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ソウルメイト

もう20年以上前の拙著「前世物語」から・・・

「それでは、ソウルメイトが最も良くわかる過去生へ戻ります、という誘導になります。これを何回も繰り返して、過去生へ降りて行きますからね」
 玲子さんはすでに自ら瞑想状態に入りつつありました。先生はいつものように過去生への催眠誘導を始めました。彼女の呼吸がどんどん小さくなっていきます。彼女はやがて深く良好な催眠状態へと入りました。
 地球と宇宙のエネルギーに繋げ、そしてひとつになる長い誘導の後、先生は玲子さんに尋ね始めました。
「今、あなたはソウルメイトが最もよくわかる過去生に戻っています。地面を見て、地面を感じて。どんな地面が見えますか、感じますか?」
 玲子さんは小さな声でポツリポツリと答え始めました。
「ゴツゴツした岩の上にいます。海辺の大きな岩の上に立っています。濡れた灰色の岩の上です」
 先生がオーケーの合図をくれました。私はメモを始めました。次第に先生の目が半開眼になっていきます。ここからはワークがうまくいっている限り、先生が私の方を見ることはありません。まるで先生も患者さんの過去生を一緒に見ている様な感じがしてきます。でも先生は私にさえ、患者さんの過去生が見えているのかどうか、本当のことを教えてはくれません。
「その岩をしっかりと踏みしめて。足は何か履いていますか?」
「素足に茶色の革のサンダルを履いています」
 先生はゆっくりと過去生の身体に意識を集中させました。
「膝まで見て、感じてください。膝はどうですか? 膝まで服がありますか?」
「膝まで何か着ています」
「太股から腰、お尻まで見て、感じて。下半身はどんなものを着ていますか?」
「白い布を巻きつけているような感じです。軽くて清潔な服です」
「ベルトはしていますか?」
「ベルトはしていません」
「腰からお腹、胸、肩まで見て、感じて。上半身はどんなものを着ていますか?」
「ワンピースみたいな白い布です。丸首でノースリーブです。軽くてサラサラしています」
「腕から手を見ていきましょう。右手、左手に何か持っていますか?」
「何も持っていません」
「手を見てください。肌の色は何色ですか?」
「白い肌です」
「その手で頭を触ってみてください。何かかぶっていますか?」 
「何もありません」
「髪の毛はどうですか?」
「長いブロンドの髪を金と銀の輪のようなもので縛っています」
「顔の輪郭はどうですか?」
「面長です」
「目の色はどうですか?」
「ブルーです」
「その人は、男ですか、女ですか?」
「女です」
「今、そこの時間帯は何ですか? 朝、昼、夕、夜で言うと、どうですか?」
「お昼です」
「今日の天気はどうですか? 晴れ、曇り、雨、雪で言うと?」
「晴れです」
「暑い、寒い、涼しいはありますか?」
「気持ちいいです」
 玲子さんは過去生での気持ちのいい空気をいっぱい吸い込むような大きな呼吸をしました。先生は彼女の深呼吸に合わせて、玲子さんを過去生の女性に同化させました。
「あなたの意識はキグルミに入るように、その女の人の中にしっかりと入ります。その女の人のブルーの目でまわりを見ると、どんな風景が見えますか?」
「青い海が見えます。反対側にはゴツゴツした岩ばかりの陸地が続いています。海で男の人が泳いでいます。私の知っている人です」
「その男の人はどんな格好をしていますか?」
「黒い髪で目は茶色です。白い肌に何か薄い服を着て泳いでいます。とても楽しそうです」
 玲子さんの声がいくぶん鼻にかかった高い声に変わったような気がしました。先生はさらに深く同化していきます。
「彼の名前は何と言いますか?」
「名前はアレンです」
「では、あなたの名前は?」
「アンジェリカ」
「あなたの年齢はいくつですか?」
「十九歳です」
「アレンさんとあなたの関係は何ですか?」
「恋人です」
 先生が彼女の意識を分割して、玲子さんに尋ねました。
「アレンさんは、今のあなたが知っている人ですか?」
「わかりません」
