ロジ原@勝手に文章添削

仕事柄、文章を書く機会の多い会社員。元書籍編集者。世の中に蔓延る悪文を退治したいと思っ…

ロジ原@勝手に文章添削

仕事柄、文章を書く機会の多い会社員。元書籍編集者。世の中に蔓延る悪文を退治したいと思っています。読みやすく、分かりやすく、論理的に筋の通った文章にすべく、書籍やウェブ上の悪文を勝手に添削します。悪文退散!

最近の記事

  • 固定された記事

このnoteと私(ロジ原)について

 皆さんこんにちは、はじめまして。ロジ原(ろじはら)と申します。このnoteと私について簡単に紹介したいと思います。 このnoteについて  このnoteでは、書籍やウェブ上に存在する悪文を、私 ロジ原が勝手に添削していきます。添削・校正のポイントとしては以下の通りです。 正しい日本語になっているか(「てにをは」の使い方など) 読みやすい、伝わりやすい文章か(1文が適切な長さか など) 事実関係に誤りがないか(数字、単位、固有名詞など) 論理展開に誤りがないか(因

    • 勝手に添削:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』 (6)

      6回目の添削・校正。ついに第1章の本文に入った。 本文は序章やあらすじと比べてかなり読みやすくなった。が、やはり悪文が時々目に付く。 第1章 ヨーロッパの歴史 引用した文を見ていこう(太字部分は書籍でも太字)。  まず太字部分の1文は、「スパルタ教育の名で現在も知られるように」を入れる位置がおかしい。スパルタ教育の語源となるのは「スパルタ」というポリス(都市)であって、この文の主題の「リュクルゴスの制」ではない。「スパルタではリュクルゴスの制をとっていた」→「スパルタ教育の

      • 勝手に添削:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』 (5)

        5回目の添削・校正。ついに序章が終わり第1章に入ったが…… 第1章 ヨーロッパの歴史 あらすじ 第1章の本文に入る前に「あらすじ」と題したページがあった。少し長いが、このあらすじも問題だらけなので丸ごと引用する。 第1段落  この段落で一番言いたいのは、2文目にある「多様な言語や文化が生まれる」ということだと思う(見出しの「多様」に対応する)。原文を読むと、多様な言語や文化が生まれた理由としては「大国が数多く出現したこと」がまず挙げられる。ただし、これだけでは理由として

        • 勝手に添削:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』 (4)

          4回目の添削・校正。今回でようやく序章の添削が終わる。 序章 人類の出現・文明の誕生 少し長いが「『最適ではない土地』だからこそ文明が発達」の項目を丸々引用する。細かい点から重大な問題まで添削してみる。 第1段落  ここは重大な問題はないが、「次第に乾燥を始めます」→「次第に乾燥し始めます」の方がよい。「乾燥を始める」とは普通言わないからだ。また「水を大河に求め、大河のほとりに人々が密集します」は、「大河」が重複するので読点の前の方を省略する。 第2段落  最初に気

        • 固定された記事

        このnoteと私(ロジ原)について

          勝手に添削:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』 (3)

           3回目の添削・校正。序章だけでも修正点が山盛りだ。 序章 人類の出現・文明の誕生 これは著者の癖のようだが、とにかく1文が長い。複数の要素が1文に詰め込まれてしまっているうえに、修飾語が長いので非常に読みにくい。  まず修飾語を簡略化してみる。「道具も変化します。○○な打製石器の進化に加え、○○する道具や、○○する磨製石器も登場するなど、新石器の時代が始まったのです」。こうして眺めてみると、いろいろとおかしい点が見えてくる。  第一に破綻しているのは、「~に加え」の使

          勝手に添削:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』 (3)

          勝手に添削:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』 (2)

           前回に引き続き以下の書籍を添削・校正していく。 序章 人類の出現・文明の誕生 2文目の「原人は石器を~」は「原人はAしたりBしたりなど、Cしたことで、Dしました」という構造だが、一文が長いせいで読みにくい。2文に分けるべきだ。細かいが「~たり、~たりなど」は重複しているので、「たり」か「など」のどちらかでよい。  またA、BとCの関係性が読みにくい。石器の用途が拡大した結果として環境への適応力が増したのか、適応力が増した例として用途の拡大があるのか。前者のような気がするが

          勝手に添削:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』 (2)

          勝手に添削:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』 (1)

           さっそく以下の書籍を取り上げ、日本語として誤っている部分や読みにくい部分、冗長な部分を添削・校正していく。 序章 人類の出現・文明の誕生 まず「~という教えがあるキリスト教徒」の部分だが、教えがあるのはキリスト教であってキリスト教徒ではない。この部分だけを直すのであれば、「~という教えがあるキリスト教の信者」あるいは「~という教えを信じるキリスト教徒」とすべき。  次に「人類の起源がヨーロッパにあると信じたい、当時アフリカを「支配」していたヨーロッパの人々」の部分は、修飾

          勝手に添削:『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』 (1)