タイトルは、青春の爆発

もう、戻れないね。久しぶりに隣の椅子に座り笑う君は咥えたタバコの灰を灰皿にトンッと落とし、でもさ〜と口を開いた。でもさ〜私たちきっとあの頃には戻れないよ。だって楽しすぎたんだもん。私は高校もハブられてたしなんならいじめでやめちゃったし!でもね君たちに会えて本当に家族だと思ったの。家族より大事だったね、なんなら。私はほら家庭環境も悪かったし。朝方まで電話して適当に集まって終電で解散して、また朝方まで電話してってあの瞬間にね私この関係が永遠に続くと思っちゃったの。だからだね、終わっちゃった。泣いちゃうからやめてくれと目元を拭うフリをした俺を無視して続ける。ねぇ知ってる?この関係が永遠に続くと思った時が終わりの合図なんだよ、受け売りだけど。あの日見たヤクザと家族もウシジマくんもどれも君の1番好きな映画じゃなかったけどいまでも忘れられなくて、忘れられないのは映画じゃなくてすすめてきた癖に早くに眠ってイビキをかいてた君の顔だとか、帰ってから全話見た俺の健気さとか、あまりにも金がなくて落ちてるタバコを必死に吸ってたあの情けなさとかきっと忘れないって感情を持ちながら僕たちは忘れていく。
信用してたあいつに殴られて帰って泣いたあの子、根はいいやつなんだよ庇い続けた捕まった大好きなあの子、大麻なんてシャバイことしないあんたが好きだよと言ってプッシャーになったあの子、あたし友達いないんだよねきっとここに残り続けるんだ口癖のように吐いといて誰よりも早く東京で羽を広げたあの子、金ないからタバコ奢って〜でほんとに奢らないと来なかった今ではパパ活で稼ぎまくってクラブに依存してるあの子、今もあの頃も確かにしょうもなかった、どうしようもなかった。救いようがなかった。救われたかった。見捨てられてた。見捨てたくなかった。あの子もあの子もあの子も変わらずに変わってく。稼いだお札をベッド上で数えてため息をこぼす夜中3時に耳に残るのはアンダーグラウンドに染まったあの子のお前は変なふうに染まんなよ。なんてこの言葉を無視してる私にはあの子達を語る資格なんてないのかな。馬鹿みたいに騒いで交通ルール無視してかっ飛ばして見に行った海の匂いも酔ったらすぐ脱ぐ君の上裸も覗いたレースの透けたパンツもGカップの谷間が汗ばんでるえっちなおっぱいも。私たちはこれ以上ないほどに五感で触れ合って溶け込みあってたまにキスしたりたまにえっちしたりたまに愚痴をこぼしてたまに喧嘩してどうしようもない私にどうしようもない君がいて私の青春を作り上げた。誰も恨んでない。誰も嫌ってない。今でも愛してる。君の愛してるが大切が言葉のなかったさよならが忘れられなくて、今でもきっと戻れるきっとどうにかしたら戻れるでも戻れない。あの時の私たちはもういないあの時の私たちにはもう二度と会えない。だから蓋をした。それを実感するのはあまりにも苦しいことと知っていたから。だからでも、どうか、いつかでいいから、きっといつかまた会おうね。青春の爆発は臭い臭い残り香で私の身にまとわりついて今でも私を生かす。

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