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不安定な博士後期課程生活と現段階での打開策

博士後期課程の生活は極めて不安定だ。
私の努力不足や能力や才能が足りないことは重々承知だ。
自分がこの人生を自分で選んでいることもまた重々承知である。
それにしても不安定だ。
だからこそ多種多様な不確実性なるものに想いを馳せてしまうのかもしれない。


経済的な不安定さ

こればかりはどうしようもない。
いろんなアドバイスや助言を人からされたり、Twitterで見かけるがこれは本当に個々人の事情があるから10個のアドバイスのうち1個役に立てばいい方だと思う。

▶︎「今はいろんな助成金があるしフェローシップもあるよ」言説

これは確かにある。
けど自分の研究分野が当該の助成金やフェローシップを申請できるものとは限らない。これまで「昔より今の方がいろんな助成金あるよ」的なのをSNSで見かけてきたが、ほとんどが自然科学系(理系)のものだ。
社会科学系(文系)のものはそこまで多くない。

▶︎「日本学術支援機構から奨学金借りればいい」言説

この選択肢は早々にやめている。経済的負債と「借りている」という精神的負債感で私は耐えられなくなる。
学部4年間借りてしまった奨学金の返済も終わってないのに、さらにお金を借りるなんてことは私にはできない。

▶︎「バイトしたらいい」言説

学部・修士時代にやっていた感じの学生バイトはできない。
私が要領が悪いのもあるだろうが正直、時間がない。
平日土日関係なく朝から夜まで研究室にいるのに、どのタイミングでバイトができるのか。ついでに、土日は学会や研究会もある。
長期のフィールドワークをするタイプの研究だと固定の長期バイトは難易度は高い。よくバイトを辞める人/バイトが続けられない人みたいな感じにどうしてもなってしまう。
学内のTAや試験監督、実験参加、その他単発のバイトで細々と生きるしか今のところ、打開策は見つけられていない。

⬜︎たくさん申請書を書き続けること

現段階(D1の冬)で言えることは、博士後期課程生活において経済的な不安定さから抜け出すことはほとんどない。

結局、毎月いろんな助成金の申請書を書き、毎月どこかの財団に自分の研究計画書を提出していくしか方法はない
春・夏に申請書を書いても結果は冬か年末年明け以降に来る。通過するか分からないし、書けば書くほど自分のことがわからなくなるし、自分の研究は進まないし、「これが博士後期課程のつらさか」とか思ってしまうがやるしかない。

実家から支援を受けられる人は支援を受け続けた方が経済的不安定さは感じずにいられるだろう。実家から大学まで通える人は、実家を出て一人暮らしをしようだなんて考えない方がいいかもしれない。
家賃、光熱費、食事代、食事を準備する時間、片付ける時間、諸々の家事をする時間、その面倒を考えると、特に物価の高い都内で一人暮らし院生はそこがどうしても厳しくなってくる。

周りには実家がめちゃくちゃ太い人がいるのが院生生活だ。
その人たちは自らの資金力で研究へ全力投球していることになるだろうが、その人たちと同じ土俵で生活水準や多種多様な多忙さを考えると虚しさで苦しくなるだろう。そんな人たちとも同じくらいの生産量の自分天才じゃん!くらいの心の持ちようが大事なんだろう。

将来への不安

こちらも考えれば考えるほど、虚しくなるからとりあえずはあまり夜な夜な考えないようににしている。

▶︎結婚・妊娠・出産・子育て

中学校、高校、学部時代の友人らはどんどん結婚して、盛大に結婚式もして、子どもも生まれ、立派に子育てしている。早くから働き始めた人たちはアラサーの時点でマイホームを建ててもいる。
他方で、アラサーでまだまだ学生をしている。
マイホームなんて考えたこともない。車すら持ってない。いやはや、私は車の免許すら持ってはないんだけど。

⬜︎他人と自分を比べるのは早めにやめること

将来への不安を考えているときは大体、他人と自分を比べているときだろう。
業績を上げないといけないし、誰よりもいい研究計画書や申請書を書かないと助成金は取れないからどうしても他人と自分を比べることにはなる。
けど、これに固執していたら嫉妬の塊人間になってしまう。

「自分が忙しい」と思った時は、周りの人も同じくらい忙しい。
「自分が疲れた」と思った時も、他の人も同じくらい疲れている。
誰かに慰めてほしいなんか思わず、たくさん寝て体力を回復させることだろうと今は思っている。

⬜︎学内の制度をしっかり読み直すこと

学内の制度は結構な場合で学生を助けてくれる。
金銭的に助けてくれるわけではないが、妊娠出産子育てに関してはいろんな形で休養させてくれるようになっている。
事務員さんとは絶対に仲良くした方がいい。
直属の事務員さんには顔と名前と今の状況が色々とわかってもらえている方が、さまざまな面でサポートしてくれる。心配もしてくれる。

おわりに

勢いでここまで書いてみたが、書きながら私は結構な茨の道を選んでしまったのかもしれないと思えてきた。「努力2割・精神力8割」と聞いたことがあるが、博士論文が書き終わって提出し終わるまではこの精神状態で元気になったり、落ち込んだりするのだろう。

今同じような状況と思われる学生がD進希望で何かしらの相談を受けたら、私は、私が昔、先生に言われたことを彼らに言うだろうと思う。
「お金はあるか?」

その一方で、お金持ちじゃなくても、都会生まれ都会育ちじゃなくても、平凡に生きていても博士論文を書く人生を選ぶ人が増えてほしい気持ちはある。
博士論文を書く人生を選んだ者しか味わえない喜びと豊かさ幸せはあるはずで、D進したことを心底後悔したことは今日まで一度たりともない。

修士を終えてから就職したとて違う側面で不安定を抱えるかもしれないし、人類は何をしても悩み続けるのだろうから、その時その時の打開策でどうにかこうにか前に進むしか方法はないのだろうと今は思っている。

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