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ドローンの物流利用を社会インフラに#01【株式会社ACSL CMO六門直哉】

ロジ人では物流テックに分類される業界の著名人、サービスにフォーカスしていきます。今回は株式会社ACSLでCMOを務める六門 直哉さんにインタビューしました。#01では、六門さんがACSLで現在行っている事業やドローンの魅力についてお話しいただいています。

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<プロフィール>

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▼ 株式会社ACSL CMO 六門 直哉氏
京都大学工学部を卒業後、ローム株式会社に入社。主に、大手電機メーカーへの半導体販売、その後、経営企画・事業企画室にて事業再編等を担当した後、2017年8月より株式会社ACSLに参画し、現職。


ドローン市場を「創る」営業

ー 六門さんの現在の仕事内容を教えてください。

二つ行っています。一つ目は、ドローンの販売。二つ目は、販売のための事業開発・提案です。具体的に、すでに需要のある所に既成モデルのドローンを販売する営業と「その仕事、ドローンで出来るかもしれませんよ」と提案する開発営業の2パターンがあります。

事業開発は、「市場を創る」ことが大きな役割です。現在、人が行っていることをドローンに置き換えていかに効率化していくのか、というところに焦点を当てて技術を追求しています。人の手では危ないと思われる作業をドローンで代替することや、販売する一つ手前で、ドローンが実際に活用できるかどうか検証するPoC(概念検証)を行っています。

ー 確かにドローン自体の認知度は世間一般にかなり浸透してきていますが、実際にどのようなことができるのかは、まだイメージがつきづらいかもしれません。

そうですね。だからこそ時に実証実験も実施しながら、実際にドローンを導入するとどういう効果があるのかを体感してもらうことを重視しています。物流用のドローンであればトライアルを行った上で、機能やハードウェアに関する要望を聞き、物流専用のドローンを作り上げていくイメージです。農業や点検など幅広い分野でドローンの可能性が広がっているので、それを最前線で主導するのが私の仕事だと思っています。

ー 物流業界で言えば「2024年問題」など、人手不足による社会課題の解決に向けてドローン技術が期待されている部分は大きいと感じます。六門さんご自身は、ドローンの可能性についてどのようにお考えですか。

幅広い産業へ向けてサービスを提案できるというのがドローンの面白さ、可能性だと感じています。電力会社や行政機関、警察、消防、自衛隊など、多種多様な業種のさまざまなニーズに向けてサービスを提供することが可能です。特定の企業や人々にターゲットが制限されることなく、色々な業界や人々と関われることがドローン産業の大きな魅力ですね。

未知の可能性を秘めているからこその面白さ

ー「ドローン技術の可能性」という点に関しては、世間、またはお客様から期待がある分、日頃から様々な要求をいただいていると思います。これまでドローン産業のお仕事をされてきた中で、どのようなニーズを感じていますか。

日々さまざまなお客様とお仕事をさせていただく中で、「こういったニーズがあるのか」と驚くことも少なくありません。現段階で実現できていないもので言えば、風力発電の「ブレード」と呼ばれる風車の羽根部分における作業の代替です。通常のドローンではなく、ドローンとロボットを掛け合わせたものを開発して、解決できないかというお話をいただきました。ほかにも、人が立ち入ることのできない配管の中でドローンを使いたいというご要望をいただいたこともあります。

ドローン

ー お客様とのやりとりのなかで、改めてドローンのニーズや可能性を知ることもあるのですね。

そうですね。ドローンのサービスにどんなニーズがあるのか、どの業界の人に刺さるのかは、お客様とお話をしてみて初めて分かるケースも珍しくありません。だからこそ、まずはドローンを体験していただくことが大切だと考えています。これまで人が担ってきた仕事や危険を伴うこと、人が行くことのできない場所での作業をドローンが代替することは、効率面、安全面の両方で非常に重要です。先ほど申し上げた風力発電もそうですが、まだまだサービスの価値や可能性への理解を我々も深めていく必要があります。