 彼女はちょっとがっかりした玲子さんの口調で答えました。先生は海辺の二人の時間に割り込んで言いました。
「そのまま場面を進めてください。それから二人はどうしていますか?」
「アレンが海の中に一緒に入って泳ごうよ、って私を誘っています。彼はとってもニコニコしています。
私も海に入りました。私たちは小さい頃からこうやって一緒に泳いでいるのです」
「今、どんな気持ちですか?」
「楽しくて、とても幸せです」
 玲子さんが目を閉じたまま微笑みました。私にもアンジェリカが笑っているのがわかりました。先生が先へ進めました。
「それから、どうしていますか?」
「二人で遠くまで一緒に泳いでいって、沖でのんびりと過ごしてます」
 アンジェリカが穏やかに答えました。頃合いを見計らって、先生が年代と場所を尋ねました。
「今、二人が泳いでいる年代は何年ですか?」
「八百九十四年です」
「その泳いでいる場所はどこですか? 世界地図が頭に浮かんで来て、二人が泳いでいる場所が赤く光りますよ」
「ギリシャです」
 アンジェリカがはっきりと答えました。先生はさらに時を進めました。
「それから、どうしていますか?」
「そこの海岸を離れて、私だけが大きな柱が立ち並んでいるところへ戻って行きました。そこは神殿です。アレンはどこへ行ったのか、わかりません」
「神殿に帰ってきたら、そこはどうなっていますか?」
「何人かの人が掃除をしています。私は神殿の明るい部屋で服を着替えてから、気持ちも穏やかに緑の美しい庭を歩いています」
「その神殿は、あなたの家なのですか?」
「たぶん・・・そうです」
「それから、どうしていますか?」
「白いひげのおじいさんが神殿の奥から出て来ました。たぶん私のおじいさんです。ブルーの目をした優しい穏やかな人です。私はおじいさんのことが大好きです。おじいさんは何でも知っていて、みんなからとても尊敬されています。この国のとても偉い人なのです」
 アンジェリカが誇らしげに答えました。
「そのおじいさんは、今のあなたが知っている人ですか?」
 玲子さんはちょっと考えてから答えました。
「知りません」
「それから、どうしていますか?」
「私はおじいさんが何かを書いているのを見ています。おじいさんもたくさんの孫の中で、私が一番好きなようです。私はおじいさんと何かを話しています」
 先生はさらに時間を進めました。
「その日の夕食の場面に進んでください」
「長いテーブルにたくさんの人が並んでいます。ここにいるのは親族ばかりですが、お父さんはいません。お母さんもどこかにいるような気がしますが、はっきりとは見えません」
「今日の夕食のメニューは何ですか?」
「木の器に入ったスープと固いパンが見えます」
「その夕食の場面にいる人たちの中に、今のあなたが知ってる人はいますか?」
「いないようです」
「では、アンジェリカさんの人生で一番幸せな場面に移ってください」
 先生は彼女にその過去生の中での大きな場面転換の練習をさせました。私はふっと先日見てきた祇園祭の辻廻しの光景を思い出しました。彼女は簡単にその人生をスキップしました。
「二十二歳で結婚式の場面です。広い大きな庭でパーティをしています。結婚相手はアレンです」
「今、どんな気持ちですか?」
「とても幸せです。小さい頃から好きだった人と一緒になれたのですから。おじいさんが賛成してくれたから彼と結婚出来ました。アレンも幸せそうです。たくさん人たちが来てくれています」
 彼女はしばらく、その幸せの余韻を味わっていました。先生は彼女の主題に向かいました。
「アンジェリカさんの人生で、ソウルメイトが最もよくわかる場面に移ってください」
「若い時です。まだ子供です。八歳くらいです。アレンと二人で遊んでいます」
 玲子さんとアンジェリカが嬉しそうに答えました。先生はソウルメイトを確認するために尋ねました。
「他には誰かそばにいませんか?」
「誰もいません」 
「今、どんな気持ちですか?」
「とても楽しいです」
「アレンと二人で遊びながら、何か決心したことはありますか?」
「この人と結婚します」
 彼女はきっぱりと言い切りました。
「ではアンジェリカさんの人生で、次ぎに大切な場面に移ってください」
