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耐えがたい絶望がおちてきたとき、わたしはただ笑っていた。まさかこうなるなんてありえないでしょう、と思いながら告げた言葉に返って来たのは予想外のもので、「まさかこうなるなんて」と考えていたことを示す言葉、それはすなわち「ごめん」というたった三文字の言葉だったのだけれどそういったものがやってきて、ああ、そうなんだ、とわたしは笑った。それが初めて、絶望の淵に触れたときだった。笑いながら、覗き込んだ穴は真っ暗だった。笑っているとき、心臓がどきどきした。そんなことあるはずない、そんなこと、と思って、あー、あー、と声を出した。その時はもうひとりきりの車の中だったから、躊躇わず声を出した。手が震えてハンドルを握れなかったのでしばらくそうして、笑いながら声を出し続けた。

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