Logoアルバム発売記念インタビュー vol.4

2015年9月3日 20:37

2000年代、東京を中心にバンドという形態でそれぞれに活動していた2人のシンガーソングライター、伊藤立（ChesterCopperpot）と黒田晃太郎（フラバルス）によって2013年に結成されたデュオLogo。そのファーストアルバム「1（ワン）」が8月25日に発売された。9月には東京、大阪でレコ発ライブも控え、本格的に活動を開始するにあたり、本誌は彼らにインタビューを実施。「1」の制作プロセスを軸にしながら、これまでの歩みから現在までのユニットの状況をかなりオープンに語ってもらった。（写真：いとうゆうじ［ChesterCopperpot/ノルウェイ森野］）

お互いが半分真剣で半分いい加減ぐらいで、安心して任せられる部分があるとうまく続けられる

（前回の続き　vol.1　vol.2　vol.3）

立：僕らの結成のいきさつを話す予定だったけど、脱線しちゃいましたね。

黒：そうだね…。バンド時代に知り合って、そして作家活動するから共作もやりませんか、ってなったんだよね。

立：で、共作があっさりできたんですよね。

黒：それで今に至る。あ、終わっちゃった（笑）。やろう、って話になって何を最初にやったかというと、デモを交換したところからだね。立くんからもらったデモに「風が見えるかい」が入っていて、その曲にぴーんと来て、これやろう！ってなったのがはじまりかな。弾き語りとしてはあっさりできたね。でもこれ、レコーディングするというときにかなり難産だったよねえ。

「風が見えるかい」デモバージョン

立：アルバムの中で一番苦労してるかもしれませんね。ここにこういう音が入っていて、ここに弦が鳴ってて、というふうになんとなくのイメージを2人で出し合って、パズルみたいに組み合わせて、だんだん完成に寄せていきましたよね。でも、こだわるところはこだわってはいた。それでいて、分からないところはお互い補い合っていく、両方があったからうまくいった気がする。

黒：共作のやりとりとしては自然にうまくいったんじゃないかな。立くんはメロの譜割りとかに凄くこだわったけど、アレンジは僕の意見もすごく聞き入れてくれた。

立：まあ、わかんなかったですからね。

黒：そうやって、苦労したことは苦労したんだけど、不思議と完成した曲を見たら、あまり苦労した形跡が感じられないんだよね。登りが苦しくて、登り切ったらすごくスッキリ見渡せるという、まるで登山みたいな感じだった。

立：登山ですか（笑）。そういえば、この曲、登山したときのイメージがもとだったんですよ。子供の頃に、よく家族で山登りに行ってて。そのときは白馬だったかな。その時の思い出がこの曲の構想を思いついたきっかけですね。

黒：そうなんだ！？

立：山に登ったときに、高いところなんで、霧があたりをかすめているじゃないですか。大気の流れが白くなって見えるんですよ。そのときに「風が見える」って言ってたんですよ。それがずっと心に残ってたというか。そして数十年後にデモを作って、まさかここまで広がるとは。

黒：へえ〜、なるほど…そういうことか。この言葉にグッと来て、またなにか新しいことが始められるんじゃないかっていう気がしたんだよね。なんかこう、自分が進むべきその先の風景が見えそうになったというか。見えそうなんだけど、完全に見えるわけでもない。だから「見えるかい」というのがぴったりな気がした。デモでは「風が見えるかい」とだけ歌ってるよね。

立：Aメロとか凄い適当でしたよね（笑）。デタラメ英語だったし。

黒：でも、そういえば、「風が見えるかい」だけが入ってる詞を見て、自分も「山の上から景色を見渡してる」ような感じがしたけどね。僕の場合は登山じゃなくて列車の車窓から見渡す感じだったんだけど。共通のイメージを喚起させる曲だったから、はじめの共作曲になれたのかもしれない。

立：実は共通してたところがあるんですねえ…。あと、共作できたもう一つのポイントとしては、お互いうまく頑固でいられたことというか。はじめの段階から譲り合わないところは譲り合わないというのもありますね（笑）。ぶつけあうことが気兼ねなくできるというか。