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本の記録:人類学と民族誌およびその周辺

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人類学に関する本の記録です。民族誌と理論書、論文等々読んだものから記録をつけています。勉強中ですので、気になったところはコメントください。
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#民族誌

【本の記録】鈴木真弥『現代インドのカーストと不可触民』

日常生活をする上で、掃除は欠かせない。食事をすれば汚れた調理道具やお皿を洗う必要がある。服は毎日同じものを着るわけにはいかないから、洗濯をしなければいけない。床が汚れていたら掃除機をかけたり床を拭いたりして綺麗にするだろう。トイレや洗面所も使えば汚れる。汲み取り式のトイレだったら、汚物の汲み取り作業が必要だ。 今回は2015年に出版された鈴木真弥の『現代インドのカーストと不可触民 都市下層民のエスノグラフィー』。この本は、第28回アジア・太平洋賞、第11回樫山純三賞を受賞し

【本の記録】ジョアオ・ビール 『ヴィータ 遺棄された者たちの生』

2019年に邦訳が出版された、ジョアオ・ビールの『ヴィータ 遺棄された者たちの生』。訳者あとがきを含めると640ページとなかなかの厚さだが、読みやすさと話の展開のおもしろさであっという間に読み終わった。2007年のマーガレット・ミード賞(Margret Mead Award)にも選ばれた、秀作の民族誌である。 個人的に読んで欲しい対象者は、医師・看護師などの医療従事者、ソーシャルワーカーやホームヘルパーをしている人、医学部看護学部の学生だ。 もちろん、医療人類学をやってい

【本の記録】橋本栄莉 『エ・クウォス 南スーダン・ヌエル社会における予言と受難の民族誌』①

『エ・クウォス』第1回は本書の概要を紹介する。来週は第2回とし詳細な内容、第3回は全体のまとめとコメント、参照文献リストにしようと思っている。ざっと読んでまとめれば良かったのかもしれないが、1週間で最後まで目を通すことができなかった。 では、行ってみよう! ===== 概要 本書は、南スーダンのヌエル社会における予言をめぐる信念について、ヌエルの人びとの歴史・日常生活・出来事の3つの場面から検討している。100年以上も前にされた予言とその信念が、どのようにヌエルの人びと