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濡れた草むらの住人たち…(河野咲子のマイクロダイアリー7月16日)

湿った草むらのなかにIさんが手を突っ込み、ざわざわと草をゆらしつつ跳ねてゆくなにかを追っていく。その指の先になにがあるのかわたしの目にはわからないがどうやらとても小さく、おそらくは緑色の生きものであることが見てとれる。「バッタですか?」と聞けば「かえるです」と答えた。
「逃げた」

吊るさないタイプの絵馬があり(立て札のように地面からにょっきりと生えていた。それを絵馬と呼んでよいものかわからない)、油性ペンが添えてあった。コロナが収まりますように、ウクライナに平和がおとずれますように、といったことが書き込まれていた。その絵馬のすみっこにわたしは書き足した。
「かえるたちが佳く暮らせますように」
かえるのからだに手をふれたことは一度もない。

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