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第1回のテーマは”ローカルキャリア”のもやもやばなし

11月7日(土)19時30分から第1回ローカルもやもやばなしを開催しました!

 「ローカルもやもやばなし」とは、新型コロナウイルスによって、地域の働き方や暮らし方が大きく変わる…そんな風に言われていますが、わかりやすい答えはすぐには見つかりません。そこで、いま抱えている「もやもや」をまずは共有したい…!とつくった場です。

 このイベントは2部構成!第1部は、ゲストをお迎えしての「ローカルもやもやばなし」、聞き手はローカルジャーナリスト・田中輝美さん。第2部では、参加者同士でフラットにもやもやを語り合う「さらにもやっとばなし」、略して「さらもやばなし」を行いました。

 第1回は、時代を先取りしている!?リーマンブラザーズ、香川県小豆島で地域おこし協力隊、大学院博士課程…などのキャリアを積み、現在は兵庫県に住みながらパラレルキャリアを実践しているポンさんこと、ポン真鍋さんのお話を伺いました!

東京暮らしの中で「これからは地方の時代だ!」

田中:地域でどうやって稼いだり、どうやってキャリアを歩んでいったらいいのかわからないという若い方が増えてきていて、第1回のもやもやばなしは絶対にポンさんお話していただこうとと決めていました!どうしてこれからは地方の時代だなと思いました?

ポンさん:東京で暮らす中で、閉塞感みたいなものを感じていたんですよ。地下鉄乗ったらみんながもう死んだような目をしているというか。この閉塞感とか、停滞感とか、諦めみたいなものはなんなのかなと考えてみたところ、人口減少や老齢化などの人口構造の変化の問題じゃないかなと思って。歳を取るといろいろなものを食べたくなるじゃないですか。この歳になると肉とかいらなくて、野菜も豆も海藻も食いたい訳ですよ。

それは国も一緒で、高度成長時代は隣の町に負けない箱ものを建てて、公共事業で人を雇って、国全体が発展していったらハッピーになれたと思うんですけど、もうそういう時代じゃない。いろんな価値観であったり、ものさしが多様化していることを受け入れられる国にならなきゃいけないのに、結局何をやっていたかというと中央集権・男性社会のままで、現状に不具合がある。それが閉塞感の原因じゃないかなって。だから、逆を行かないとダメでしょと。今まで光があたっていなかった地方や女性が輝く時代にならないと、ものさしの多様化は受け入れられないなと思って。これからは地方、女性の時代だというのを、2010年、2011年ぐらいに考えたんですね。

3.11をきっかけに起きた心のパラダイムシフト

田中:島根を見ていても、2020年~21年に活動10周年みたいなところが多くて、明らかに2010〜2011年ぐらいに変わっているんですよ。東日本大震災の前くらいに起きていることも多くて。あの頃に何かがあったのかなと思うんですよね。

ポンさん:一生懸命に仕事をしていたから自分から変わろうとか、変わらなきゃいけないってなかったんですけど、具体的な事象が降ってくるわけですね。その最初がリーマンショック。2008年がそれだとしたら、2011年に東日本大震災。震災の時、東京の丸の内で働いていて、帰宅難民にもなって。そこでパラダイムシフトが起ったと思っているんですよ。パラダイムシフトってなんだっていうと、僕自身は心の優先順位の変更です。

日本は経済大国だということを誇りに持ちつつ、なるべく良い仕事、なるべく良い大学と思っていたと思うんですけど。震災があって、日本の半分の人が死に直面したり、死について真剣に考えた。それでなにが起ったかというと、生きるうえではやっぱお金じゃないよね、安心とか安全とか食の確保っていうほうがやっぱり大事だよね、っていう心の優先順位がかわったと思うんですよ。

田中:でも実際に地方に移住しようっていうのってまた話が違うというか、フェーズが違うと思うんですよ。そこへの恐怖ってあったんじゃないかなって思うんですけど。

ポンさん:実際、地元に戻ります、小豆島に行きますと言うとみんな反対してくるんですよ。でも少なくともその時の僕は、あまり恐怖心はなかった。なんでかって言ったら、僕自身の価値観が変わっちゃってるんですよ。例えば、地域でチャレンジしたいとか、自分がわくわくすることを大事にしたいとか、3番目ぐらいにお金というものがきちゃっていると。だから、この時点だと、なんとかなるだろうという過信で移住してます。

小豆島で困りごとを束ねて仕事をつくる

田中:ご出身の香川県の中で、あえて小豆島への移住。それはよかったですか?

ポンさん:めちゃくちゃよかったですね。小豆島に行っていなかったら今の僕はいないです。会社を立ち上げて地域で新しいビジネスをしていきたいと、地域の象徴的な存在に切り込んでいこうと思ったら、1番目はうどんなんですが、700店舗もあるから俺がうどんやなるものちゃうなーと。で、2番目に象徴的なのが、24も住む島がある瀬戸内海の島々。小豆島が一番大きくて、オリーブオイル、素麺、お醤油、ごま油などの産業があるけどあんまり知られていない。あと、島は社会問題の縮図と言われていて、帰る時点で、香川の基礎自治体の中で一番高齢化率は高いし、高校以上はないので、みんな島の外に出ていくから、20~30代が全然いない問題もある。ポテンシャルがある一方で社会課題の縮図のようなものが見えてきて、これこそ俺がやるべきところじゃないか!と小豆島に行こうと決めた。そこで、ポン菓子やってるんですよ。ポンちゃんのポンは、ポン菓子のポン。

