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【VICON・Shogun】アニメーションが完成するまで ② ~labeling~

★この記事で分かること★
  モーキャプのデータでよく起こる修正が必要なケース
★こんな人に読んでほしい★
  モーキャプを用いたアニメーションに興味のある方
★読み終わるまでの目安時間★
  10分

ロジマジBlogへようこそ!
先日、日比谷公園までネモフィラを見に行った後に食べた蕎麦と桜海老のかき揚げが美味しすぎて忘れられないモーキャプ担当のいっしーです!

前回はモーキャプのデータを開くところから自動的にラベリング(オートラベル)するまでの流れを紹介しました。
しかし、オートラベルをしただけでは想定外のデータになってしまうケースがあります。
こういったデータは後々の作業でモデルに直接的な悪影響を及ぼしてしまうため、1つ1つを人の手で丁寧に修正していく必要があります。

今回の記事では、光学式モーションキャプチャで修正が必要となる代表的なケースを4つほど紹介していきます。
前回の記事で紹介したデータを引き続き参考にするので、そちらをご覧になってからの閲覧を推奨いたします!



ケース①:マーカーが揺れる(ノイズ)

ダンスなどの激しく細かい動きの際によく起こるケースが「ノイズ」です。

オレンジ色のマーカーが一瞬だけ揺れるような動きをしているのが分かるでしょうか。
大抵のモーキャプではマーカーの3次元座標を示すグラフを見ることができるのですが、、、

何やら不自然な波があるのが分かります。
人生にはこういう波があった方が面白いのですが、モーキャプ的にはよろしくありません。

というわけで、この波をこんな感じで修正してあげます!

すると!

修正前のマーカーにあった不自然な動きが無くなりましたね!
ちなみにですが、十字架が付いたような形になっている部分が修正した箇所になります。

ノイズが起こる原因として
・マーカー同士の接近や接触干渉と言ったりします)
・カメラのコンディション不良
・システムのパラメータ調整不足

などが考えられます。

今回は太もも部分のマーカーと腕が接触したことが原因と考えられますね。


ケース②:マーカーが消える(ロスト)

光学式モーションキャプチャを扱う上で避けて通ることができないのが「ロスト」です。

オレンジ色のマーカーが途中から消えてしまっています。
これが「ロスト」です。

このマーカーのグラフを見てみると、、、

このように部分的に歯抜けになっていることが分かりますね。
これを、、、こう修正します!

マーカーの様子を見てみると、、、

無事にマーカーを復元することができました!

マーカーがロストしてしまう原因として
・2台以上のカメラがマーカーを写していない
・物や身体の一部がマーカーを隠している
・実際にマーカーが外れている

といったものが考えられます。

上記の理由からロストの直前や直後にノイズも併発することが多いです。
今回は手の甲のマーカーが胴体で隠れてしまったことが原因のようです。


ケース③:マーカーが入れ替わる(スワップ)

ノイズやロスト程ではないですが、たまに起こるケースとして「スワップ」という現象があります。

肘部分の2箇所に付けているオレンジ色と黄色のマーカーが入れ替わっている様子が分かるでしょうか。
これが「スワップ」です。

この2点のグラフを見るとこんな感じです。

こりゃまた不自然にグラフが段々になっている様子が確認できますね。
では、こいつらを、、、本来のグラフに戻してあげます!

すると、、、

今度は入れ替わることなくその形を維持してくれました!
スワップの原因は、システム側のご機嫌次第なところがありますね、、、笑


ケース④:ラベリングが大きく外れる(破綻)

最悪のケースとして「破綻」と呼ばれる現象があります。
ここでは別の収録データを見てみましょう。

向かって左側の手に注目すると、明らかにおかしな動きをしていることが確認できます。
オートラベルの際にラベリングが上手くいかず、原形を留めないほどに形が崩れてしまう現象が「破綻」です。

これを見つけると著しくテンションが下がってしまいます、、、
というのも、ノイズ・ロスト・スワップが同時、かつ複雑に発生しているため修正もかなり難しくなるんですね。

しかし、心折れることなく地道に修正したものが、、、こちら!

頑張りましたね!自画自賛!
破綻したデータを直し終わった時の達成感は格別です。


まとめ

というわけで今回はモーキャプデータでよく起こる修正を以下の4つのケースに分けてご紹介しました!

ノイズ:マーカーが揺れるような動きをする現象
ロスト:本来あるはずのマーカーが消えてしまう現象
スワップ:マーカー同士が入れ替わってラベリングされる現象
破綻:ラベリングが上手くいかず、大きく形を崩してしまう現象

収録現場では大勢の人と関わる一方で、データの修正作業はパソコンの画面と向き合い続ける孤独との戦いだと思っています。
ですが、モーションキャプチャを生業としている人間として、データに向き合うこの時間こそが作品への思い入れを強める大切な要素だとも思っています。

次回はモデルを動かす前段階の工程に入っていきます。
お楽しみに!

株式会社LOGIC&MAGIC
モーションキャプチャ担当 いっしー


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