「私は二十六歳の時に内臓の病気で死にます。おじいさんは私が生まれた時から、どうやらそれを知っていたようです」
 彼女は淡々と答えました。先生は彼女の臨終の場面へと導きました。
「アンジェリカさんの人生で、死ぬ場面に進んでください」
「ベッドの上にいます。アレンがそばにいてくれます。子供はいなかったけれど幸せな人生でした」
「死を前にして、あなたは何を考えていますか?」
「短い人生だったけれど、ずっとあの人と一緒にいられて、とても幸せでした」
「アレンは何と言っていますか?」
「私と同じことを言っています」
「あなたを助ける手立てはないのですか?」
「これは私の定めなのです」
 彼女の口調に悲しみはありませんでした。先生は彼女を死の向こう側へと導きました。
「あなたが死ぬ場面を通り越してください。そして、あなたの魂が肉体を離れて宙に浮いたら教えてください」
 彼女はひとつ深い深い呼吸をしました。そして答えました。
「宙に浮きました」
 先生はアンジェリカの魂に語りかけました。
「あなたが死んで身体を離れた時に、何か決心したこと、決めたことはありますか?」
「次ぎに生まれて来る時も彼と一緒になろう、と思いました」
「下を見てください。アンジェリカの死体が見えますか?」
「穏やかな亡骸が見えます。アレンも私が早く死んでしまうことを知っていました。だから涙はありません。彼は私の亡骸の頬を優しく撫でてくれています。彼の手の温もりが感じられます。彼の心とまだしっかりと繋がっています」
 私は玲子さんの手が誰かの手を包み込むように動くのを見ていました。先生は少し先へ時を進めました。
「お葬式はどんな具合ですか?」
「静かに土葬されています。神殿と青い海を見下ろす丘の上です。おじいさんが祝福をあげてくれまし
た。アレンの腕に私の金と銀の髪留めが見えます。私の形見にしてくれたのです」
「あなたのお葬式を上から見て、どう思っていますか?」
「私の人生だったなぁ、という感じです」
 先生は、アンジェリカの魂を誰かが迎えに来ていないか、尋ねました。
「あなたのまわりに、あなたに何か話しかけてくる存在やあなたを迎えに来た存在がいませんか、感じませんか?」
 彼女はちょっと嬉しそうに答えました。
「羽のはえた天使がふたり、ニコニコしながら近くに来てくれています。あっちへ行こうよ、って言っています」
 先生はアンジェリカの魂を高みへと導きました。
「その天使と一緒に高く高く上にあがります。どんどん高く高くあがります。高く高くあがったところからアンジェリカさんの人生を見て、何か気がつくこと、感じることはありますか?」
「別に、特にありません。幸せな人生でした。生まれてきた目的は果たしました」
「その生まれてきた目的とは何ですか?」
「彼と一緒になることです。その前世で約束した目的だったのです」
 先生は彼女の魂をさらに高みへと導きました。
「もっともっと高く高くあがります。高く高くあがったところからアンジェリカさんの人生と、今、生きているあなたの人生を見比べます。そして何か気がつくことはありますか?」
 彼女は淡々と答えました。
「別にありません」
 先生は彼女の魂を光の方向へと導きました。
「そこから上を見ます。すると上の方はどうなっていますか?」
 玲子さんの顎も少しあがりました。瞼の下で眼球がゆっくりと左右に揺れています。彼女は静かに答えました。
「上はただ明るいだけです」
 先生は自信に満ちた声で導きます。
「その明るい方へ、どんどん上がって行きます。そしてその明るい中に吸い込まれます。その明るい中はどんな感じですか?」
「気持ちいいです」
「その明るい中心へと進んで行きます。その中心に誰か人はいますか?」
「いるような気がします」
「どんな人ですか?」
「女の人です。マリア様みたいな感じです。ブロンドで茶色の目をしています。とても優しそうな人です。こちらを見て微笑んでいます。マリア様だと思います」
 玲子さんのエネルギーが澄み渡っていって、キラキラ輝いてきたように感じました。その美しいエネルギーが部屋中に満ちていき、先生を丸ごと包み込んでいきました。先生は玲子さんの代わりにマリア様に尋ねました。
