お笑い芸人は何故、「薬剤師を"イジって"」炎上を繰り返すのか

表題について、あくまでもお笑いが好きな薬剤師としての勝手な個人的考察です。

【1】お笑い芸人から見て、薬剤師=一般人のトークの構成が下手である
 お笑い芸人は日々、初見の客に伝わるような話の流れを考えている。トークでもネタでも、単に起承転結だけでなく、「ツカミ」「フリ」「オチ」や、言い回し・聞き取りやすさ、時には相手の反応を見て臨機応変に対応することにまで細心の注意を払っている。それによって、笑いの量が変わってくるからだ。
 それに対して薬局薬剤師はどうか。確かに、医薬品の情報提供者として知識を付け、大学からずっと学んではいるが、トークスキルという観点で学ぶという機会は通常、ほとんどない。むしろ、よほど接客に重きを置いた職種でない限りは、あまりそのような研修は無いのではないだろうか。
 そんな双方での食い違いがある中、ツカミで「今日はどうされましたか?」とカマしてくる薬剤師は、お笑い芸人にとっては、たまったもんじゃないのだろう。

【2】そもそも「薬剤師」を知らない
 というより、医師と看護師しか医療従事者を知らない。せいぜい、思い出して「あ、歯科医師もだった!」と言うくらいなのだろう。お笑い芸人に関わらず、大病を経験したことのないほとんどの人にとっては、正直そんなもんなんだろう。
 例えば、病院で働いている医療従事者には、どんな人たちがいるか?いくつ言えるだろうか。もちろん病院にもよるが、医師や看護師、薬剤師の他にも、臨床検査技師、放射線技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士……さらに、それらの職業が、どのような仕事を担っているのか、説明できない人がほとんどだ。一般大衆の教養のレベルというのは、良くも悪くもそんな程度だ。私だって違う畑の職種の事は詳しく無いのだし、それ自体は罪ではない。しかし、そんな前述のマインドの人たちが処方箋を持って調剤薬局へ行くと「早く医者の書いた紙通りに薬渡してよ、医者の手下みたいなヤツwそれはさっきも聞かれたのになんでお前にも話すんだよw」となるのでしょう。
 薬局薬剤師の業務は多岐に渡るが、その中のあまり患者側から認識されない仕事の一例を挙げると、疑義照会がある。疑義照会とは、薬剤師が処方医に、処方箋の内容を問い合わせて確認することだ。諸説ありつつも正確なデータはないのだが、疑義照会をする割合は平均して大体2%程度と言われている。必ずしも医師のミスや確認漏れに関してだけではないが、処方箋50枚につき1回は、何らかの問い合わせをしているということになる。疑義照会した旨を患者に伝えるかどうかは場合によるのだが、おこがましく毎回わざわざ主張していったほうがいいのだろうかとつい考えてしまうなあ。

【3】あるあるネタのつもりで言っている
 上記のものを含め、あまり知識がないにも関わらず、そんな自覚もないまま「あるあるネタ」のつもりで言ってしまっているのだと思う。調剤薬局って、そんなに日常的に行くほどでもないけど、かといってほとんどの人が経験していて、あるあるネタにするには「いいとこついてきますね~!」って言われやすい良い場所なんだよな。そういうセンスを見せ付けようと思って失敗した感が否めない。。学校あるあるほどオーソドックスではないんだけれど、重箱の隅をつついたようなマニアックになりすぎてもいない、そのラインをいきたかったんでしょう。
 ただ、その時現場にいたスタッフも、少なくとも「共感できる」「わかる」と感じていたのだということは、重く受け止めるべき現実だと思う。収録なら編集でカットできたし、収録の進行中もディレクターやプロデューサーが制止できたはず。カンペだかアイコンタクトだかハンドサインだかわからないけど、仮に生放送だったとしてもある程度抑止できる。この辺は、厚生労働省だか薬剤師会だかになるのかわからないが、薬剤師自体や薬剤師の仕事内容について、もっと一般的に浸透させていかないといけないところだろう。それが無い限りは、この炎上はこれから先も繰り返されてしまうし、薬剤師も余計な対応や業務のやりづらさは変わらないのだ。

【まとめ】(これはふざけています)
 炎上しちゃった芸人さんが、厚生労働省か薬剤師会のPR大使となって、薬剤師についての知識を普及していくってどうですか!?
 お笑い的にも、禊や罰ゲームのように見えてちょうど良くないですかね?????

※この記事はmixiのつもりで書いています

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?