見出し画像

「成瀬は天下を取りにいく」に出てくる「江州音頭」の魅力

おばんです。
日本各地に散らばるご当地ソングをコレクションしています。

「成瀬は天下を取りにいく」を読んで知った「江州音頭」

最近、本屋大賞でも話題になった小説「成瀬は天下を取りにいく」を読みました。
滋賀県大津市を舞台に、主人公の成瀬あかりを中心にした複数の短編から構成されています。地域色が出ているし、青春もまぶしいし、めちゃくちゃ面白かったです。

その最終話は「ときめき江州音頭」という話です。滋賀県を中心に近畿地方各地で盆踊りとして知られる「江州音頭」が軸になり、夏祭りについてのエピソードが描かれます。

この話で「江州音頭」に興味を持ったので調べてみました。かなりスゴイ曲で、2つの大きな特徴があると思いました。

特徴1:生まれがはっきりしている

江州音頭は、江戸時代末期の生まれとされています。
音頭は昭和生まれのものもあるので古いっちゃ古い。けど、誰が・どこで・どうして作ったのか出自がはっきりとしている印象です。

発祥地とされる場所2か所には石碑も建立されており、どちらが真の発祥地と言いきれないにせよ、誰がどうして作ったかはっきり分かっている印象です。

特徴2:その後の文化に影響を及ぼしている

近江商人は、訪れた各地で江州音頭を伝えてきたそうです。その結果、江州音頭はその地域その地域で独自のカスタマイズがなされてきたとのこと。その結果、大阪の江州音頭が生まれ、さらには河内音頭の成立にも影響を及ぼしたとか。すごい広がりです。

そのカスタマイズは、江州音頭が他の芸ごとと一緒に興行で演じられることで、交わり生まれたもの。きっと、江州音頭の言葉やリズムなんかが別の芸事に取り入れられていったのでしょう。そして、混じり合うことで独自の発展につながったようです。

古い漫才の亭号「砂川」「桜川」「荒川」「河内家」「菅原家」は大阪の江州音頭取られたものみたい。文化の広がりって、とても大きくて川みたいだなと思いました。ライク・ア・リバー。

音頭を知れば祭りが楽しくなる

音頭のエピソードを知ると踊りたくなりますね!
知ることで、いざ夏祭りで盆踊りを踊るとき、「受け継がれてきてるー!」「文化の川下に今いるー!」とうっすら意識して、心持ちも全然変わりそうです。

この「成瀬は天下を取りにいく」ブームも相まって、「江州音頭」ブームが来てもおかしくないですね。夏よ、早く来い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?