「私の今回の人生の目的は何ですか?」
 マリア様が答えました。
「あなたは彼を探し出して一緒になるための人生を歩んでいるのです」
「彼はもう生まれていますか?」
「生まれて来ています。すでに日本で生きています」
「彼は私がもうすでに知っている人ですか?」
「いいえ。あなたはまだ出会っていません」
 玲子さんはちょっと嬉しそうに尋ねました。
「では、これから出会う予定なのですか?」
「それはあなた次第なのです」
「私次第ということは、まだ大丈夫ですよね。私はどうしたら彼と出会えるのですか?」
 マリア様が言いました。
「その答えはあなたがすでに知っていることなのですよ」
 先生が玲子さんに乗り移られたかのように聞きました。
「お願いです。どうしたら出会えるのか、ヒントだけでも教えてくださいませんか?」
「信じることです」
「何を信じるのですか?」
「愛です」
「その愛とは何ですか?」
「愛とは変わらないものです。何年経っても、何があっても変わらないものです」
「私は愛をすでに持っていますか?」
「あなたも持っているはずですよ」
 玲子さんは長い沈黙の中でマリア様と静かにお話をしているようでした。彼女の目の動きが止まって、先生はマリア様に尋ねました。
「あなたはどなたですか?」
「皆さんはマスターと呼んでいます」
「私は今までに何回生まれ変わってきましたか?」
「百五回です」
「その中で、彼とは何回一緒の人生を生きてきましたか?」
「六十回です」
「私はなぜ何度も生まれ変わっているのですか?」
「すべての人たちは、いろいろなことを経験するために生まれ変わっているのです」
「今回の人生は、なぜ彼を探すためだけの人生なのですか?」
 マリア様が優しく答えてくれました。
「あなたはいつもそうなのですよ。ほとんどの人生がそうなのです。もっと昔々、さっき見せた過去生よりもずっと前に、あなた方にはある約束があったのです」
 先生がマリア様に頼みました。
「その約束の場面を見せてください」
 マリア様の頭上にヴィジョンが浮かんできました。彼女は落ち着いた口調で語り始めました。
「大昔の人生です。私は女でした。ヨーロッパのどこかの国の王妃でした。彼は王様の家来でした。彼と私は恋に落ちました。鍛冶屋の神様の祭の夜、二人で城から逃げ出しました。でも、二人は王様の追手から逃げきれずに捕まりました。彼は殺され、私は生き残る運命でした。
 彼は河原で辱められたまま磔にされました。足下に薪がうず高く積まれました。王様が王妃に松明を渡しました。王妃が火を投げ入れるのが古からの習でした。彼は生きたまま焼かれました。王様は彼の最後を私に見せつけました。王妃は泣くことを許されません。彼は炎の中から私に向かって叫びました」
「再びこの大地に生まれ変わり、果たせなかった願いを必ず果たそうぞ!」
「その時、あなたはどう思いましたか?」
「私の人生は終わりました。私も死ぬはずだったのに、王様は『生きて償え』と命じました。しばらく後に、私は彼の子どもを産みました。王様は彼の子どもをとても可愛がってくれました。でも私は幸せではありませんでした。
 その子の瞳は死んだ彼とそっくりでした。その子に見つめられていると、私は彼がそばにいてくれるような気がしました。でも私の心は満たされませんでした。
 私は死ぬまで王様に償い続けました。私の人生は終わっていました」
 先生は王妃に尋ねました。
「その人生で死ぬ時に、何か決心したことはありますか?」
「短くてもいいから彼と一緒に人生を過ごしたい・・・」
 先生はマリア様に聞きました。
「今、見せて頂いた約束の場面から、私たちは何回一緒に生きてきましたか?」
「あなたたちが一緒に生きた人生はたくさんあります。でも二人が結ばれたのはとても少ないのです。兄弟だったり、親子だったり・・・」
「それはなぜですか?」
「国王であったあの人が私たち二人のどの人生にでも現れて、ひどい邪魔をするのです。あの人のおかげで、私は彼とは一緒になれない運命なのです」
「あの国王は悪い人ですか?」
「悪い人ではありません。でも、あなたにとっては悪い人に見えるでしょう」