田中:それって地域課題だったの?笑

ポンさん:ポン菓子にしたのは飲み会のノリだったんですど、2つのテーマをたてた。1つは、島のおじいちゃんおばあちゃんが作っている素麺、落花生、大豆っていう伝統的な食材をポン菓子にすること。もう1つはおしゃれに売ること。もう自分でおしゃれって言ってる時点で全然おしゃれじゃないんですけど。でも、バリスタみたいに白のワイシャツに黒のストールに黒のエプロンを着ていました。そういった地元で売り方がわからない、売られていないものを仕入れて、香川や東京、大阪などで島を伝えながらポン菓子を売ったのがはじめての事業だった。

田中:どこに地域ではじめる事業のヒントが落ちてるんですか?

ポンさん)それはですね、基本的に、仕事って困りごとの解決だと思っているんですよ。田舎は人口少ない分、困りごと多いじゃないですか。そこにプライドとかがなければ、ドブ掃除でもいいし、農家が収穫に困っているんだったらお手伝いすればいいし、困りごとはたくさんあるから、それを横に束ねることによって、ひとつの自分の家計を成り立たせるっていう考えで。

コロナは地方にとってはプラス?

田中:移住や地方での事業のお話をしていただきましたが、現在のコロナ禍において地方で暮らしていくことの可能性や難しさはどうですか。

ポンさん:全般的にはコロナが地方にとってマイナスよりかはプラスのほうが多いと思っているんですよ。ただ、地方のリアルな課題はそんな変わってないんですね。農業で言うと労働力不足や後継者がいないってコロナがあろうがなかろうが、起きているし。そこに対してのなんらかのアプローチはずっと考えていかなければいけないしね。

一方、地方で研究をしている立場からすると東京でしか研究会とか開かれなかったのが、インターネットで見れるようになったし、さらに海外もオープンにしてくれているので、アンテナさえ立てておけば情報が入手しやすくなっている。だから、地方の人にっても、プラスじゃないかなって思うんですよ。だからといって地方で仕事をつくりやすくなるかどうかは、よくわかんなくないですか?

田中:これから地域で暮らしていきたいとか、かかわりたい人にむけて、一言ずばっとお願いします。

ポンさん:10年前に「ローカルもやもやばなし」ってやっても、絶対こんなひとたち集まらないし、多分ね。完全にローカルに対する意識が変わっている訳じゃないですか。皆さんは、いまもやっとしているかもしれないけど、それって、可能性なわけですよ。先輩の立場から言うと、僕も、何がやりたいかって別にそんなにわかっている訳ではなくて、自分が目の前でわくわくすることだとか、ご縁だとか、それがやりたいかどうかはそんなにわかんないけど、そのことを一生懸命やっているわけですね。答えは自分で作り出すものと言うか、結局、自分が信じた選択をよかったねとか、いいよねと言ってもらうことが人生の醍醐味なんだと思う。だから、その時点で正解とか間違いを選ぶのが人生ではない、っていうことだと思うんです。

田中:深イイお話をありがとうございます!

第1回目を終えてのアシスタント沼能の感想・・・

「もやもや」の共有って新鮮!

ほっとしたー!という気持ちがイベント後すぐにわいてきました。

ポン真鍋さんの「もやもやは可能性なわけですよ」という言葉、そしてさらもやばなしでの「東京からどうやって地域に関わることができるのか」というもやもやを聞いたからです。

もやもやしててつらい!わけではないのでいつも抱えています。晴れる日はくるんだろうか…と思うときもあるのですが、ポンさんの言葉から、もやもやしているということは考えていること、だからこれからに少しは役に立つのかもしれないなと思うことができました。

また、わたしが何にもやもやしているのかわからない状況だったのですが、さらもやばなしで「今住んでいるところから地域に関わるにはどうしたらいいのか」という話があり、それだー!とはまった気がしたのです。所属や年齢、住んでいる地域が異なっても、同じもやもやを持っている人がいるんだ、と少し嬉しくもなりました。

困りごとを束ねると地域の仕事へ

専門性を持っていたほうがいいのかな?そしたら会社のなかでもマネージャーのような役割を経験してからに地域にかかわったほうがいいのかな?と、思い、尻込みをしていました。

しかし、ポンさんの「仕事は困りごとの解決」という話を聞き、自分がいまできることから仕事を見つけるだけではなく、地域の困っていることを聞きそれが仕事になっていくという方法があることを知りました。専門的にやることも1つですし、いろいろな困りごとを束ねて仕事をしていくという方法があると知り、スキルを持ったり経験を積むまで地域に関われないではなく、まずはお話を聞くことから始めてみたいなと思えるようになりました。

イベントは終わりましたが、もやもやがパーッと晴れるものではありませんでした(笑)むしろ、さらに新たなもやもやも生まれてきます。じゃあ、実際に地域とかかわるにはどうやって動いていこうかな・・・そんなことを考えながら、第2回のローカルもやもやばなしを開催します!一緒にもやもやを共有できたら嬉しいです!

第2回は、2月6日(土)夜、テーマは「関係人口のリアル」です。
https://localmoyamoya02.peatix.com/

詳しくはまたお伝えしますが、まずは空けておいてくださいね。

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