなく生きられたら それはどんなに幸せなのか
正しさとはなんなのか 間違いとはなんなのか
正しいことは正義なのか 間違いとは罪なのか
僕は答えのない問いかけを繰り返しながら
ただ この世界を彷徨ってる
遠く遠く 誰の姿も見えない 誰の声も届かない
そんなはずの僕の世界で 僕の耳に君の声がきこえた
そう それは 深く怯え用心していたはずの僕に 不覚にも届いた
でも僕はもう君に応えることは出来ない 
そう だって渡ってはいけない川を通ったその先
覚めることのない夢の世界にいるのだから
でも たとえ別の世界に住んでも もう会うことは出来なくても
僕は…僕は君の幸せを願ってる
「大丈夫だよ。どんなに暗い夜もいつかは明けて日が昇るように。誰の世界にも光は射すから」
そう伝えてくれた君の言葉は 僕の心にずっとある それはたしかに分かってる
でも もう僕に明ける日はないよ
どこか遠い世界  君とは相容れない世界
それでも  僕は…僕は君の幸せを願ってる

こんなに元いた世界を蔑んでいる僕にも 
呼吸を続けたいと  生きたいと  そう願っている過去もあった
でもその願いごと封じ込めたくて
僕は首を絞めて 止めて  それを繰り返すことで生きることを諦めてきた 
それなのに 朦朧とする意識でも まだ 空へ 上へ手を伸ばすことを諦めきれなかったりもした
そんなのんびり歩くことをやめない僕を追い越すように 時間は平等に進んでいく  
そんな時間においていかれたくなくて 僕は歩くことをやめて走り出した
「息も 呼吸も 僕にはもう疲れたよ だから似合わず走ることはやめるよ でも…でも僕にはもう 歩く資格だってないんだ」
そう思ったら  今まで無理を続けてきた全てが
嫌になった
それなのにまだ 僕が見る夢の世界に 君の声は届いてきた
いや でも きっとこの声は夢ではない 本当の 心からの君の  僕に向けたメッセージなんだろうな
こんなにまで大切に思ってくれる存在がいる そう知っていたら 名残惜しくもあって
でもどんなに藻掻いても もう戻ることなんて出来ない
だからせめて僕は…僕は君の幸せを祈ってる
「大丈夫だよ。どんな痛みも癒えるように。誰の傷もきっと治る日は来るよ」
そう伝えてくれたこともあったよな なんて どこか 遠い意識の中で 思い出すけど
もう僕は治りきれないほどに傷だらけなんだ 治ることなんてあるもんか
それでも僕は…僕は君の幸せを祈ってる

もう誰にも会えない 触れられない
本当にあの世界とはお別れだ
それなのにまだ君の声は僕に届く
でも 僕はもう 川を渡ってしまったんだよ 返事はもう出来ないんだ
その代わりに僕は君の幸せを願ってる
明けない夜はない 治らない傷もない
そんなの綺麗事だって割り切るから
だって だって僕にはもう何もないよ
だから最期の気力は  君の幸せを
ただ ただ君の幸せを願ってる
僕のことを思ってくれた君が 僕に優しい慰めをくれた君が
僕みたいに苦しい終わりなんかじゃなく
どうか最期まで笑顔で いられますように…。

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