「今回の人生で、あの国王も生まれてきていますか?」
「ええ。今のあなたが知っている人のはずですよ」
「私はまた邪魔されるのですか?」
「すでに精神的な邪魔をされたはずです。そしてこれからも続くでしょう」
 玲子さんの声が落ち込みました。先生はマリア様に聞きました。
「今回の私の人生計画は誰が決めたのですか?」
「あなたです。あなたが自分自身で決めたのですよ」
「邪魔をする国王との関係は誰が決めたのですか?」
 マリア様の口調が厳しくなりました。
「彼は一緒に生まれたら邪魔をする定めなのです。ある意味では、彼もあなたのソウルメイトなのです。彼から学ぶことも多いのです」
「その今回の国王役の人には、私が役柄を頼んだのですか?」
「いいえ、あなたが頼んだのではありません」
「邪魔をするような役柄は誰が決めているのですか?」
「わかりません。誰も決めていません。彼には邪魔をしている気はないのです」
「では、この定めを決めてるのは誰ですか?」
「あなたです」
 しばらく沈黙が続きました。先生がマリア様に尋ねました。
「私が探している彼にとっても目的は同じなのですか?」
「はい、そのとおりです」
「私は探している彼に出会ったら、その人が探し求めた彼だとわかりますか?」
「光の中から彼が現れます。あなたも気がつくはずですよ。心配いりません」
 玲子さんはニッコリと微笑みました。先生はマリア様にお願いしました。
「私の今回の人生の目的の『愛を信じること』ができた、未来の私の姿をちょっと見せてください」
 玲子さんが答えました。
「男の子と女の子を連れて買い物に出かけています。とても幸せそうです」
「その未来のあなたに聞いてください。探し求めていた彼を見つけましたか?」
「もちろんです。私はその人としか結婚しないのですから」
 未来の自分の返答に、今の玲子さんが頷いています。
「どうやって見つけたのか、ちょっとヒントを教えてくれませんか?」
「見つけようと思って見つけれたのではありません。何か大きなエネルギーが私に力をくれたのです。その時になったら、あなたにもわかりますよ。大丈夫だから自信を持っていてね」
「あなたは今、幸せですか?」
「あなたなら聞かなくてもわかるでしょう。子供たちも元気ですよ」
「あなたもそこから、今の私を応援してくれますか?」
「もちろんですよ。がんばってくださいね」
「未来の子供たちにも聞いてください。君たちも、今のお母さんを応援してくれるかな?」
 未来の子供たちが元気に答えました。
「うん。大丈夫だよ」
「君たちはなぜ私をお母さんに選んでくれたの?」
「とっても可愛がってくれそうだったからだよ。たくさん愛情を注いでくれそうだったからだよ。とてもお父さんと仲良さそうだったからだよ」
「君たちは、いつ私たちの子供になろうと思ったのかなぁ?」
「雲の上でお母さんの結婚式を見ていて決めたんだよ。絶対、このお母さんの子供になるんだ、ってね」
 玲子さんはとても嬉しそうです。先生は玲子さんの人生の『今』を、彼女の過去生と未来にアンカーして言いました。
「未来のあなたとその子供たちとしっかりと握手してください。みんなの手はどんな感じがしますか?」
「暖かいエネルギーが送られて来るのを感じます。この子たちは私の子供だ、と自然にわかります」
 先生はマリア様にお願いしました。
「最後にもう一言、何かアドバイスをください」
「もうこれ以上は何もありませんよ、大丈夫です。すべては予定通りですから」
「マリア様も私を応援してくれますか?」
「はい。がんばってくださいね」 
「私の今回の人生はここまで順調ですか?」
「ある意味では順調なのです。辛いことでも、それを経験するために生まれてきたのですから。だからがんばれますよ」
「辛い時はまた、ここに来てもいいですか?」
「何度でもいらっしゃい。ここはあなたの庭ですから」
 先生はマリア様にお別れを言いました。そして、先生は彼女をゆっくりと催眠から覚まして、今、この時へと戻してきました。


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