ろきちゃんの卒業旅行

卒業を祝って、仲間内で旅行なりに出掛ける。いわゆる卒業旅行だ。世の大学生や高校生で、あらゆる観光地がごった返す3月だ。ろきちゃんも大学卒業の年にあたって、そんな行事を敢行したいと密かに思っていた。そこで!ろきちゃんのnoteに度々出てくる、大学で唯一の友人とディズニーランド及びシーに2日にわたって行くことになった。もちろん、周辺でホテルを取って。なんとも贅沢だ。自称ディズニーランドに100回は行ったことのある男のガイドの下、ろきちゃんはディズニーを満喫することが出来る。大学生活の最後の最後にこんな、贅沢なことがあるだろうか。そんなに楽しくなかった、この大学の4年間は、全てこの日のためにあったと思えるほどには幸せだった。少し前のように、えげつない倍率を掻い潜り、長い長いチケット争奪戦を経ずに、チケットを買えるようになったことは、運命の導き以外の何者でもないように思えた。

迎えた当日、気持ちはまるで遠足だ。いつもならグズグズ寝ている時間にパッと目を覚ます。久しぶりに目覚まし時計に頼らずに起きた。ろきちゃんは意気揚々と京葉線乗り場に向かう。いや、京葉線乗り場遠すぎるだろ!というお決まりのフレーズを添えて。もうワクワクが抑えられないのだ。こんなにウキウキするのはいつぶりだっただろうか。僕は勢いに任せて、ディズニーシーに乗り出し、カチューシャとサングラスを買う。マスクも相まって、顔のほぼ全てが隠れたため、いろんなところで自分が真ん中に来るように写真を撮りまくった。こんなに自分の写真を撮ることはない。素ろきちゃんは、本人でも引くほどだから。初めてディズニーでご飯を食べた。作り置きではありそうなのに、めちゃくちゃ美味しかった。高いけど、値段相応!やっぱり夢の国だ。流石に23になり、体力の衰えを感じずにはいられなかった。それでも、座って休憩しているだけで、気分が高揚してくる。年に何回もここにくる人の気持ちが理解できた。やっぱりここは夢の国だ。

1日目が終わり、心惜しくもディズニーシーを後にする。舞浜近くにあるホテルもほとんどの人が、ディズニーに出入りする人用のホテルだった。素晴らしいホテルが勿体無いくらい、疲れてすぐに寝た。朝気づいたが、窓の景色が尋常ではなかった。

次の日朝、思いの外パレっと目覚めることができた。あれ?でも、一緒に来ている友達の様子がおかしい。体調が悪そうだ。とりあえず朝飯を食べようとなって、これまた超楽しみイベント。一流ホテルの朝食ビュッフェだ。やっぱり常識がないのだろう、我々大学の隅っこ2人組は、館内着でビュッフェに行っても大丈夫と思い、友達が着替えてこいと部屋に返された。ろきちゃんはギリギリ着替えていた。それで、ろきちゃんだけが1人で席に案内され、地獄を見ることになる。よくよく見たら、周りはカップルとか家族とか、とにかく幸せの象徴で溢れていた。男2人なぞいない。そして、今ろきちゃんはその中でひとりぼっちだ。友達も長いこと戻ってこない。後から聞くことには、具合悪くて部屋で横になっていたという。

気づいてしまった。その瞬間に、自分の立ち位置が。そうだ。ろきちゃんはこの中に本来ひとりぼっちの人だったんだ。アウェー極まりないこの場で、勝手に行動を制限され、あまりいっぱい食べれず、ちょこちょこ食べてるうちにお腹は満たされてしまった。友達が来る頃にはデザート食べ終わっていた。まだ食べたいの結構あったなぁ。めっちゃ高い宿泊費払ったのに…。もちろん、こんなんで2日目のディズニーランドが楽しめるはずがない。ほぼ休憩だった。ろきちゃんの写真フォルダには2日目の写真が極端に少ない。

世界の修正力だ。ディズニー相応じゃない奴らがディズニーで満喫しようと思っても、結局どこかで、ディズニー不相応を思い知らせるように世界は出来ているんだ。修正力に打ちひしがれて、ろきちゃんはまたしばらく、ディズニーから締め出されそうだ。

一緒に行ってくれてありがとう。友

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