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批評観光誌『LOCUST』の有料マガジンです。 毎月、LOCUST編集部を中心とした執筆人が、コラム・エッセイ・マンガ・小説などを寄稿します。 豪華ゲストによる寄稿、著名人へのイ…
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2022年7月の記事一覧

ロカストリレー連載④北出栞「北出とロカスト」

新年度を期にスタートした、ロカストプラスのリレー連載。編集部員が交代で、月に一度エッセイを執筆します。第4回の担当は北出栞です。 前回の記事(担当:南島興)はこちら この発言をした時に、LOCUSTのことが念頭にあったのは言うまでもない。アニメだボカロだノベルゲームだセカイ系だといったトピックはメンバーとはまったく共有できず、それでも受け入れてくれるこの場は居心地が良い。北出のような人間もそこにいられることにLOCUSTという場の価値はあると、そしてそのような場所があるこ

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今週のロカストvol.23(伏見瞬・高橋秀明)

購入後に全編(28:15)を視聴することができます。

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濡れた草むらの住人たち…(河野咲子のマイクロダイアリー7月16日)

湿った草むらのなかにIさんが手を突っ込み、ざわざわと草をゆらしつつ跳ねてゆくなにかを追っていく。その指の先になにがあるのかわたしの目にはわからないがどうやらとても小さく、おそらくは緑色の生きものであることが見てとれる。「バッタですか?」と聞けば「かえるです」と答えた。 「逃げた」 吊るさないタイプの絵馬があり(立て札のように地面からにょっきりと生えていた。それを絵馬と呼んでよいものかわからない)、油性ペンが添えてあった。コロナが収まりますように、ウクライナに平和がおとずれま

食思考マラソン(28)飲酒について(ノンアルコールビール その2)|太田充胤

ノンアルコールビールの常飲という、飲酒しない人からみれば二重に不可解と考えられる習慣についての話の続きです。 多くの酒飲みにとって、ノンアルコールビールは仕方なく選択される代替物であろうと思われます。飲みたいがさまざまな事情で飲めないときに、ビールの代わりに飲むもの。味覚を通じて脳を騙し、あたかもアルコールを摂取しているかのような気分で飲むもの。宴会でノンアルコールビールを飲んでいると、アルコールも入っていないのに酩酊感を覚えるというのはよく聞く話です。 しかしながら、私

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ロカストリレー連載③南島興「庭論への批判、そして庭師としての旅行誌」

新年度を期にスタートした、ロカストプラスのリレー連載。編集部員が交代で、月に一度エッセイを執筆します。第3回の担当は南島興です。 前回の記事(担当:寺門信)はこちら  庭のような群れ?こうした理想主義は最近の人文系に見られるひとつの傾向である。しかし、ひとびとの群れは、そう簡単に庭にはなることはないだろう。前回の寺門信と、彼が参照した福嶋亮大のアイデアは庭に人間の社会を代入するというものであるが、これを実現させるには明確な困難がひとつある。それは庭師の立ち位置の不安定さを

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ラムネ瓶について知らなかったいくつかのこと(河野咲子のマイクロダイアリー7月10日)

夜。ばらりとした群れをなして公園通りを下り、なにか飲みものを買おうといってコンビニに入り、まっさきに目に入った瓶を即座につかんでわたしはもうレジで会計をしている。瓶をにぎりしめて外に出たとき、ゆっくり歩いてきた面々がようやくコンビニに入ろうとしていた。 旅に出る直前のロカストの会議は、なにかを熟議するための会議というよりもちょっとした前夜祭のように浮き足立っている。浮き足立ったまま夕飯を食べていたら店が閉まり、全員入れるような次の店を探すのが面倒になって、なぜか学生みたいに

12個の直方体(河野咲子のマイクロダイアリー7月7日)

かぞえてみると12個ある。長さは4cmくらい、太さは1cm四方。全体的に青い粉をうっすらまとっている。 くすんだ白。うすももいろ。灰色。こげちゃ。黄色。土色。あお。あいいろ。くろ。茶色。あか。ふかみどり。 パステルの箱をしめ、裏返し、答え合わせをする。

食思考マラソン(27)飲酒について:ノンアルコールビール その1 |太田充胤

ご無沙汰しております(ごめんなさい)。 この4月から大幅に生活が変わり、かなり忙しく過ごしていたのですが、ようやく気持ちの余裕を取り戻しつつあります。 この連載を書いていなかった半年間、自分が日々の食事に際して何を考え、どのように食べていたか、ほとんど思い出すことができません。 日々の食思考は、振り返って書き留めなければすぐに色あせて消えてしまいます。いや、そもそも食思考らしい食思考が働いていたのかどうか、よくわかりません。言ってみれば、「そんなこと」にリソースを割く余裕の

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タクシー譚(抄)(河野咲子のマイクロダイアリー7月1日)

改札を出て、駅の階段を降りてゆくとなめらかすぎるロータリーが目に入る。深夜、ここから中心街のホテルに行くまでの電車もバスも走っていないことを知ったのは新幹線の終電に乗ったあとのことだった。 たった一台のタクシーがロータリーに泊まっていたのでそれを逃すまいと早足で近づいてゆくと、さほど近づいてもいないうちにタクシーの扉がぱかりと開いた。なおも近づいてゆきながらわたしはホテルの名前が思い出せないでいた。首尾よくひらいた扉からまずは車内にすべりこみ、間を持たせるために「ホテルに行