最近の記事

03

普通の人が普通にこなしていることをうまく実行できないことがある。 朝起きること。ご飯を食べること。食材が腐る前に料理すること。メールを読むこと。ラインを返すこと。フローリングの床にクイックルワイパーをかけること。お誕生日におめでとうということ。落ち込んでいる人を励ますこと。楽しみだね、という言葉にそうだね、と相槌を打つこと。 それはいつも突然やってきて、その度にわたしの心はぐちゃぐちゃになる。 「被害者」の顔をしたわたしがそこに座っている。

    • 02

      あの日からわたしはずっとどこかが狂っている。いろんな言葉をぶつけたと思うしぶつけられたと思うけれど、その辺の記憶はもやがかっていて不明瞭だ。「ああ、今わたしは傷ついたな」とそのとき強く思った台詞だけが、心の中にずっと残っていて未だにわたしを「被害者」らしく仕立て上げる。その度にわたしは思う、傷つけたのも傷ついたのもお互い同じはずなのにどうしてわたしは被害者の顔をしようとするのだろうか。けれど、間違いなくわたしの心はずたぼろになって、ずっと濁ったままだから、わたしは被害者である

      • 01

        耐えがたい絶望がおちてきたとき、わたしはただ笑っていた。まさかこうなるなんてありえないでしょう、と思いながら告げた言葉に返って来たのは予想外のもので、「まさかこうなるなんて」と考えていたことを示す言葉、それはすなわち「ごめん」というたった三文字の言葉だったのだけれどそういったものがやってきて、ああ、そうなんだ、とわたしは笑った。それが初めて、絶望の淵に触れたときだった。笑いながら、覗き込んだ穴は真っ暗だった。笑っているとき、心臓がどきどきした。そんなことあるはずない、そんなこ