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#01 最新号を振り返る篇

正月や新年度になって決意を新たにするほど無意味なことってないよね。やりたくもないSNSを学生時代からやめられずにいる身だからこそ、よくわかっているつもりさ。

当然このnoteも例外ではないよ。それでもやるのは、インディペンデントマガジンやリトルプレス、ZINEと呼ばれるものをつくるキミのヒントになればと思って……なんてできた話ではなく、やりたくもないnoteに手を出してでも、少しでも停滞感を払拭したいからだ。

『LOCKET』という独立系旅雑誌を2015年から個人で運営している。編集者はぼく(内田洋介)ひとり、デザイナーは大谷友之祐(Yunosuke)ひとり。創刊号が800部、第2・3号が各1,000部、第4号が2,000部、第5号が2,200部、最新の第6号が2,500部。延べ約1万部を発行し、直接取引で全国160店舗に取り扱っていただいている。オフセット印刷は第4号から未来永劫、長野県松本市の藤原印刷だ。

第6号の裏表紙や書影は、写真家・土田 凌が撮影。

バックナンバーは完売していて、版元在庫が唯一残るのは、2023年10月末に発売した第6号となる。ぼくの父、より正確には父の友人をめぐる極私的なエピソードから出発したスキー特集。

イラン、トルコ、ノルウェー(塗木拓朗)、韓国、台湾(堤 大樹)、カザフスタン(稲村航平)の旅を収録。久栖博季さんや石川直樹さんの寄稿、大ファンであるPOSTALCOのマイク・エーブルソンさんの取材(このために20万超のイスを買った)、野球好きには刺さるだろう久保康友さんのインタビューなどなど。

写真家・金本凜太朗さんの16ページ写真集は、8ページの予定だったのに写真がよすぎて倍増。木彫りのスキー人形が並ぶ16ページは、手仕事への敬意を込めて石川県金沢市の石引パブリックで自らリソグラフ印刷をした。

スキー雑誌では読めないスキー特集ができたあがったと思う。おかげさまでTOKYO ART BOOK FAIRなどイベントの手売りとBASEによる直接販売分に限れば、すでに第6号が過去最高の出荷数となっている。

でも……なんだろうな、このいいようのない停滞感は。内容に関して反省はたくさんある。誤植とか、カラーページが少なかったとか、Ginger Rootの神企画を思いついたのにオファーが実らなかったとか、何年も使ってきたPLAUBEL Makina W67の正しい操作方法を知ったのが取材後とか。意図があって、第7号以降の継続を意識した表紙を採用したけど、はたして適切だったろうかとも悩んでいる。

雪博士・中谷宇吉郎が拠点にしていた旧山小屋への滞在記は出色の企画と自負。

でも、そうじゃなくてさ、もっとこう……雑誌の枠組みから大きく見直さなければ、いつまでも現状維持から脱却できない気がするんだ。いまのままでは小さいままで終わってしまう。小さくつづけるためには、小さいままでいられないのだろう。いまのままでは3年後、35歳になっても続けていられるなんて想像できやしない。

ダラダラと1,200字以上も言い訳を書き連ねた末、こうして第7号に向けてnoteで途上を記録していくことにした。ひとつでも新しいことをしないと、自己模倣のレールから外には出られまい。知られなければ存在していないのと同じだから。

すでに第7号の特集取材を2ヶ国で行なった。そのときのことを次は書こうと思う。

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