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食思考マラソン(14)飲酒について;「ビール飲むよね」型飲酒│太田充胤

『LOCUST vol.4』長崎特集に参加いただいたいただいたマリコムさんから、「作り置きながら飲む」で書いた飲酒のあり方についてこんなコメントをいただきました。

興味深いですね。アテとはいったいなんなのでしょう

言われるとよくわかりません。たしかに、アテ、肴という概念を理解するためには、まず飲酒とはなにかという点を考えなければなりません。我々はなぜ飲酒するのか、飲酒とはどのような経験か、飲酒の効用とはなにか……。

これまた仕事柄、という話になるのですが、飲酒についてはかねてから関心があります。
実は「モンゴル食紀行/食思考」が終わった時点で、次の連載テーマとして考えていた案のひとつが飲酒論でした。「お酒について」ではなく、美味しいお酒の紹介とかでももちろんなくて、「飲酒について」です。お酒を飲むということ、その経験それ自体についての思考です。

奇しくもCOVID-19の流行下で飲食店でのアルコールの提供が禁じられ、多くの人が「私にとって飲酒とはなんなんだろう」と考えたと思います。

考えませんでしたか? 私は考えました。

この時期に考えていたもわもわしたものが、件のコメントをいただいてぶわっと立ち上がった気がしました。


私自身の感覚だと、飲酒の話は食思考の話の本筋からやや離れる話でもあるのですが、せっかくなので今回以降、折を見てぽつぽつと「飲酒について」の話を投下していこうと思います。

飲酒について先人が残した思考もあることはあり、そういう抽象的な話からはじめよてもいいのですが、やはりこの連載らしく、いつもどおり具体的な細部の描写と分析から食思考を紐解いていくのがいいかと思いました。というわけで……


本日のメニュー
金目鯛と三つ葉の鍋
なんらかのビール

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