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ロメ
2022年8月13日 08:55
「先生のばか」誰もいない空っぽの教室の中、長いこと何も考えられずに頬杖をついていた。放課後の湿った夏風に当たりながら「何もしない」をすることが、今のあたしには丁度いい。風が柔らかくて、焦点の合わない目に射し込む西日がやけに綺麗で、ふとした瞬間涙が零れそうになる。机に投げ出された腕の先、手のひらに置いた小さなガラス玉。腕を傾けると、軽く握った手の中でほんの少しだけ転がった。微かに残る冷た