【画像閲覧注意の虫ホラー】残夏の呪凧:セミの囁き
夏の終わり、静寂に包まれた田舎町に、奇妙な噂が流れ始めた。毎年、セミの鳴き声が静まる頃、空を舞う一つの凧があるという。その凧は、見る者に異様な恐怖を植え付け、忘れられない夏の記憶となる。
主人公の健一は、その年の夏、友人たちと凧揚げに興じていた。しかし、彼らが空に揚げた凧は突如として姿を消し、代わりに現れたのは、巨大なセミの形をした不気味な凧だった。その凧は、不自然に大きな翅をバタつかせながら、空を不規則に飛び回る。そして、その凧が近づくと、セミの鳴き声が耳をつんざくように響き渡った。
健一たちは恐怖に駆られながらも、凧を追いかけた。凧は町のはずれ、古びた神社の境内へと彼らを導く。そこで彼らが目にしたのは、凧とセミが一体となった異形の生物であった。その生物は、かつて凧揚げをしていた少年が、セミに憑依され変貌した姿だった。少年は、セミと同化することで永遠の夏を追い求めたが、その代償として人間の姿を失い、凧とセミの間に存在する呪われた生き物となってしまったのだ。
健一たちは、生物から逃れるために必死になるが、その声は彼らの心に深く刻まれ、夏の終わりごとに耳にするたび、恐怖を思い出させる。町の人々はこの生物を「凧セミ」と呼び、夏が終わる頃になると、子どもたちに凧揚げを禁じるようになった。
凧セミの伝説は、夏の終わりにだけ囁かれる町の秘密となり、恐ろしい夏の思い出として、代々語り継がれることになった。健一もまた、その夏を忘れることはなく、凧が空を舞うたびに、心の奥深くでセミの鳴き声が聞こえてくるような気がするのだった。
今回は、なんとかして日本の夏のイラストを描いてもらいたいと四苦八苦しているうちに誕生したお話でした。↓虫苦手な方閲覧注意です!!(私も恐る恐る書いてます)
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