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シーラカンスの真正面
シーラカンスが好きだ。
大昔からこの世界を泳ぐ魚。生きた化石。ずっと昔にはもっとたくさんの種類が生息していたが、ラティメリアと呼ばれるもの以外は絶滅した。どこかでひっそりと生きているのかもしれないけれど、今のところ私たち人間には見つかっていない。そんな魚、シーラカンスが大好きだ。
なぜ好きになったのかというと、小さい頃から「シーラカンス」という言葉と、その姿に触れる機会が多かったからだ。
福島県に「アクアマリンふくしま」という水族館がある。祖父母の家に行くたびに訪れているこの水族館が私は本当に大好きで、一時期は年間パスポートを持って、じいちゃんと手をつないで毎日のように通っていた。
初めて訪れた2歳か3歳くらいの頃から、21歳の今に至るまで恐らく200回近く足を運んでいるけれど、展示内容は毎年少しずつ変化していて、飽きたと思ったことは一度も無い。どんな姿のアクアマリンも好きだった。何があろうと私はアクアマリンの空気と時間と魚達とスタッフさんが大好きなのだ。
↓↓スタッフさんの温かさが分かる動画↓↓
そういえば元旦は水族館に行ってきました。
— ロメ (@lome_mario927) January 2, 2019
100回以上は行ってる常連なのでそろそろスタッフさんに顔を覚えられそうです。 pic.twitter.com/3gqQCOj72M
アクアマリンの中でも特にお気に入りの展示がある。今はもうない「シーラカンスの世界」という展示だ。
アクアマリンは南アフリカの研究所と協力し、シーラカンスの生態を解明する調査をしている。また、インドネシア科学技術院と共にインドネシアシーラカンスを保全するためのプログラムも確立した。だから展示にも、シーラカンス推しな雰囲気が漂っている。展示どころか、入り口付近にもうシーラカンスのオブジェがある。
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シーラカンスだけのコーナーがあるのもアクアマリンならではの展示方法だと思う。入ってすぐのところにタマカイというめっちゃ大きな魚がいた。
![](https://assets.st-note.com/img/1689386841852-eBe02vuH17.jpg?width=1200)
形態や習性がシーラカンスに似ているとの理由から、エリアの入り口正面、みんなをお出迎えするポジションに展示されている。
このタマカイさんと共に、目玉となっているのが標本だ。「シーラカンスの世界」には、シーラカンスの標本が二つ展示されていた。アフリカシーラカンスとインドネシアシーラカンス。
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私はこのお二匹の姿を、数えきれない回数目にしてきた。それはもう、何度も何度も。全来場者の中で一番じゃないかと思うほどに。そろそろ認知されていてほしい。シーラカンスに。シーラカンスを覗くとき、シーラカンスもまたこちらを覗いていてくれはしないだろうか。
「シーラカンスの世界」エリアは2020年をもって閉鎖となり、今は他の展示の場所となっている。閉鎖された後、二つの標本は「海・生命の進化」というプロローグ(館内に入って、順路の最初にある)エリアに移動した。タマカイさんはバックヤードにいるそうだ。
本日でシーラカンスの世界コーナーを閉鎖しました。シーラカンス関連の展示は海・生命の進化にまとめます!タマカイはバックヤードに移動します。空いたコーナーでの新しい展示もどうぞお楽しみに。#アクアマリンふくしま pic.twitter.com/GSlI2R8Z77
— 【公式】アクアマリンふくしま (@aquamarinestaff) February 24, 2020
どのエリアになろうがシーラカンスさんズが見られるなら幸せじゃ、と思ったけれど、いざあの青く静かな空間がなくなったのを見た時は、やっぱり寂しかった。タマカイさんも恋しい。そして展示だけでなく、そこ限定で買えたシーラカンスの形のモナカアイス「ごんべあいす(塩バニラ味)」が大好きだったので、エリア諸共消え去ったのではないかと思ったのだ。ところがアクアマリンの優しさにより、今でもごんべあいすは他のお土産売り場で購入することができる。こんなに嬉しいことあるだろうか。関わった皆様全員ありがとう。ごんべあいす、おすすめです。特に夏。
アフリカシーラカンスとインドネシアシーラカンスの両方の展示を一度に見られるのは、世界中でアクアマリンふくしまだけだそうだ。幼少期はそんなこと全く知らなかったけれど、「なかなかお目にかかれない魚なんだろうな」とは子供なりに理解していた。なぜならシーラカンスを見つけた大人たちが、まるでカブトムシを捕まえた夏休みの少年のように心の底から喜んでいる映像を、これまた何十回も観たからだ。
アクアマリンには「マリンシアター」という小っちゃい映画館みたいな空間があり、そこではアクアマリンに関する映像がずっと流れていた。
マリンシアターもめっちゃ好きだった。普段見えないバックヤードを映し、スタッフさんがどんな仕事をしているのか、海の生き物をどうやって捕獲しているかなど、豆知識を教えてくれる。クリオネをペットボトルで捕獲していることや金髪のパーマみたいな海草が存在することはここで知った。映像の中にあった「捕まえて袋に入れた魚を水槽まで運ぶ時、魚を弱らせないためにスタッフさんはどのような工夫をしているでしょう」的なクイズの答えが「ひたすら走る」という完全なるゴリ押しだったのは今でも忘れられない。
そのマリンシアターで見られる映像の中に、シーラカンスを探そうと頑張る調査員さんたちを映したものがあった。ROVという機械を海に沈め、その機械を遠隔操作しながらみんなで頑張ってシーラカンスを探すのだが、カメラにシーラカンスの緑色の目が光った瞬間、それまでシリアスな表情だったおじさん達が英語やら何語やらでハチャメチャに喜びだす。日本語に訳したら多分「……あれシーラカンスじゃね!?」「……え?!!うそ!」「……!!あーー!マジだ!!!!!!!」「yeeeeeeeesssssss!!!!」って。その歓声の無邪気さがめちゃくちゃ面白く、はしゃぎっぷりを同い年の従姉妹と真似しては一緒に笑っていたのをずっと覚えている。自分が人生で初めて「万国共通を感じた瞬間」はここかもしれない。人が喜ぶ姿って、年齢とか人種とか何も関係なく同じなんだなと思った。
自分がシーラカンス好きになった最も大きな理由は、先述の標本とこの映像を観たことだと思う。特に、映像の中でシーラカンスを真正面から捉えた場面があったのだが、そこで私は、この世の理の中でも全人類が特に知っておくべきであろう素晴らしい真実を知る。
それは、
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「魚を真正面から見るとかわいい」ということだ。
魚には真正面から見ないと分からないかわいさがある。シーラカンスさんは、口がふにゃっとしててとてもかわいい。
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かわいすぎるため、普段使いしたくてネタ画像を作った。
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癒し画像になってしまった。
それだけでは飽き足らず、アクアマリンのグッズショップで「真正面から見たシーラカンスしおり」を買ってしまった。こんな私得なものがあっていいのかと思った。
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魚の真正面。シーラカンス。その良さを教えてくれたこの場所を、色んな人に勧めたい。
最後に。アクアマリンふくしま、開館記念日おめでとう。これからもたくさん行きます!!!🐟
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2023/07/15
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