ーこれからどのような形や発展を見せるのか未知数なところもドローン産業の面白さと言えます。

個人的に、ドローンは将来的な社会インフラの役割を担う可能性がかなり高いと考えています。現在当たり前になっている車やスマートフォン、パソコンも世の中に出てきた当初は、すぐには受け入れられませんでしたが、今では人々の生活にとってなくてはならない存在です。ドローンも同様に、少しずつ世の中に受け入れてもらいながら、ゆくゆくは一つのインフラとして社会を支える存在になっていくと思っています。

レベル4飛行ドローンが社会課題の解決へのカギ

ー 御社は、日本の物流業界で初めてドローンによるレベル4飛行に成功されました。このレベル4飛行ができるようになったことによって日本の物流にどのような変化が起こるのでしょうか。

「ドローン飛行レベル」は、無人航空機を飛行させる上での一つの判断基準です。2022年12月に航空法が改正され、ドローンのレベル4飛行と呼ばれる、人の上空でもドローンの目視外飛行が可能になりました。(ただし、第一種機体認証、一等無人航空機操縦者技能証明書、飛行の許可・承認手続き、各運航ルールの遵守が必要です。)「レベル4=物流」というわけではないのですが、将来的にドローンが物を運ぶ役割を担う際により効率的に作業を行えるようになったことが大きいと感じています。

ー ドローンのレベル4飛行が可能になったことで、ドローンが物流の運び手を担う場合にどんなメリットがあるのですか。

レベル4飛行が可能になったことによる1番のメリットは、運送時間を短縮できることですね。人が住むエリア上空での自動飛行が可能になったことで、ドローンの飛行距離が格段に短くなります。従来のレベル3飛行の場合、ドローンが飛行する経路の下を人がいない状態にするための措置を行う必要がありました。目的地までのルート設定も自ずと居住地を迂回するように計画しなければならず、飛行時間の増加につながっていたのです。

その点、レベル4飛行であれば各種制度を遵守した上で、居住地の上空でも飛行が可能です。直線的なルートの設定が可能になる分配達時間が短縮され、より多くの物を運ぶことができます。新たな社会インフラとしての役割を担う上で、このレベルの変化による影響は大きいです。

インタビューの様子

ー レベル4飛行に到達するプロジェクトは御社独自で進められていたのでしょうか。

レベル4飛行に対応した機体の開発は当社が進めてきましたが、その機体を日本で初めて実際に飛行させたのは、創業間もない頃からお付き合いのある日本郵便様でした。日本初の試みということもあり、プロジェクトの遂行にはかなり労力がかかりました。ドローンでは前例がないプロジェクトになりますので、航空産業に知見のある方をはじめ色々な方々の力を借りながら、なんとか2023年の3月に当社のドローンが第一種型式認証を取得し、日本郵便様とレベル4飛行を実現させることができました。

ー 誰も成し得たことのないプロジェクトだったからこそ、手探り状態でかなり苦労されたのですね。そんな中でも御社がプロジェクトを成功できた要因はなんだったのでしょう。

過去に政府調達向けに作った機体を大量生産した経験があり、品質面での懸念が少なかったことがプロジェクト成功の一つの要因かもしれません。ドローンの機体の品質もそうですし、飛行時の安全性確保も重要な要素となります。どれほどの水準で安全性を考慮しなければならないのかという尺度を見定める経験をしているからこそ、レベル4飛行に向けた高品質な機体と安全機能の高いドローンを作ることができたのだと思います。

ー では反対に、ロジスティクスにおけるドローン配送への懸念点や課題はありますか。

この点に関しては時間がある程度解決してくれる面もあり、少しずつドローンの物流の社会実装が進むことで普及していくのではないかと考えています。運び手の不足は直近の日本にとって避けて通れない社会課題です。よりドローン技術が進歩し普及していくことで、配送が自動化される未来もそう遠くないでしょう。


<取材・編集:ロジ人編集部>


次回の“大企業からドローンベンチャーのCMOへ #02″は 1/26(金)公開予定です!お楽しみに!!

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