見出し画像

⑤:Vito

ビトは唯一、ブリーダーさんにお金を払って買った猫である。
名前からして、他の仲間たちのような安直な名前ではなく、大好きな映画ゴッドファーザーの、ドン・コルレオーネの名前をいただいた。
完全な差別である。

自宅の近所にペットショップがあると知り、なんとなく夫と出掛けた先に、生まれて2週間ほどのメインクーンの赤ちゃんが3匹、お母さんと同じケージで眠っていた。
その中の1匹がビトである。
「お父さんもお母さんも美形やからね〜、いい顔になりますよ〜」
と言われた。
まだ日にちが経ってないから連れて帰れませんけど、内金入れてくれたらどの子でも選んでもらえますからねと言われて、隣の夫を見ると、彼は既に財布から一万円札を出していた。

本当に抜群に顔がかわいいのである。
食が細く、食べ方も下手なので子猫用の小粒だと口からこぼしてしまいなかなか食べられず、数粒でプイっとしてしまうことを心配した私は、見事なまでにペットフードジプシーと化し、ビトのために約60種類のフードを購入しては試すを繰り返した。(サンプルサイズで購入できるようなフードは非常にありがたかった)
子猫の食事に右往左往して、一粒ずつ口に入れてやっては喜んだり悲しんだりしている私に向けられた、先住の仲間たちの冷ややかな目は忘れられない。

そしてたどり着いたのがロニーキャットフードである。
ロニーに落ち着くまで、私のAmazonの履歴はキャットフードで埋め尽くされ、何を察してかAmazonはプラチナ製のフードボウルなどをお薦めしてきた(高い)。
ガリガリ噛みながら食べたいタイプのビトの口の形状にマッチしたのか、口に入れてやると気持ち良いほど咀嚼しては飲み込み、ようやく私のメンタルも落ち着いたのである。

しかしもうすぐ3歳になろうという今でもビトは一粒ずつ口に入れてやるか、掌からしか食べなくなった。
小鳥を育ててるかのように錯覚するがこれは大型猫である。

やはり猫にもZ世代の波がきているようで、
ビトに携帯を向けるとやたらとフォトジェニックなので、ついつい撮り過ぎてしまう。
先住仲間たちはどんな気持ちで私たちを見ているのだろうと思うが、そんなにナーバスではないようで、毛繕いをしてやったりと優しく接してくれている。
しかしやはり初の長毛ということで、彼らも毛繕いの感覚の違いに戸惑い、苦労しているようである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?